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【MOVIEブログ】2016カンヌ映画祭 ラインアップ予習(上)

今年もカンヌ映画祭が5月11日(現地時間)から22日(現地時間)まで開催されますが、つまりあと数日! 僕も例年通り出張しますが、準備がなかなかはかどらない…。というわけで、準備の一環として今年のラインアップの予習をしてみます。 かなりの長文です!

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今年もカンヌ映画祭が5月11日(現地時間)から22日(現地時間)まで開催されますが、つまりあと数日! 僕も例年通り出張しますが、準備がなかなかはかどらない…。というわけで、準備の一環として今年のラインアップの予習をしてみます。 かなりの長文です!

まずはコンペをずらっと並べてみます。一部原題を除いて、主に英語タイトルです。タイトルの後は監督名で、カッコ内の国名は監督の国籍に準じてみました(映画自体は複数国の共同製作の場合が多いので)。監督は、読み方が確かでない場合はアルファベット表記のままです。

『Toni Erdman』マーレン・アーデ(ドイツ)
『Julieta』ペドロ・アルモドバル(スペイン)
『American Honey』アンドレア・アーノルド(イギリス)
『Personal Shopper』オリヴィエ・アサイアス(フランス)
『La Fille Inconnue』ダルデンヌ兄弟(ベルギー)
『It’s Only the End of the World』グザヴィエ・ドラン(カナダ)
『Slack Bay』ブリューノ・デュモン(フランス)
『Mal de Pierre』ニコール・ガルシア(フランス)
『Rester Vertical』アラン・ギロディー(フランス)
『Paterson』ジム・ジャームッシュ(アメリカ)
『Aquarias』Kleber Filho Mendonca(ブラジル)
『I, Daniel Blake』ケン・ローチ(イギリス)
『Ma’ Rosa』ブリランテ・メンドーサ(フィリピン)
『Bacalaureat』クリスチャン・ムンジウ(ルーマニア)
『Loving』ジェフ・ニコルズ(アメリカ)
『The Handmaiden』パク・チャヌク(韓国)
『The Last Face』ショーン・ペン(アメリカ)
『Sieranevada』クリスティ・プイユ(ルーマニア)
『Elle』ポール・ヴァーホーヴェン(アメリカ…ここだけ例外、もちろん監督はオランダ人ですね)
『The Neon Demon』ニコラス・ウェンディン・レフン(デンマーク)
『The Salesman』アスカー・ファルハディ(イラン)

コンペ21本。今年もすごい面々が並んだ! 第一印象は、コンペに新たな顔ぶれを入れようという意図が伺えた昨年に比べ、常連スター監督が顔を揃える従来型に戻ったかな、ということ。少し映画好きだったら、大半の監督は知っているでしょう。あとは、アジアの存在感が薄いということ。韓国が久しぶりに入ったのは喜ばしいけど、東アジアから2本かよ…、というのは残念。でもこれはここ数年続いている傾向で、いまさら驚くことでもないのだけれど。

というわけで地域別に見ていくとして、まずは本国フランス。100%フランス映画としては2本、他国との共同製作でフランスの出資率が高い作品が3本、同じく出資率が低い作品が5本、合計するとフランス映画と言える作品が何と10本。ヨーロッパの映画製作におけるフランスの影響力の大きさが伺えるというものです。まあそれでも純粋にフランス映画と呼べるのは、アサイアス、デュモン、ガルシア、ギロディー、の4本でしょう。

オリヴィエ・アサイアスの『Personal Shopper』は、前作『アクトレス~女たちの舞台~』(’14)に続いてクリステン・スチュワートを主演に迎えた英語映画。パリのファッション界を舞台にしたゴーストストーリーとのことで、今回もとても楽しみ。アサイアスはコンペの常連だけれど、監督賞や作品賞に絡んだことがないので、そろそろ期待したいところ? まあ、賞を取っても取らなくても作品の価値にはあまり関係ないですけどね。

ブリューノ・デュモンは『ジーザスの日々』(’97)で新人賞のカメラドールのスペシャル・メンション、『ユマニテ』(’99)が2等賞のグランプリと男優賞と女優賞、『フランドル』(’06)でもグランプリ受賞で、カンヌの申し子的存在です。シネスコサイズの画面に広がる崇高な映像に精神性の高い主題が展開し、現在世界で最も重要な作家のひとりで、間違いなく今作も話題になるはず。

女優でもあるニコール・ガルシアは、今回の作品が8本目の長編監督作品。主演はマリオン・コティアールで、フランス的にはこれも盛り上がるだろうなあ。

そして、僕の今年のコンペ最大の楽しみの1本が、アラン・ギロディー! 彼の作品は日本で劇場公開されたことがないので日本での知名度は高くないかもしれないけど、東京国際映画祭では2009年に『キング・オブ・エスケープ』を上映して監督も招聘し、奇想天外な世界観を堪能させてくれました。2013年の『Stranger by the Lake』はゲイのナンパスポットを舞台にした、これまた奇抜過ぎるスリラーで、「ある視点」部門の監督賞を受賞しています。この『Stranger by the Lake』はめちゃくちゃ面白いのだけど、あまりに男性の局部がイノセントに大量に露出するので、日本公開のハードルが高く、涙を飲んだ映画会社もあったようです。実際、ボカシを入れると面白さが半減してしまうので、これはもう日本に生まれたことを後悔するしかない…。そのギロディー、新作が待望の初コンペ! どんな作品を見せてくれるのか、これはもう猛烈に楽しみです。

ベルギーのダルデンヌ兄弟は、常連中の常連。前作『サンドラの週末』も僕はとても好きで、なんて素晴らしい脚本なのだろうと感嘆しつつ、無冠に終わって呆然としたものでした。いまさらダルデンヌに賞を上げなくてもいいだろう、という声も聞こえて、それはまあそうなんだけど、いい映画はいい映画として評価すべきだし、賞を巡る考え方はなかなかややこしいですね。今回はアデル・ハネル主演で、ジェレミー・レニエとオリヴィエ・グルメら、ダルデンヌ常連組が共演。アデル嬢扮する医者が、自分が診療を断った患者の死を調べる話、とのことで、期待大です。

スペインの巨匠アルモドバルは、意外にもカンヌの最高賞であるパルムドールを受賞していない。アカデミー賞取っているからカンヌはどうでもいいと本人が思っているどうかは全然知らないけれど、今回はラテン系で唯一のスター監督なので、そういう意味でも期待が集まりそう。イタリア映画はゼロだし。

イギリスの大巨匠ケン・ローチは、監督引退宣言を撤回(?)して、めでたく新作を完成させてカンヌ入りが実現したことは本当に喜ばしい。今回で本当に最後になるとは思いたくないけれど、あと何本も作ることはないのは確かだろうから、心して臨もう。中年の大工が怪我をして保障を求める内容のようで、社会派ケン・ローチの本領発揮を期待したい!

イギリスからはもうひとり、アンドレア・アーノルド監督。長編1作目の『Red Road』(’06)でいきなりカンヌのコンペに選ばれて審査員賞を受賞、続く『フィッシュタンク』(’09)でも審査員賞受賞という実力者。『フィッシュタンク』は日本ではDVD発売されたけど劇場公開はなかったかな。前作は『Wuthering Heights』(’11)、つまり「嵐が丘」の映画化で、ヒースクリフに黒人俳優を配した、美しく激しいリアリズム演出の秀作でした。今回の『American Honey』はロードムービー的な無軌道青春もののようで、そろそろちゃんと日本公開されてほしいなあ。

デンマークのニコラス・ウェンディン・レフン監督は新しい常連。『ドライブ』(’11)の大絶賛(監督賞受賞)のあと、『オンリー・ゴッド』(’13)でいささか評判を落としてしまい、今回で名誉挽回となるか? という感じでとても注目です。日本公開は2017年に内定しているようですね。

ドイツから久しぶりに新しい名前が入った! ということで注目したいのがマーレン・アーデ監督。長編3本目の女性監督で、前作『Everyone Else』(’09)がベルリンで銀熊賞を受賞していますが、これは『恋愛社会学のススメ』という邦題でDVDが出ていますね。ミゲル・ゴメス監督の『熱波(Tabu)』や『アラビアン・ナイト』のプロデューサーでもあり、7年振りの監督作に期待がかかります。

なんといっても、ドイツ映画のカンヌコンペは珍しくて、2月にベルリン映画祭があることと無関係ではないかもしれないけれど、カンヌにおけるドイツの存在感は例年決して高いものではない印象があります。カンヌ自体に初参加のマーレン・アーデ監督が新風を巻き起こすか、そして果たしてドイツの新たなスター監督になっていくのか、かなり楽しみです。

大注目は、ルーマニアから2本入ったこと。クリスチャン・ムンジウが『4ヶ月、3週間と2日』でパルムドールを受賞してルーマニア映画のブームを巻き起こしたのが2007年。続く長編の『汚れなき祈り』(’12)は脚本賞。今作が4本目の長編で、絶対に見応えのあるものを作ってくるだろうという確信があります。

『4ヶ月、3週間と2日』がコンペの最高賞を受賞した07年は、「ある視点」部門でもルーマニアのクリスチャン・ネメスク監督が『カルフォルニア・ドリーミン』で受賞し、ルーマニア映画が一躍世界の注目を集めるようなった年でした(実に無念なことに、ネメスク監督は同作の完成直前に事故死してしまいました)。長廻しを駆使したリアリズム演出、と特徴をまとめてしまうのは乱暴ですが、以来ルーマニアから才能が続々と現われ、世界の映画祭を席巻していくようになり、東欧映画全体がルーマニアに牽引される形で存在感を増していった印象があります。

その2007年からちょうど10年後の今年、カンヌのコンペにルーマニアから2本入るというのは何かの巡り合せを感じます。クリスティ・プイユ監督はムンジウとは1歳違いの同世代であり、2005年に『ラザレスク氏の最期』で「ある視点」賞を受賞し、ルーマニア映画ブームの先鞭をつけた存在でもあります。新作は、家長の命日に集まった家族を巡る話のよう。ルーマニアで家族もの、これは絶対にただ事では済まない予感がしますね。必見でしょう。

さて、南北アメリカに目を移すと、米国から4本。これもなかなか多いですが、でもジャームッシュ、ジェフ・ニコルズ、ヴァーホーヴェン、ショーン・ペン、ぐうの音も出ない豪華メンバーですな。

ジャームッシュが『ストレンジャー・ザン・パラダイス』でカンヌ新人賞を受賞したのが84年。日本公開時に見て、熱狂しましたが、もう32年前になるのですね…。信じられん。新作の主役はアダム・ドライバー(ハン・ソロの息子ね)、ゴルシフテ・ファラハニ(『彼女が消えた浜辺』など、猛烈に美しい女優さん)などが主演で、ニュージャージ州にあるパターソンという町を舞台に、バス・ドライバーと詩人を巡る話とのこと。んー、アダム・ドライバーとジャームッシュの相性はとても良さそうな気がする。なんとなくインディペンデント映画に似合う顔という気がするんだよな、アダム・ドライバー。で、永瀬正敏さんが『ミステリー・トレイン』(’89)以来となるジャームッシュ作品出演をされているらしく、その点でも絶対に見逃すわけにはいかんです。

ジェフ・ニコルズは、今年のベルリンのコンペに入った『Midnight Special』に続き、カンヌでは更なる新作『Loving』がコンペに。『Midnight Special』がシャマラン先生的タッチなSF絡みのドラマだったのに対し、『Loving』は50年代の白人男性と黒人女性の結婚が描かれる(当時は違法だった)とのことで、かなり内容もテイストも異なるものになるみたいです。あ、でも両作ともマイケル・シャノンが主演だ。なるほど。

ある意味、今年のコンペの目玉というか、話題の1本になりそうなのが、ヴァーホーヴェン御大の新作『Elle』。審査員長がジョージ・ミラーだから、ヴァーホーヴェン入れてみようよとカンヌの事務局が思ったかどうか、いや、そんなことはありえないとは思うけど、ちょっと想像してみると楽しいですね。硬派な批評家筋からも評価された商業大作という意味で、『マッドマックス 怒りのデスロード』は何に似ているかと言うと、それは『スターシップ・トゥルーパーズ』なんじゃないか? と僕は思うわけで、ジョージ・ミラーがヴァーホーヴェンを審査するなんて、楽し過ぎます。ちなみにジョージ・ミラーは45年生まれの71歳、ヴァーホーヴェンは38年生まれの78歳!

そして、ヴァーホーヴェンの新作、主演がイザベル・ユペール! 最近のユペールは、怖かったり神経症ぽかったりするイメージを和らげるような、シンプルで優しい役も多かったけれど、今作ではガチで怖い役みたい。ゲーム会社の情け知らずの鬼社長が、その鬼っぷりを私生活にも発揮するお話、とのことで、ああ想像しただけで恐ろしい。ああ、早く見たい。

ショーン・ペンの、『イントゥ・ザ・ワイルド』(’07)以来8年振り、5本目の長編監督作となるのが『The Last Face』。シャーリーズ・セロン、ハビエル・バルデム、アデル・エグザルコプロス(『アデル、ブルーは熱い色』のアデル嬢)、ジャン・レノなどがクレジットされていて、なんとも豪華! アフリカを舞台に国際医師団が現地の政治に翻弄されていく話、かな? ショーン・ペンがこういう題材をどう演出するのか想像が付かないので、逆に期待がそそられますね。

ところで先日、映画専門チャンネルのムービー・プラスのカンヌ特集番組に少し出たのですが、そこで「ショーン・ペンとシャーリーズ・セロンが一緒にカーペットを歩くかどうかはゴシップ的に楽しみですね」みたいな話題が出て、え、付き合ってたの? で、別れたの? と、口には出さなかったけど実は何も知らなかったので焦りました。ハリウッドの大物ゴシップくらいは知っておかないといかんなあ、と反省した次第…。ちなみに、放映は5月8日(日)が第1回で、あと数回再放送されるとのことなので、もしご興味があればチェックしてみて下さいませ!

さて、北に行ってカナダ。グザヴィエ・ドランが今回も入りました! もう改めて紹介するまでもないけど、でもようやく日本でも「改めて紹介するまでもない」ところに来ましたね、ドラン。まさにカンヌの申し子中の申し子。少し休む、といううわさも聞いていたのですが、どうやらガンガン作っているらしく、次の作品も既に進行しているらしいです。

デビュー長編がカンヌ「監督週間」部門、2本目がカンヌ「ある視点」部門、3本目も「ある視点」部門、4本目がヴェネチアのコンペで、ようやく5本目の『Mommy/マミー』が待望のカンヌコンペ入りを果たし、審査員賞を受賞したのが2014年。ドランが凄まじいのは、この1本目から5本目までを、20歳から26歳までの6年間で成し遂げていることで、彼ほど天才という称号が似合う若手映画人はいないでしょう。現場では暴君らしいですが、まあこれだけ圧倒的な結果を出していたらそれもやむなしというところでしょうね。

今回の『It’s only the end of the world』は、主演がギャスパー・ウリエルで、病を抱えた作家が、死期が近いことを報告すべく久しぶりに故郷の家に帰る、という内容らしい。うん、とてもドランらしいな。共演にマリオン・コティアール、レア・セドゥー、ナタリー・バイ、ということで、完全に今回のルックはフランス映画ですね。果たして一気にパルムドールまで行けるか、とても話題になりそうです。

南米からは1本、これはあまりに少ないなあ。昨年はカンヌ全体を通じてコロンビア映画が存在感を発揮したけれど、今年の南米勢は少しおとなしいかも…。ブラジルのKleber Filho Mendonca監督は、今回の『Aquarius』が長編監督2本目で、いきなり初カンヌでコンペ入り(ドランは怒らないかな)。これは猛烈に期待を煽られます。

発表時に名前にぴんと来なかったので調べてみたら、前作の長編1作目『Neighbouring Sounds』が2012年のロッテルダムのコンペに出品されていたとのことで、ああそれなら僕も見ていた。空間を広く使うカメラワークが個性的で、音楽の使い方にも特徴があり、スケールを感じさせる演出が印象に残る監督だったはずです。あ、ならば当時の出張ブログを見てみようとネット検索してみると、出てきた! せっかくなので採録します:

「15時半から、今度もコンペ部門で『Neighbouring Sounds』というブラジル映画。先日も書いたけど、今年のロッテルダムはブラジル映画がとても目につく。やはり何かが起こっているのか…。本作は、ブラジルの地方都市を舞台にした一種の人間ドラマで、冒頭からケレン味たっぷりの映像と音響が不穏な雰囲気を高めていくのだけど、んー、いささか不発弾だったかな。一応は抽象映画(僕がいま思いついた造語です)ではなく、リニアな構造を持った物語映画なのだけれど、語られるエピソードが断片的で互いに繋がらず、物語がなかなか転がってくれない。そのフラストレーションは最後まで解消されることなく、序盤に期待されたカタルシスはもたらされない。残念と思うべきか、僕の期待の持って行き方が間違っていたのか…。」(2012年2月2日のブログ)

なんだ、褒めてないじゃん。ハハ。ともかく、どのように化けているか、しかと見届けねば。

さて、いよいよ中東とアジア。ラインアップ発表会見から数日遅れて追加されたのが、アスガー・ファルハディ監督新作。一瞬黒沢清監督か西川美和監督を期待したのですけどね…。ファルハディでした。いや、ファルハディも崇拝するほど好きな監督なので、とても嬉しいです。

ファルハディは2作目の『Beautiful City』(’04)がワルシャワ映画祭でグランプリを取ったあたりで注目され始めましたが、決定的にブレイクしたのが『彼女が消えた浜辺』(’09)からでしょう。ベルリンで監督賞を受賞し、『別離』(’11)ではベルリン最高賞(ちなみにこの年のベルリンはこの『別離』とタル・ベーラの『ニーチェの馬』が競っていて、本当に素晴らしい年だった)。ベルリンが育てた監督だけど、『ある過去の行方』(’13)からはカンヌに鞍替えして、本作もカンヌ。ベルリンは悔しいかな、どうかな。

『The Salesman』というタイトルに「セールスマンの死」を連想していたら、まさにアーサー・ミラーの戯曲「セールスマンの死」に出演中の男優と女優のカップルの関係が危機に陥っていく内容とのこと。おー、これまたファルハディらしい。息が詰まるように緻密な脚本で仕上げてきているに違いない。前作はベレニス・ベジョに主演女優賞をもたらしたフランス語映画だったけれど、今作はイランのキャストで作っている様子。間違いなく、パルム・ドールに近い監督のひとりでしょう。

東アジアから、フィリピン映画界の我らがボス、ブリランテ・メンドーサ監督! 昨年の東京国際映画祭で特集を組んだので、見た方も多いのではないかな。昨年は『罠(わな)~被災地に生きる』がカンヌの「ある視点」部門に選ばれ、今年は『Ma’ Rosa』がめでたくコンペ入り。『サービス』(’08)、『キナタイ マニラ・アンダーグランド』(’09)に続く3度目のカンヌコンペで、『キナタイ』では監督賞を受賞しているし、まさにカンヌ的にはカワゼやコレエダと並んで、アジアを代表する存在。

東京国際映画祭が国際交流基金とともに製作を進めているオムニバス短編『アジア三面鏡(仮題)』の1編をメンドーサ監督が手がけていることもあるし、ご縁は深まるばかり。新作にも期待大です。

そして、最後は韓国から、パク・チャヌク新作! 来た! 韓国映画がカンヌのコンペに入るのは、2012年にホン・サンス監督『3人のアンヌ』とイム・サンス監督『密の味~テイスト オブ マネー~』の2本が入って以来4年振りで、待ちに待った感がありますね。で、このパク・チャヌク新作は、サラ・ウォーターズ原作の「荊の城」を、韓国を舞台に映画化したものとのことで、パク・チャヌクが文芸もの? これも全く予想がつかず、待ちきれません。

以上、全作品に触れていたら超長文になっちゃいました。楽しみでない作品が1本も無いということで、やはりとんでもないラインアップですね。果たして何本見られるか? カンヌではミーティングもたくさん入るので映画を見てばかりいるわけにもいかないけれど、1本でも多く見られますように。でも、チケットシステムもややこしいんだよなあ…。

ということで、コンペは以上。他部門の気になる作品など、続きは「カンヌ予習(中)」で!
《矢田部吉彦》

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