【インタビュー】妻夫木聡×新井浩文×大根仁監督  働く男たちの素晴らしい日々!

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妻夫木聡×新井浩文×大根仁監督『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』/photo:Nahoko Suzuki
  • 妻夫木聡×新井浩文×大根仁監督『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』/photo:Nahoko Suzuki
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  • 新井浩文『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』/photo:Nahoko Suzuki
  • 大根仁監督『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』/photo:Nahoko Suzuki
  • 『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(C)2017「民生ボーイと狂わせガール」製作委員会
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  • 『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(C)2017「民生ボーイと狂わせガール」製作委員会
“奥田民生になりたいボーイ”という言葉の破壊力の凄まじさよ…! どんなに世の中が「ナンバーワンよりオンリーワン」と叫ぼうが、「私以外私じゃないの」と歌おうが、男たちは奥田民生になりたくて、奥田民生のように生きたくて仕方がないのだ。

じゃあ、奥田民生って何なのか――? ロールモデル? カリスマ? カルチャー・アイコン? そんな気どった言葉はどうもしっくりこない…。

「奥田民生は、ただ奥田民生を生きている」――妻夫木聡が口にした、そんな言葉がざっくりと全てを表しているように思える。

映画『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』はタイトルそのまま、奥田民生の生き方に人生の啓示を受け、奥田民生のようになろうと奮闘する男の悲喜こもごもを描く。主人公・コーロキを演じ、自身も“奥田民生になりたいボーイ”であると語る妻夫木聡、コーロキの先輩編集者・吉住を演じた新井浩文、そして大根仁監督の鼎談が実現!

――まず、いったいなぜ、みんなそんなに奥田民生になりたいのか? その魅力とは何なのか? ということを伺いたいんですが…。

新井:ちょっと待って! ウチは奥田民生さんの存在はもちろん知ってるけど、曲とかまでは詳しくないよ(苦笑)。

妻夫木:いや、僕も全曲知っているわけじゃなく、深く語れるほどは詳しくないよ。それでも、この作品に出会う前から“奥田民生になりたいボーイ”ではあるけど(笑)。

『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(C)2017「民生ボーイと狂わせガール」製作委員会
――まさに、熱烈なファンじゃないけど、その存在に憧れる…。それってどういうことなんでしょう? 「奥田民生、なんかいいよね」という空気と言うか…。

妻夫木:うそがないってところだと思う。自分に対しても他人に対しても。「カッコつけたい」とか「モテたい」って気持ちは民生さんにもあったろうけど、それでもテキトーな格好してTVとか雑誌とかに出ちゃうし、ギター片手にひょいと全国を回っちゃう。

――映画の冒頭でも、象徴的な話として、ラーメンの汁で汚れたズボンのまま「Mステ」に登場し、タモリさんに突っ込まれても「汁こぼしちゃって」と語ったエピソードが出てきますね。

妻夫木:そういうのが「らしい」ってなる。突き詰めれば“ユルさ”とかって言葉に言い換えられるのかもしれないけど…なんか、そういうのが当てはまんないで「民生らしさ」ってなって、そこに惹かれちゃう。普通の人がやったら「ただのダサいオッサンじゃん」ってことも、民生さんがやるとカッコよく見える。

妻夫木聡『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』/photo:Nahoko Suzuki
――もちろん、ミュージシャンとしての実力があるからこそですが、“なりたいボーイ”が惹かれるのは、その生き方ですよね。

妻夫木:ユニコーンでの活動があった上で、ソロとして全然違う音楽性を打ち出して…とか背景はあるけど、その中で、偉ぶらない、カッコつけない、自分の生き方にうそをつかない。それが理想なんでしょうね。だって、腹が出てても「カッコいい」って言われちゃうんだから。普通、腹の出たオッサンとかダメでしょ? でもそれが許される。みんな、そうなりたいんですね。

新井:「色あせない」ってイメージがあるよね。「今年のファッションは…」って感じの流行モノじゃなく、「奥田民生」ってものがずっとある感じ。ウチはお会いしたことないけど、ユルそうだよね(笑)? ブッキーは会ってるんでしょ?

妻夫木:うん、全然、緊張させない人。ファンだったけど、初めて会ったときもこっちを緊張させない空気を出してるっていうか。それって結構、できないことだよね。“奥田民生”ってブランドを守るためじゃなく、奥田民生はただ奥田民生として生きてるんだなって。

新井浩文『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』/photo:Nahoko Suzuki
――鎧をまとわずに?

妻夫木:僕も、自分では単なるひとりの人間・妻夫木聡として生きてるつもりだけど、この仕事のせいか、どこかで“俳優・妻夫木聡”というのが、僕の中にもあるんですよね。カッコつけたいって思いも捨てきれないし、相手によく思われたいって気持ちもあって、それが表面に出ちゃう。でも民生さんは、奥田民生として淡々と生きてるんだなって。

新井:ウチの周りで言うと、浅野(忠信)さんとか、そういう感じかな。何を気にするでもなく、まんま生きてるっていうか。

大根:わりと僕らの周りの仲良くさせてもらっている憧れの先輩って、そういう空気をまとっているなというのは感じる。リリー(・フランキー)さん然り。

新井:大根さんと民生さんって同世代?

大根:民生さんのほうが3歳年上。3つ違うと、世代で言うと「上の人」って意識が強いかな。この映画に入る直前、偶然、飲み屋でお会いしたんです。まあ、リリーさんも一緒だったし、偶然ってわけでもないんだけど。「(映画のこと)よろしくお願いします」って挨拶したら「何もしないけど、楽曲は好きに使ってください!」って(笑)。いい人だなって思ったし、まさにうそがない人だなって。

『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(C)2017「民生ボーイと狂わせガール」製作委員会
――大根監督の奥田民生像は?

大根:もういい中年になって、大人としてどう仕上げていけばいいのか? そういう意味で、周りに気を遣わせず、手は抜かないけど力は抜いて仕事に臨む――というのが俺の民生像なのかな? 今回の映画で言うと、“民生愛”みたいのは、ブッキーに任せて、俺は民生的に現場にいて、どっしり構えて全体を俯瞰しようと…。

新井:よう言ったな(笑)。あんだけ水原希子ちゃんの撮影に入れ込んどいて! どこが「全体を俯瞰」だよっ(笑)!

大根:希子ちゃんのシーンは、音楽で言うところのギターのソロパートだね(笑)。そこは熱く! でもブッキーを撮るのは、歌唱シーンみたいなもので、そんなにエモーショナルにならず平常心なの(笑)。

大根仁監督『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』/photo:Nahoko Suzuki
――妻夫木さんと新井さんは、過去に何度も共演されていますが、大根監督から見てこのお2人は…。

大根:芝居の相性がいいから、安心してずっと見てられるんですよね。新井くんは、俺の映画には必ず出るという悪魔の契約をなぜか勝手に結んでて…(笑)。

新井:だって、ウチが出ないとコケちゃうからさ(笑)。ウチの中では、大根さんとブッキーが一緒にやるってことにすごく惹かれたね。台本読んで、大根さんがこの話を軽~い感じで撮って、ヒロインが水原希子ちゃんで、あくまでイメージでウチは本人のこと、知らないけど、男を転がす感じが「なんなんだ! このドンピシャ感は!」って。迷わず「やります!」って。

妻夫木聡×新井浩文×大根仁監督『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』/photo:Nahoko Suzuki
――企画として、30代半ばの男たちが女の子に入れあげて…というラブコメは最近では貴重ですね。

妻夫木:面白いじゃないですか。最近、少女漫画原作の恋愛モノは多いけど、男側の勝手な意見を言わせてもらうと、恋は夢見るよりもバカでありたい(笑)。こういう映画があるからこそ、恋愛を経て、大人の男として出来上がっていくというか。最近、なかなかないどストレートなラブコメで、でもちゃんと人生が見えてくるっていいなって。

新井:いまの少女漫画原作の実写化の企画は、もちろん制作側が、ある程度の数字を見込めるからこそこれだけ作られてるんだけど、逆に言うと、その数字が計算できなくなったらなくなるでしょ。でも、この映画みたいな作品は、絶対になくならないし、強いでしょ。

妻夫木:意外としっかりと残る映画になってる。

新井:ただ、大根さんの現場は長いから、ブッキー大丈夫かな? 飽きちゃわないかなって心配だったけど(笑)。

妻夫木:なんでよ(笑)。

『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(C)2017「民生ボーイと狂わせガール」製作委員会
大根:というか、長い現場なんていくらでも経験してるでしょ? 大河ドラマとか。照明待ちで何時間とか。

妻夫木:大根さんの現場の長さって、そういうんじゃないでしょ? いや、別にイヤじゃないんですよ(笑)。

新井:大根さんは、同じシーンを頭から何回もやるんですよ。

妻夫木:いい言い方をすれば「こだわりがある」だけど、言い方を変えれば「しつこい」(苦笑)!

大根:言い訳するなら「グルーヴが生まれるのを待っている」のかな。

妻夫木:なんかカッコいい(笑)。

大根:舞台なら、同じとこを何度も稽古で繰り返して、いつの間にかグルーヴが生まれるけど、映画だと事前のリハーサルさえできるような作品は少ないし、その日の現場で全部やらないといけない。もちろん、個々の役者はうまいけど、役者同士の絡み合いを含めた総合的なものだから。人と人の真ん中に“うねり”が生まれないといけないの。

新井:なんか、いい監督っぽいこと言ってるな。それでいて、編集で結局、一発目の芝居使ったりするんでしょ(笑)?

大根:結局、繰り返してすり減っちゃったなって(笑)。

妻夫木:あぁ、やっぱりあのシーン、カットされてる! とかね(笑)。

妻夫木聡×新井浩文×大根仁監督『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』/photo:Nahoko Suzuki
――映画の中で、コーロキはバリバリ仕事に力を傾けつつ、魔性のヒロインとの恋に引きずられていきますね。いわゆる「仕事と私、どっちが大事なの?」的な…。そういう恋愛、コーロキの姿については…。

妻夫木:まあ僕も新井くんもそうだろうけど、そもそも、そんなこと聞いてくる女の子とは付き合わないでしょ(笑)。

新井:「仕事があってこそ、いまの自分がある」って人と、コーロキみたいに仕事と恋が天秤に掛かっている状態の人といるけど。(後者は)やっぱり、男にとっても相手にとってもよくないよね。

大根:でも30歳くらいまで、あんな感じじゃない(笑)? いまはスマホとかあるから、なおさらコンタクトが取りやすくて、ああいう状態に陥りやすいんだろうね。

新井:大根さんの映画って、いつも実は「働け!」ってことがテーマだよね?

大根:そうだね。結局はいつも「仕事せよ!」ってことを描いてる。

『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(C)2017「民生ボーイと狂わせガール」製作委員会
――それでも、否応なく、恋愛のあれこれに引きずられてしまって…ということはないですか?

妻夫木:まあ、僕はそれがあったら結婚してないし(笑)。

新井:でも過去の経験ってことで言うとあるよ。タイトルは言えないけど、昔、ある作品のラストシーンの撮影を前に、電話で別れ話されて…。

妻夫木:…(笑)

新井:「ちょ、ちょっといま、現場だから。あとで掛けるから!」って。これからラストシーンなのに、どうしよう? ってなって、セリフを口にしつつ、言えてない(苦笑)。そりゃメンタルぶれるでしょ!

大根:役者に限らずスタッフもあるよ。こないだ、ある現場で普段は全然、元気ない助監督のひとりが「(叫ぶように)本番!」とか言い出して「ど、どうした…?」って聞いたら「さっき、彼女にフラれました!」って。

妻夫木:いいね。コーロキっぽいな(笑)。

『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(C)2017「民生ボーイと狂わせガール」製作委員会
――先ほど、妻夫木さんからも少しお話がありましたが、“俳優”という大衆のイメージがどうしても先行しやすい仕事をしている中で、ご自身でもイメージを気にし過ぎたり、自分を作ってしまうようなことはありますか?

妻夫木:20代とか、特にそうでしたね。大人になりたかったんですよね。30歳を超えてみて「あぁ、30代って意外とコドモなんだ…」ってわかって、何も考えなくなったところもあるけど。

――自分を年齢や実際の姿よりも“大人”に見せようとした?

妻夫木:ありがたいことに主演をやらせていただく機会も多くて、「座長としてどうあるべきか?」とか考えたり、恋愛でも「男として」とか「相手に対してどうあるべきか?」とか「大人として結婚を見据えて」とか…。なんであんなに責任を背負いたがってたのか…勝手に(苦笑)。

大根:じゃあ、若い頃はもっと“座長!”って感じがあったんだ?

妻夫木:座長として、気を遣ってみんなとコミュニケーションを取ろうとか。もちろん、作品のためなんだけど。でも結局、いい芝居することが一番必要なことなんですよね。気を遣うことで、よくなる部分もあるとは思いますけど。でも、大事なのは芝居だってシンプルにどこかで思えたんですよ。

新井:ウチは、もともと周りのイメージとか気にしたことないな。青森の田舎にいると、誰がケンカ強いとか、カワイイとか、誰と誰が一緒になったとか、一瞬で広まるのよ。

妻夫木:いやだな、それ(笑)。

新井:すぐウワサが立つの。でも知らない人に何を言われてもどうでもよかったな…。結局、ウチもあれこれイメージするけど、その自分の考えを信頼してないから。会ってみないとわかんないでしょ? だから、人と会って「うわ、意外!」ってことも少ない。

『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』(C)2017「民生ボーイと狂わせガール」製作委員会
大根:そういう意味で、変わんないけど、仕事のスタンスは変わったよね? 初めて会った頃は「縫い(※同時期に掛け持ちで複数の作品に出演すること)はしない!」ってこだわってたけど…。

新井:あったね、そういうの。掛け持ちはしないって。いまは何もこだわんない。だって、そうしてても良いことなかったもん。10年やって気づいた。特にメリットないなって。

大根:俺、その話、大好きなの(笑)。ただ、そのあたりから、お茶の間の人気も出始めたよね?

妻夫木:ユルくなったんだね。

大根:やってる役も、昔はほぼ犯罪者とかだったのに(笑)。

新井:いやいや。若い頃にブッキーと共演した『さよなら、クロ』でも生徒会長とかやってるからね! バイク事故で死んじゃうけど…(笑)。要は、言いたいのはイメージはしょせん、イメージだってことね(笑)!

妻夫木聡×新井浩文×大根仁監督『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』/photo:Nahoko Suzuki
《text:Naoki Kurozu/photo:Nahoko Suzuki》

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