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2014年2月のSPECIAL:『her/世界でひとつの彼女』

her/世界でひとつの彼女

【予告編】 『her/世界でひとつの彼女』の世界

『her/世界でひとつの彼女』――“見えない”ヒロイン


ここのところ、どこかで聞いたような話とか、あの小説や漫画が原作、とかそんなことが当たり前になっている映画界。それはそれで面白さがあるのですが、やっぱり思い切り独創的な映画を観たいなぁ…なんて。そんなみなさんにぴったりの作品が、スパイク・ジョーンズ監督自身が脚本も手がけた新作『her/世界でひとつの彼女』。

これまでも『マルコヴィッチの穴』『アダプテーション』『かいじゅうたちのいるところ』などで、その類い稀なるイマジネーションとクリエイティビティを発揮させてきたジョーンズ監督。今回も期待を裏切らず、やってくれました。最新作はラブストーリーでありながら、何とヒロインが姿を見せません。見せないと言うか、姿がないのです。

主人公は、依頼者に代わって家族や恋人へ手紙を書く代筆屋のセオドア。幼馴染の妻と離婚調停中の彼が、ある日出会ったのが、いくつかの質問に答えるだけで自分のために最適化されるというAI型OSの広告。妻と離れて以来、孤独だった彼は、さっそくPCからサイトにアクセス。そして“現れた”のがサマンサでした。

肉体こそないものの、明るくてセクシー、一瞬ごとに進化し、人間以上に活き活きとしていてユーモラス。人生にときめくチャーミングなAIに、始めは驚きとまどっていたセオドアでしたが、話を聞き、理解し、個性も意識も持ち合わせる世界初のAI型OS・サマンサとやがて恋に落ちるのです。

姿なきヒロイン・サマンサですが、この表情豊かな“声”がとても魅力的。担当するのがスカーレット・ヨハンソンと聞けば、映画を観る前から期待が高まりませんか?

セオドアとサマンサのやりとりは、常に声による交流のみですが、それがまた観る者の想像力をそそります。二人の写真がないからと音楽を作ったり、すばらしい情報処理能力を駆使し仕事を手伝ってくれたりと、サマンサは実体がないことすら忘れさせるほどの魅力で、セオドアを虜にしていくのです…。

最大の見どころ(聴きどころ)は、ただでさえ官能的でチャーミングなサマンサが、セオドアと愛を交わすラブシーン。触れ合ったり、見つめ合ったりすることのできない二人が、相手を想うことだけで気持ちを高め合うわけです。抱きしめ合えない分、2人が交わす言葉には、相手への思いやり、愛おしさがとめどなくあふれ出ます。

触れ合えない相手とも愛を交わせるのは人間だけの特権。昔なら文通、現代ならSNSなどで会ったことのない人に、もしくは小説の主人公に、文字だけで恋心を抱いた経験のある人はいるのではないでしょうか。人は、言葉だけで感情を膨らませることのできる生き物。そう考えると、AIと人間との恋を軸にした奇想天外な物語ながら、とても身近なことにも思えるのです。

サマンサが見せる妙に人間的な感情や表現は、やがて、「モノとの愛なんて…」と思っている観客をも、「もしかしたらアリかも…」と思わせるほど。そして、愛し合うことの本当の意味についても考えたりして。愛の定義は人それぞれですが、監督はこう考えているそう。

「愛し合うということは、恋人同士が物事に対してのそれぞれの違う見方を見せ合うこと。恋が上手くいけば、相手を通じてエキサイティングな、インスパイアリングな、時に自分に挑戦してくるような物事の見方を知り、それは自分の見方を変えていく。そして新しい自分自身を発見させてくれる」。

肉体的な交わりなしに、愛は考えられないという人もいるでしょう。その反対に、本作を観て、肉体は関係ないと確信する人もいるかもしれません。「セオドアとサマンサを通して“愛”と“結びつき”を可能な限りいろんな角度から描きたかった」と監督。もしかすると、ここで描かれる新しい愛のカタチを通して、あなたにも愛に対する新しい概念が生まれるかもしれません。

ソフトバンクの孫社長は、先ごろ行った人型ロボット、PEPPERの発表会で、ゆくゆくは愛を理解するものにしたいのだと話していました。サマンサの登場はきっとそう遠くない未来のこと。あなたは、AIとの交流、準備できていますか?

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【ココが見どころ!】主題歌の魅力
           カレン.O「The Moon Song(ザ・ムーン・ソング)」

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スカーレット・ヨハンソン演じる姿なきヒロイン・サマンサの声はもちろんだが、本作にはもう一つの“見どころ(聞きどころ)”が!

それが、本年度アカデミー賞の授賞式でパーフォーマンスも披露した、カレン・Oが歌う本作の主題歌「The Moon Song(ザ・ムーン・ソング)」。そのアンニュイかつ切ない歌声をご紹介!

≫「記事を読む!」

【インタビュー】 エイミー・アダムス/エイミー役

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5回のアカデミー賞助演女優賞ノミネートという輝かしいキャリアと実力を持つエイミー・アダムス。これまでも名監督たちと仕事を共にしてきた彼女だが、今回選んだのは、ハリウッドの鬼才スパイク・ジョーンズの最新作『her/世界でひとつの彼女』だ。

AIと人間との恋を軸にした奇想天外な物語ながら、恋の真実を描いた本作へは、「ホアキン・フェニックスに惹かれて出演した」というエイミー。彼女の役どころは、ホアキン演じるセオドアの良き理解者である女友達のエイミーだ。2人の関係について彼女はこう語る。

「2人の共通点は、私たちのどちらもが岐路に立っていることね。感情的な岐路に立ち、物事を違う目で見ているのだと思うわ。2人を結びつけているのは友情だわ。皮肉も遠慮もない純粋な愛といえるわね」。

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INFO

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『her/世界でひとつの彼女』
STAFF
監督・脚本: スパイク・ジョーンズ
製作: ミーガン・エリソン
撮影: ホイテ・ヴァン・ホイテマ
美術: K・K・バレット / ジーン・サーデナ
衣装: ケイシー・ストーム
音楽: アーケイド・ファイア / オーウェン・パレット / カレン・O
CAST
ホアキン・フェニックス
エイミー・アダムス
ルーニー・マーラ
オリヴィア・ワイルド
(声の出演)
スカーレット・ヨハンソン

 劇場公開日 2014年6月28日

©2013 Untitled Rick Howard Company LLC All rights reserved. Photo courtesy of Warner Bros. Pictures
Photo courtesy of Warner Bros. Pictures

PRESENT

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