アカデミー賞長編アニメ映画賞ノミネート、アヌシー国際映画祭最高賞など世界の名だたる映画賞を席巻した冒険ファンタジー『ARCO/アルコ』予告映像が解禁。監督のウーゴ・ビアンヴニュのインタビューも到着した。
物語の舞台は気候変動により荒廃が進んだ2075年の地球。10歳の少女イリスは、ある日、空から虹色の光を放ちながら降ってきた不思議な少年を助ける。その少年アルコは、虹色マントの力によりタイムトラベルが可能になった遥か未来から不時着したのだった。
そしてその不思議なマントを手に入れようと、謎の三人組が迫ってくる。イリスとアルコは、追っ手を振り切りながら、元の時代に戻る方法を探す旅に出るが…。
この度解禁された予告映像では、遥か未来からやってきた虹色の少年アルコの不思議な魅力に興味津々のイリスの微笑ましい姿と、そんな二人が互いを想い友情を育む様子が美しい音色と壮大な景色の中で紡がれていく。それに加え謎の三人組や大量のロボットに追われるハラハラドキドキの展開や、巨大な恐竜が出てきたりと、心躍る一幕が随所に散りばめられている。
壮大でスペクタクルな大冒険が、美しい映像とそれに重なり合うような優雅な音楽で表現され、二人の勇気が未来を変える心震わす色彩豊かな冒険ファンタジーに仕上がっている。
本作が長編アニメーションデビューとなるウーゴ・ビアンヴニュ監督。近未来を舞台にどこか懐かしく温かい物語を、鮮やかな色彩のアニメーションで独創的に表現した。
監督は「私は、あるとき「家族のためのSF映画」を作りたいという思いに駆られました。それは、私たち大人と子どもが一緒に楽しめる作品であり、若い頃に心を動かされた冒険譚のような、まさに私たちの共通の土台ともいえる物語を、透き通った結晶のような形で分かち合える作品です」と語る。
「“希望”を与えてくれる物語が必要だったのです。それは、明日ではなく、明後日を想像することへと私たちを導いてくれるような」と続ける。「この未来から来た子ども、アルコは、同時代の仲間たちと同じように、虹色のスーツを使って時間を移動し、人類の歴史を静かに見守る観察者でした。つまり、私たちが太古から見上げてきた虹とは、未来人が空から私たちを見つめていた証だったのです。しかしアルコは、時間旅行のルールを破り、自らの過去に迷い込んでしまいます。それは、私たちにとっての「近未来」、拡張された現実に支配された社会。そこでは、拡張現実、過剰なコミュニケーション、管理社会、環境問題、人間の仕事を代替するロボット…そうした過ちの数々が、人間を人間らしさから切り離してしまっているのです。それは、過去数年の社会の風刺画ともいえる世界であり、あえて問題を極端に描くことで、今の私たちの現実の歪み、そしてそれでもなお世界に残る美しさを際立たせて見せようとしています」と説明。

「その近未来で、アルコはイリスという少女に出会い、保護されます。イリスは、自分の時代を体現する存在です。ナニーロボットに育てられ、両親にはほとんど会えず、ホログラムによるビデオ通話でしか繋がることができません。彼女が生きているのは、すべてが拡張現実で彩られた幻想の世界。自然は絶え間ない災害にさらされ、テクノロジーによって辛うじて維持されていますが、それも結局は破綻を先延ばしにしているだけに過ぎません。そんな世界の不条理さを浮き彫りにするのが、よりシンプルな未来から来たアルコの“澄んだまなざし”です。そしてこの物語における真の敵とは想像力が神聖視された論理に取って代わられ、詩情が事実の前に後退してしまった、イリスの世界そのもの。人間が自由に動ける余地がほとんどない、硬直した世界。それは、ふたりの子どもたちをじわじわと締めつけていく、見えない檻なのです」。
「脚本を書く上で最も大切にしたのは、「すべてを子どもたちの目線、彼らの想像力や恐れを通して描くこと」。アルコは私の創作の本質、すなわち「継承」というテーマの延長線上にあります。共に生きる未来のあり方、幸福や愛、人間性の可能性、そうしたものを、私たちがいま切実に欠いている世界の中で問い直す試みです。作品には、私の代表的なキャラクターである「ミッキ」も登場します。彼は、親の代わりとなる存在であり、記憶をつなぐ者として、私のあらゆる作品に登場してきました。本来出会うはずのなかった、異なる時代の子ども同士の出会いがもたらす冒険を通して、私たちにも、よりよい世界を共に築くことができる、そんな希望の種を、観客の心にまきたいと願っています」と語る。

「またビジュアルスタイルも一貫して写実的です。私にとって、未知なる世界を観客に信じてもらうためには、リアルであることが不可欠なのです。だからこそ私は、観客がこの物語をすんなり受け入れ、余計な不安や疑問なく没入できるように、本物の、手に触れられるようなリアリティを提示することを大切にしています。本作は2Dアニメーションで制作されています。2Dアニメーションこそが、世界を真に魅了し、事実ではなく感覚としての真実を最も美しく描き出せる手段だと、私は信じています」とアニメーションの持つ力を熱弁。
さらに「私が目指していたのは、すべての人に向けた映画。クラシックでありながら野心的で、自分がこの道を志すきっかけとなった、あの心に深く刻まれた冒険映画たちの系譜に連なる作品をつくることでした」と監督は語る。例を挙げれば『E.T.』『ピーター・パン』『ピノキオ』『となりのトトロ』『崖の上のポニョ』『魔女の宅急便』『天空の城ラピュタ』『やぶにらみの暴君』『キリクと魔女』など。いずれも、大衆向けでありながら非常に質の高い作品で、軽やかな表現の裏に、現実を生き抜く力や、人間性、他者との関係、そして世界との向き合い方を鋭く問いかけてくる作品たちです」とジブリ作品も引き合いに出した。

「この映画を、思い描いていた通りに、ゆっくりと時間をかけて熟成させることができました。脚本と映像、物語構造の各フェーズを交互に進めながら、互いに影響し合い、育て合う。アルコというキャラクターには、結晶のような純粋さがありました。この映画を観終えたとき、観客のみなさんが、虹という魔法のような自然現象を、もう以前と同じようには見られなくなることを願っています。そして、その虹の向こうに、それぞれが新たな未来の可能性を、思い描けるようになってくれたら、それが私の願いです」と語った。
『ARCO/アルコ』は4月24日(金)より、TOHOシネマズ日比谷ほか全国にて公開。



