作家・原浩による第40回横溝正史ミステリ&ホラー大賞の大賞・受賞作を映画化した『火喰鳥を、喰う』の完成披露試写会が8月19日に行われ、主演の水上恒司、共演の山下美月、宮舘涼太(Snow Man)、森田望智、豊田裕大、そして本木克英監督が浴衣姿で登壇した。
満員御礼の中、歓声と共にステージにラインナップした一同。青、赤、黒などシックで雰囲気のある浴衣をまとっての登場となったが、山下は「皆で浴衣の色を揃えて、火喰鳥(ヒクイドリ)を表現しました。集団技!6人揃って火喰鳥です」と紹介した。

先読み不能ミステリーでありながら怪異に巻き込まれる夫婦のラブストーリーでもある本作。本木監督は実写化にあたり「いくつかの世界を、さらにここに並ぶ才能ある若手俳優さんたちを、どのように描きわけていくのか。そこにこだわりました」と明かした。

大学で化学を教える助教である主人公・久喜雄司を演じた水上は「僕自身はバリバリの文系。数学が嫌いで嫌いで避けてきた人生なのに」と嘆きつつも、「それぞれのキャラクターを立たせるためにも、僕がどんなリアクションをするのかが大事だと考えていた。どんな“キャッチャー”になれるのかが楽しみでした」と野球経験者ならではの例えで撮影を回想した。

「ひと言で表すならば、ミステリアス美女」と自身の役柄を紹介するのは、雄司の妻・久喜夕里子役の山下。
夕里子は夫の雄司と超常現象専門家・北斗の間で揺れる役どころでもあり、「久喜雄司と北斗総一郎を演じるお2人が、お芝居のアプローチが異なっていたので、私はその中間をいけばいいと思いました。2人に引っ張られる役だからこそ、お2人のお芝居を見て日々刺激を受けていました。不思議な世界観のお話なので、自然体で考え過ぎずに演じていました」と明かした。

久喜夫婦の敵か味方か分からない北斗総一郎役の宮館は「カフェでの長セリフの場面は僕から『ひと回しでやらせてください』というオーダーを監督にさせていただき、撮影しました。難しい役であり、挑戦させてもらう役柄だったので光栄に思っています」と見どころを語りながら、しみじみ。
北斗としての胡散臭さと説得力を両立すべく「眉毛の演技にも挑戦しています。その様子をご覧いただけたら。その場面で笑わないでくださいね!」と付け加えた。

死者の日記を届ける地元記者・与沢一香役を演じた森田は、新聞記者役を演じるのは本作が初。
演じるにあたり「あまり色がつきすぎないようにとは思いつつも、記者として真実を見極めて、恐怖に打ち勝つくらいの力の強さが大事だなと」と意識していたことを明かす。
そんな森田から、カフェでのシーンでひと回しでの撮影をリクエストしたことを明かしていた宮舘に「長い説明セリフはその作品の色を決めてしまうので難しい。なぜそれを一連で撮って欲しいとオーダーしたんですか?」という質問が。

宮舘は「演技の技術があまりないと思ったので、全部音でセリフを覚えるようにしました。自分のリズムや間合いを監督と相談させていただいて、一連で撮らせてくださいと」と説明。
本木監督から「どうやってあの長いセリフを覚えるんですか?」と振られると、宮館は「台本を右手で持ちますでしょう?それを持ったまま、セリフを言いながら回ってまた同じところに戻ってくる」と同じところをグルグル回ってセリフを覚えるという動作を生披露。「そうすると自然と覚えるようになる」と独自のメソッドに胸を張っていた。

夕里子の弟の大学生・瀧田亮役の豊田は、実年齢は水上と山下と同い年だそう。「お2人ともがドシッと構えたお芝居をしてくださったので、懐に入ってニコニコしていれば弟に見えるかなと思いました」とふり返る。

その後、舞台挨拶には、原寸大の火喰鳥の模型が登場。リアルな作りではあるものの、大掛かりな演出で模型を御披露目というシュールな展開に水上は耐えきれず大爆笑。「どこにお金をかけているんですか!?」と大はしゃぎだった。
最後はそんな火喰鳥を囲んで団扇を手にして涼やかに写真撮影。主演の水上は「本作は執着が重要なキーワードです。言葉で説明するのは難しい映画ですが、執着がある人もないと思っている人も楽しんでいただける作品になっています」とPRした。
『火喰鳥を、喰う』は10月3日(金)より全国にて公開。



