A24『エディントンへようこそ』ジャパンプレミアが10月30日(木)に東京国際映画祭で行われ、監督のアリ・アスターが登壇した。
監督は前作『ボーはおそれている』以来2年ぶり3度目の来日。最新作『エディントンへようこそ』がガラセレクション部門に正式出品され東京国際映画祭初参加となった。

『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』『ボーはおそれている』に続きA24製作の本作。コロナ禍でロックダウンされた2020年ニューメキシコ州の小さな町エディントンを舞台に、小さな町の選挙戦が全米を巻き込む大事件へと発展するスリラー。主演は前作『ボーはおそれている』に続きアリ・アスター監督と再タッグとなるホアキン・フェニックス。共演にペドロ・パスカル、エマ・ストーン、オースティン・バトラーなど豪華キャストが集結した。
そんな注目作をひっさげ、ジャパンプレミアとなる舞台挨拶にはスペシャルゲストとしてアリ・アスター監督作品のファンである河合優実が会場に駆けつけた。

上映後、アリ・アスター監督は「その日のヘッドラインによっても変わっていくものですが、これまでにこんなにも毎回反応が違う映画を作ったことはないです。楽しんでいただけたら嬉しいです」と観客に向け挨拶した。
アリ・アスター監督への花束を抱え登壇した河合は「日本の観客の皆さんとこの映画がより深く繋がれるように、今日はお手伝いできればなと思ってます」と挨拶。本作の感想について伺われると「前回までの三部作と比べモチーフの捉え方や印象がとても違っていて。より今の世界とダイレクトに向き合うような作品だと思い、その目線に共感しながら観ていました」と感想を述べた。
これに対しアリ・アスター監督は「僕は新しい映画を作るたびに毎回新しいチャプターに入っています。今までの映画と違うかと言われれば確かにそういう面はあり、より現実的、日常的な世界を描いているという点では違うかもしれません。これまでの映画とすごく似ている点は、登場人物たちが自分ではコントロールできず、意識していない大きな力にコントロールされているという点だと思います」と答えた。

河合から本作の舞台となっているニューメキシコの架空の町について聞かれると「僕自身がニューメキシコで育ち、そこで映画を作りたいとずっと思っていました。非常に面白く興味深い土地で、すごく複雑な歴史を持っているところです。ブルーステートと呼ばれ民主党の人が多く、小さい街はほとんど赤い。つまり、共和党の人たちが多く非常に政治的にも複雑で、人種間の憎悪みたいなものがあるところなのです。今のアメリカを映すような、映画の舞台にぴったりだと思いました」と説明した。
また前作に続き、2回目のタッグとなったホアキン・フェニックスについては「彼は出演する映画を高め、その映画に挑戦状を突きつけるような人。本当にいいやつであると同時にひどいやつで、素晴らしい俳優であり素晴らしい人です」とホアキンを表現した。「ホアキンのみならず、エマ、それからオースティン、ペドロという本当に素晴らしい人たちとアンサンブルができました。彼らは人としても素晴らしく、もちろん役者としても素晴らしい」と出演したキャストをふり返った。

アリ・アスター作品の魅力について聞かれた河合は「シンキングタイムください!」と真剣な表情に。「登場人物がキャラクターとして魅力的。自分の身体を使い何かを演じる私たち俳優にとって、心くすぐられる経験になるなと想像できます」と丁寧に答えた。
河合主演の『ナミビアの砂漠』を観たアスター監督がコメントを寄せたことで今回の初対面が実現したこの日。作品についてアリ・アスター監督は「河合さんの演技が素晴らしくて、大好きでしたし感銘を受けました」と答えた。
また、大の日本好きとして知られるアリ・アスター監督。日本での映画製作の可能性について問われると「僕は本当に日本が大好きで、きっと世界で一番好きです。僕が映画を作るのは日本に来るためと言っても過言ではありません。日本で映画を撮るとしたら、日本で撮る価値のあるストーリーを考えなければ…日本は美しいところですので、作りたくないわけがない。作りたいです!」と日本での映画撮影に意気込みを見せた。
続けてアリ・アスター監督は「是非一緒につくりましょう!」と河合に伝えると「センキュー!」と満面の笑みに。そして、河合が「記事に書いてください!」と報道陣に声をかけると、会場はあたたかな拍手に包まれ、「『エディントンへようこそ』のプロモーションの場で私の夢が叶ってしまって、本当にちょっと申し訳ないのですが…すごく嬉しいです!」と声を弾ませた。

ラストでは観客の写真を撮りたいとリクエストしていたアリ・アスター監督。ファンからの「アリ!」「アイラブユー!」の声に「アイラブユートゥー!」と言葉を返し、ジャパンプレミアはあたたかなムードのまま幕を閉じた。
『エディントンへようこそ』は12月12日(金)より全国にて公開。


