※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

Z世代のティーンホラーに注目!『ザ・スイッチ』『スクリーム』ほか5選

ホラー映画の中でも若者たちを主人公にした「ティーンホラー」はいつの時代も大人気。特に最近はZ世代(現在の10代、20代)を主体とした良作が多く生み出されている。今回はその中から配信で観られるおすすめ映画をご紹介!

最新ニュース コラム
注目記事
『ザ・スイッチ』(C)2020 UNIVERSAL STUDIOS
『ザ・スイッチ』(C)2020 UNIVERSAL STUDIOS
  • 『ザ・スイッチ』(C)2020 UNIVERSAL STUDIOS
  • 『ザ・スイッチ』(C)2020 UNIVERSAL STUDIOS

ホラー映画の中でも若者たちを主人公にした「ティーンホラー」はいつの時代も大人気。特に最近はZ世代(現在の10代、20代)を主体とした良作が多く生み出されている。今回はその中から配信で観られるおすすめ映画をご紹介!

Z世代はデジタルネイティブで社会問題にも高い関心を持つ世代といわれ、彼らを主人公にした作品の多くは、既存の価値観にとらわれない作劇や、ジェンダーやフェミニズムなどを盛り込んだそのテーマ性も特徴的だ。大人世代の凝り固まった「常識」を刺激してくれる5作品をピックアップ。

高校生と連続殺人鬼が入れ替わり!
『ザ・スイッチ』


地味な高校生ミリーは、夫の死の悲しみを引きずりアルコールに溺れる母親、警察官の姉と暮らしている。そんな彼女の前に、若者を襲う連続殺人鬼ブッチャーが現れる。短剣で刺されてしまったミリーは意識を失うが…翌日目を覚ますと、なぜかブッチャーと中身が入れ替わってしまっていた!

高校生の体を得たブッチャーが意気揚々と殺戮を楽しむ一方、仲間とともに入れ替わりの謎を探るミリー。しかし元の体に戻るためのタイムリミットが迫る…!

『ハッピー・デス・デイ』シリーズのクリストファー・ランドン監督による、ブラムハウス製作のティーンホラー。

主人公のミリーを演じたのは『明日への地図を探して』『名探偵ピカチュウ』などの注目若手株キャスリン・ニュートン。冴えない女子から入れ替わり後に妖艶さをみせる変化の演じ分けも見事。「外見は大男の殺人鬼、中身は女子高校生」を体現したヴィンス・ヴォーンの演技もキュートで楽しい。

そんな「高校生とおじさんの入れ替わり」という本作の奇想天外なアイディアだが、映像としての面白さだけでなく、ジェンダーにおける不均衡を可視化し「女の子」の生きにくさを鮮やかに描き出すことにも成功している。いじられるたびにビクビクしていたミリーが、入れ替わり後のブッチャーの体だと誰からもからかわれないことに気づくなど、数ある「入れ替わりジャンル」の映画でもあまりない視点が盛り込まれている。

また、殺人鬼ブッチャー(外見はミリー)が手をかける対象が、スクールカーストやミソジニー(女性嫌悪)、同性愛嫌悪などを具現化したキャラクターなのもユニーク。現代における悪しき慣習や概念を「殺す」ことで批判していると見ることもできるだろう。『13日の金曜日』など80年代ホラー映画のオマージュを取り入れながらも、軸足はしっかりと現代に置かれているそのバランス感覚も高評価の所以かもしれない。

ちなみに、劇中ミリーが好きな映画だと語っているのが、女子大生アカペラグループの活躍を描いた人気シリーズ2作目『ピッチ・パーフェクト2』。実は本作ラストの重要な伏線にもなっているのだが…ぜひ本編で確認してみて欲しい。

『ザ・スイッチ』はAmazon Primeで配信中(12月30日現在)。


ザ・スイッチ (字幕版)
30日間の無料体験を開始する
(価格・在庫状況は記事公開時点のものです)

「魔女」とは何か?を現代に問う
『フィアー・ストリート』3部作


呪われた街と呼ばれる「シェイディサイド」では、周期的に凶悪な殺人事件が繰り返されていた。女子高校生のディーナは元カノのサムが事件に巻き込まれたことで弟ジョシュとともに真相を追うことに。やがて連続する殺人事件が魔女の呪いによるものだと突き止めるが…。

怪奇映画の時代から現在も「魔女映画」は人気の一大ジャンル。本作はそんな「魔女」をモチーフに、クィアな視点も織り交ぜながら展開するNetflixオリジナルの秀逸ティーンホラー。原作はR・L・スタインによる人気ヤングアダルト小説。

第一作「Part1:1994」は1994年を舞台に、『スクリーム』の「ゴーストマスク」を彷彿とさせる仮面を付けた殺人鬼に襲われる王道スラッシャー、二作目「Pert2:1978」は70年代のキャンプ地で起こる殺人事件を、さながら『13日の金曜日』シリーズを思わせる手触りで描き、最終章「Pert3:1666」では大きく時を遡り15世紀の魔女狩りの時代で、ゴシックホラー調を意識しながら「女」や「魔女」に付与された意味を問い直していく。

三作品がそれぞれ異なるテイストで作られている点と、名作ホラーから飛び出してきたかのような殺人鬼たちが次々に登場する展開はホラーファンにはたまらない。また、主人公のディーナと恋人サマンサの女子2人のロマンスが作品をさらに意義深いものにしている点にも注目。女性同士の恋愛が禁忌とされたり消費されたりしてきた歴史に反撃するかのような、若い2人の戦いはきっと未来に希望をもたらすものだろう。

舞台となる時代はどれも現代ではないけれど、その視座はしっかりとZ世代を意識したもの。「ホラー映画」という枠組みの中で、蔑ろにされてきた者たちに光を当てる、新世代のティーンホラーだ。

『フィアー・ストリート』3部作はNetflixにて独占配信中。

続編とリメイクのいいとこどり
『スクリーム(2022)』


ゴーストマスクを被った殺人鬼の惨劇から10年後。再び同じ手口の事件が起き、若者たちを恐怖に陥れる。かつて惨劇から生き延びそれぞれの人生を送っていた大人たちが集結し、関係者の子どもたちと犯人に立ち向かう!

スラッシャー映画ブームが下火となった90年代に登場し、「ホラー映画あるある」を絶妙に皮肉る作風で一世を風靡した『スクリーム』のシリーズ5作目。2015年に亡くなったシリーズの生みの親ウェス・クレイヴンに代わり『レディ・オア・ノット』のマット・ベティネッリ=オルピン&タイラー・ジレットが監督を務めた。

今回のテーマは「リメイク」。数多ある続編映画やシリーズ、また自作の過去作を半ば自虐的に皮肉りながら、オリジナル至上主義的な「トキシック・ファンダム(有害な一部のファン)」の問題にも切り込んでいく。創造主不在ながらもオリジナルにあった「ホラー映画」をメタ的に描く姿勢は顕在だ。「地下室には一人で行くな」「〇〇すると死ぬ」…などなど、これでもかと盛り込まれる「ホラー映画あるある」と「あるある外し」はホラーファンならずとも笑ってしまうこと間違いなし。さらに、ゴーストマスクとの歴戦を勝ち抜いてきたレジェンドキャラが、若者世代を救おうとする展開には熱いものがこみ上げてくる。

2022年公開のA24ホラー『X エックス』でも見事なスクリームクイーン振りを見せたジェナ・オルテガが主人公の妹として出演するほか、『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のマイキー・マディソン、「イエロージャケッツ」のジャスミン・サボイ・ブラウン、「Love、ヴィクター」のメイソン・グッディングら若手俳優陣とベテラン勢の掛け合いにも注目。

『スクリーム(2022)』はNetflixにて配信中(12月30日現在)。

スクールカースト、何それおいしいの?
『アンヒューマン』


郊外学習へと向かうスクールバスが事故を起こし、森の中に取り残されてしまった高校生たち。するとどこからかうめき声が…血だらけで攻撃的な何者かに襲われ、外の世界はゾンビに溢れていると判明する。若者たちは襲撃者をかわしながら廃墟に逃げ込み、協力して生き残ろうとするが…?

『ワナオトコ』シリーズのマーカス・ダンスタン監督によるホラーコメディ。ゴア描写も控えめなので、グロテスクな表現が苦手な人にもおすすめしたい。とはいえそこはただの「ゾンビ映画」とあなどるなかれ。終盤にはこれまでの「ホラー映画」におけるスクールカーストの図式を逆手に取ったひねりのきいた展開が待ち受ける。終わってみれば爽やかな青春映画のような後味で、さながらティーンホラー版『ブレックファスト・クラブ』といったおもむき。

大人世代の「常識」を越えていく、若者たちがまぶしい!

主演を務めるのはドラマ版「ラストサマー」などに出演する新星ブリアンヌ・チュー。フレッシュなキャスティングも魅力的な一作。

『アンヒューマン』はU-NEXT、Amazon Prime Videoほか各種配信サービスで有料配信中(12月30日現在)。

『ブックスマート』のホラー版!?
『トラジディ・ガールズ』


小さな田舎町で暮らすサディとマッケイラは固い絆で結ばれた親友同士。2人は街で起きている殺人事件が同一人物によるものだと推理し、パターンを予測して犯人を捕まえることに成功する。SNSに「トラジディ・ガールズ」の名前で事件についての投稿を続けるが、世間からは見向きもされない…。しかし、事件を利用して有名になろうと考える2人は、その手を血で染めることも厭わないのだった!

「デッドプール」シリーズのネガソニック役ブリアナ・ヒルデブランドと「X-MEN」シリーズのストーム役アレクサンドラ・シップが親友同士を演じる、殺人でSNSインフルエンサーを目指そうとする女の子たちが主人公の一風変わったホラーコメディ。

良心の呵責なくサクサクと人を殺していく彼女たちにはちょっと(いやかなり)共感はしづらいかもしれないが、2人の熱い友情は2019年のヒット作『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』のような妙な清々しさがあって、「悪い女の子はどこへでも行ける」(女優メイ・ウエストの言葉)を体現したかのようなラストも感慨深い。…殺人は悪い子どころか完全に犯罪だけれど!

監督は、殺されて体が継ぎ接ぎになってしまった女性たちが三位一体(文字通り)で復讐を果たそうとする『Patchwork』(日本未公開)のタイラー・マッキンタイア。

殺戮描写はかなり血みどろだが(人体損壊などグロテスクな表現もあり)、あくまでも演出はポップでコミカルなので比較的見やすい(と思う)。

『トラジディ・ガールズ』はU-NEXTで配信中(12月30日現在)。


U-NEXTで見る
《深山名生》

人にやさしく映画はたのしく 深山名生

子どもの頃から映画が大好きで、縁あってライターの道へ。web媒体への執筆やTwitterで映画の感想などを書いています。好きなジャンルはホラーコメディとSF。何事も深掘りして調べるのが趣味。ビデオスルー映画ウォッチャー。

+ 続きを読む

関連記事

特集

【注目の記事】[PR]

特集

page top