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飯島奈美インタビュー 人気フードスタイリストが手がける『プール』魅惑の料理

「あの映画のあのシーンに出てきたあの料理、おいしそうだったなぁ…」と、映画を観終わったあとに無性にその料理が食べたくなる、誰しも一度は経験しているのではないだろうか。決して目立つことはないけれど、映画に寄り添い、観客の心の隅に温かな記憶として焼き付けられる──そんな印象的な“ごはん”が映画『プール』にはたくさん登場する。そこで、本作をはじめ『かもめ食堂』、『めがね』、『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』など、数多くの映画でフードスタイリストとして活躍する飯島奈美さんに、『プール』の“食”と魅力についてインタビューした。

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『プール』飯島奈美インタビュー
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「あの映画のあのシーンに出てきたあの料理、おいしそうだったなぁ…」と、映画を観終わったあとに無性にその料理が食べたくなる、誰しも一度は経験しているのではないだろうか。決して目立つことはないけれど、映画に寄り添い、観客の心の隅に温かな記憶として焼き付けられる──そんな印象的な“ごはん”が映画『プール』にはたくさん登場する。そこで、本作をはじめ『かもめ食堂』、『めがね』『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』など、数多くの映画でフードスタイリストとして活躍する飯島奈美さんに、『プール』の“食”と魅力についてインタビューした。

タイ料理とチラシ寿司が同じテーブルに並んでいるワケ


映画の舞台はタイの古都チェンマイ。プールのあるゲストハウスで働く日本人・京子(小林聡美)を中心に、5人の6日間の物語が描かれる。約1か月にわたってチェンマイで撮影が行われたそうだが、飯島さんにとってタイはどんなふうに映っていたのだろうか? 
「バンコクやパタヤには何度か行ったことがあるんですが、チェンマイは初めて。撮影前に現地には『こういう素材があるよ』という情報をもらっていたけれど、実際にチェンマイの市場に行ってみると、とにかく野菜の種類が豊富で! 見たことのない野菜がたくさんあって、ほんと楽しかったですね。特に気に入った野菜は“ハヤトウリのつる”。炒めても茹でてもシャキシャキして美味しいんです」。劇中にもチェンマイの市場が登場するが、確かに見ているだけでもウキウキしてしまう、不思議な力を持っている。

そんなタイの食材を使った料理の数々──カニのカレー炒め、揚げバナナ、ソムタム…などが、スクリーンの向こう側からおいしそうな匂いを運んできてくれる。そして、タイ料理であるのにどこか懐かしさを感じるのは、タイ料理とちらし寿司や酢豚が同じ食卓に並んでいるからかもしれない。
「登場人物たちは日本からタイに来たという設定なので、タイ料理に加えて、少しタイ風にアレンジした日本食も登場させました。ソムタムはいろいろな野菜や果物を使ったタイの食卓の定番メニュー。最初はソムタムにエビを入れようと思ったんですが、同じテーブルに並ぶ料理が、カニのカレー炒めや酢豚だったので、バランスを取って野菜だけのシンプルなソムタムにしました。小林さんの演じる京子は好奇心旺盛な性格。その辺も意識しているんです」。キャラクラーに合わせて素材を変えているとは驚きだ。

加瀬亮さんのおかげであるものをお買い物!

撮影が早く終わった日は、スタッフ&キャストみんなでご飯を食べることもあったのだとか。メインキャストは『かもめ食堂』、『めがね』でも顔を合わせている馴染みの面々。なかでも小林聡美とはもう7〜8年の付き合いになるという。
「小林さんとはパスコのCMの頃からのお付き合いなんです。とっても気さくなのに(現場では)ほどよい緊張感をくれる方ですね。小林さんの料理の腕はかなりのものですよ。今回も演技をしながらキュウリをトントントンッって、薄く、きれいに切っていましたし、揚げ物のシーンも自然な感じでした」。その揚げ物とは“揚げバナナ”のこと。ジュジュッとバナナを揚げる音、サクサクッと食べる瞬間の音、多くの人が「これ、食べたい!」と食欲をかき立てられる。もちろん、その裏には飯島さんの挑戦があった。
「タイで買ってきた料理本を見て、天ぷらを揚げるように作ってみたんです。でも、時間が経つとしんなりしてしまって…。どうしたらあのパリパリ感を出せるのかタイの屋台で研究してみると、低温で20分以上かけて揚げていたんです。おかげでキャスト・スタッフにも好評の一品になりました」と、にっこり。きっと揚げバナナを食べているときのみんなの表情も“にっこり”笑顔だったことだろう。

また、撮影がオフのときはチェンマイの街を歩きまわり、その土地の雰囲気を満喫したという飯島さん。そして、ある買い物をしたのだとか。
「チェンマイのある屋台で小さな棚を見つけたんです。あの棚が欲しいなぁ…と言っていたら、なんと加瀬さんがわざわざお店の人に売ってもらえるかどうか聞いてくれたんです! 私も屋台を持っているので、その棚を使ってそのうち屋台を出したいですね」と、思い出のエピソードを語ってくれた。飯島さんの屋台、いまから楽しみ。けれど、まずは『プール』の温かな世界観を満喫しなくては!



「シネマカフェsweet」『プール』特集
http://www.cinemacafe.net/sweet/pool/
《text:Rie Shintani》

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