アヤクーチョとは、ケチュア語で「死者が集まる場所」という意味であるペルー南部・アンデス山脈の山中に位置する町の名前だ。埼玉県・秩父に移り住んだアヤクーチョ出身の歌手イルマ・オスノは7年ぶりに里帰りを決意する。帰郷によって浮かび上がるのは、かつてその地域を暴力で支配した「センデロ・ルミノソ」による傷跡と、社会の現状に対して音楽で抵抗した人々の姿だ。本作は写真家・ホンマタカシが、ペルーと秩父というまったく無縁であるはずの2つの土地を結ぶ一人の女性の屈託の無い生き様を鮮やかに映し出し、音楽とともに強く生きるアヤクーチョの人々の姿をありありと描く。ペルー・アンデスの先住民音楽を追ったホンマタカシ初の音楽ドキュメンタリー。
ホンマタカシ