古書店街、日本のカルチェ・ラタンとして知られ、映画ファンにとっては「ミニシアター発祥の地」である神保町・御茶の水エリアに12月19日、新しいミニシアター「CineMalice シネマリス」が誕生する。
「CineMalice シネマリス」は2スクリーンを備え、シアター1では、ロードショー及び特集上映。シアター2では、準新作・旧作の上映を行う。
いずれもメジャー作品からインディペンデント作品まで国内外を問わず見応えのある作品をセレクト。また、シアター2は「サブスク制」と称し、年会費/月会費により見放題(年50本程度)とするシステムとし、映画館で映画を観る楽しさを広めていく。
本年6月~8月は、開業に先駆けてクラウドファンディングを行ったが、新規のミニシアターとしては異例ともいえる設定目標額の293%、累計支援者数1,479人、21,439,800円の資金調達を達成した。

■シネマリス設立の経緯
支配人である稲田良子氏が人生の後半にチャレンジしたいと思ったこと、長年通っていた飯田橋ギンレイホール、岩波ホールが立て続けに閉館したこと、その一方で都内でも地方でも新たに誕生するミニシアターもあることを知り、映画業界とは全く無縁の仕事をしてきたなかで家族と共に会社を設立、映画館業界一筋の副支配人の協力を得て開業に向けて動き出した。
■シネマリスが目指すもの
良い音響で良い作品を提供すること。職場、学校、家庭を離れた第三の居場所の提供を目指す。

神保町・お茶の水エリアに居を定めたのは偶然ながら、シネマリス開業予定地の近くにあった文化学院 (西村伊作、与謝野晶子らにより創設)が掲げていた理念「小さくても善いものを」に基づき、「小さくても善いもの」が溢れる神保町・お茶の水エリアでミニシアターを創り、「小さくても善いもの」を上映したい、シネマリス自体が「小さくても善いもの」でありたいと考えている。
■サブスク制の試み
シネマリスは、2スクリーン合計130席ほどの劇場。シアター1では、新作ロードショー上映または特集上映を行い、シアター2では、準新作を中心に旧作・名作も交えて「サブスク制」による上映を行う。

「サブスク制」とは月額2,500円(税込)または年額22,000円(税込)の会費を払うことにより、サブスク対象の作品(準新作等)が見放題となるシステム。
1か月で観られる映画の本数は4~6本(年間50本)程度ながら、年額22,000円で全作品を鑑賞すると1本あたりの鑑賞料金は500円以下。また好きな映画を何回も鑑賞可能(※会員にならない場合は通常の旧作料金)。
「映画館で映画を観る」サブスク制は都内ではシネマリスだけ。「見逃した作品をお得に」「大好きなあの映画を映画館で何度も」「自分で選んで観る映画ではないけれど」という機会を提供していく。
「サブスク制」は、かつて飯田橋ギンレイホール(2022年移転のためいったん閉館)の年間パスポートを利用して「自分で選ばない」映画を観ることで、新たな体験や価値観を得ることができたという支配人の経験に基づいており、鑑賞の幅を広げるための試み。
■上映作品『私は何度も私になる』
シネマリスでは、1)小規模でも良質な映画、2)様々な国の多種・多様な映画、3)新たな映画体験となるような斬新な映画、4)本国では大規模上映しているが、日本ではそうではない海外の映画、5)インディペンデント映画、という指針に基づき、ジャンル、国・地域、新旧に限定を設けることなく様々な映画体験を2スクリーンを駆使して提供していく予定。

こけらおとし作品として『私は何度も私になる』を上映。本作を手がけたタン・チュイムイ監督は、『タレンタイム~優しい歌』の名匠ヤスミン・アハマドらと2000年代のマレーシア映画界を牽引した女性監督。
本作は、第24回上海国際映画祭金爵奨審査員グランプリ、マレーシア映画祭2022最優秀女優賞受賞をはじめ、第17回大阪アジアン映画祭コンペティション部門、あいち国際女性映画祭2022、第51回ロッテルダム国際映画祭などで絶賛された。
10年以上の監督休業からの復帰作となる今作では自ら主演を務め、女性として、映画人としての想いを込めた半自伝的作品。
その他の上映作品については追って発表予定となっている。
■シネマリス(CineMalice)の由来
まず映画館名に小さな動物を潜ませようと考えたといい、Maliceはフランス語では「茶目っ気・いたずら」という意味。

「シネマリス」に隠れている「リス」のロゴマークは、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」を手掛けたアートディレクターの清水恵介氏に、キャラクターは日々の生活のあれこれをシンプルな線画で表現しXで人気を集め、書籍「日常蒐集録「ねずみ絵日記」」を出版しているジンボアユミによるデザインになっている。
「CineMalice(シネマリス)」は12月19日(金)開館予定。
所在地:東京都千代田区神田小川町三丁目14番3号 ilusa(イルサ)B1F
シアター1
・座席数:67席(予定)
・スクリーンサイズ:2.3m×5.5m(予定)
シアター2
・座席数:64席(予定)
・スクリーンサイズ:1.9m×4.5m(予定)

