麗しき韓服をまとい、剣を振るい、時には涙を流す――。今や世界を熱狂させるトップスターたちにも、その後の運命を大きく変えた「運命の一作」がありました。 本企画では、現代劇とは一味違う新たな魅力を開花させ、俳優としての転機となった時代劇作品をピックアップ。初々しさの残るあの頃の姿から、現在の輝きへと繋がるスターたちの足跡を辿ります。あなたが恋に落ちた「あの瞬間」が、ここにあるかもしれません。
日本で「グンちゃん」の愛称で親しまれ、韓流ブームを牽引してきたチャン・グンソクさん。
近年では、2023年のドラマ『ミッキ(餌)』で、これまでの貴公子のようなイメージを脱ぎ捨て、髭を蓄えたワイルドな刑事役を熱演。重厚なクライムスリラーで俳優としての底力を見せつけ、大きな話題を呼びました。
また、歌手活動やバラエティ番組で見せる飾らない素顔も、多くのファンを魅了し続けています。
そんな彼が、30代という新たなステージの幕開けに選び、俳優人生の大きな転換点となった作品が『テバク~運命の瞬間(とき)~』です。
韓流スターの代表格であるチャン・グンソクさんが出演するということで大きな注目を集めた同作。「テバク」とは韓国語で「大当たり」を意味します。
17世紀後半から18世紀初頭の朝鮮王朝時代を舞台に、チャン・グンソクさんは王の子として生まれながらも、数奇な運命によって賭博師となったテギルを演じました。
それまで中性的なイケメン役が多かったチャン・グンソクさんですが、この作品では野性味あふれる「朝鮮のギャンブラー」を熱演。8年ぶりの時代劇出演というブランクをまったく感じさせず、視聴者を虜にしました。

チャン・グンソクさんはインタビューの中で、出演を決めた理由を次のように明かしていました。
「これまで僕が演じたことのない役柄だという点に、大きな魅力を感じました。20代後半までは、綺麗なイメージや中性的な姿をたくさんお見せしてきましたが、今回の『テバク』ではまさに風雲児、男らしい野性そのものの姿を演じられそうだと思ったのです。30代最初のドラマとしてこの作品を選択することは、僕にとって非常に大きな意味があると考え、出演を決めました」
トップスターとして走り続けてきた彼にとっても、演技の幅を広げる必要性を感じていた時期だったそうです。つまり、『テバク』への出演そのものが、彼自身の人生を懸けた「大勝負」でもありました。
「今の自分にとって、まさに人生の大勝負の時だと感じています。長い間待ち望んでいた役と作品に出会えました。『男』という言葉がふさわしい、30代最初の作品です。僕にとって価値のある転換期になると思いますし、そうなるように努力しなければなりません。これまでの世界観とはまた違う、演技の幅を一層広げるチャンスだと思っているので、悩み、考えながら取り組んでいます」
時代劇への出演は『快刀ホン・ギルドン』以来8年ぶり。その間も現代劇で活躍してきましたが、時代劇ならではの難しさについても語っていました。
「時代劇は自分が生きたことのない時代に向き合うため、歴史的背景や人物に対する細かい分析が必要になります。僕が完全に役になりきってこそ、視聴者の皆さんもドラマの世界に浸ってくださる。ですから、より一層の責任感が伴います」
チャン・グンソクさんのこの覚悟は、見事に視聴者へと届きました。韓国メディアは「チャン・グンソクの再発見」「第2の演技人生を迎えた」などと絶賛。本作を通じて、彼は俳優として一皮むけた姿を見せたのです。
文=森下 薫
■【関連】チャン・グンソクと韓ドラ時代劇の関係性。『テバク』の覚悟


