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『青い棘』アヒム・フォン・ボリエス監督インタビュー

日本におけるドイツ年である今年、注目のドイツ映画が続々と公開されている。『グッバイ、レーニン!』で脚本をつとめたアヒム・フォン・ボリエスと主演のダニエル・ブリュールが再タッグを組んだ『青い棘』の公開を控え、今回が長編初監督となったアヒム・フォン・ボリエス監督が初来日を果たした。

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日本におけるドイツ年である今年、注目のドイツ映画が続々と公開されている。『グッバイ、レーニン!』で脚本をつとめたアヒム・フォン・ボリエスと主演のダニエル・ブリュールが再タッグを組んだ『青い棘』の公開を控え、今回が長編初監督となったアヒム・フォン・ボリエス監督が初来日を果たした。

『青い棘』は1927年にベルリンで起こった“シュテークリッツ校の悲劇”として歴史に残る、実話の銃殺事件を描いた作品だ。19歳の学生ギュンターは見習いシェフのハンスを射殺、続いて自らも頭に銃弾を打ち込んで死亡する。現場にはギュンターの友人であるパウル、ギュンターの妹であるヒルデ、とその友人のエリが居合わせていた…というなんとも衝撃的で残虐な事件。「この話は1920年代に実際にあった“自殺クラブ”について描いたものです。最初は事件をもとに映画をつくるということには、かなり抵抗がありましたが、資料を読み、事件について良く知りはじめると、これは古臭い話じゃない、夢とか希望とか絶望とか、自分の若い頃にも共通するテーマだということを知り、どんどん作りたいという気持ちが大きくなってきました」。

自殺するギュンターと親友のパウルが作ったの“自殺クラブ”。ここでの約束ごとはひとつ、“人生の中で最高のときに、最高のものを求める。それを失って生きるくらいなら死ぬべき”という考えだ。「自殺願望というのは裏返していうと、死への執着。アイディア自体は魅力的ですが、実際に実行するというのは非常にバカげて間違っていると思います。本作は自殺しても天国に行くわけでなく、ただ死というとんでもない悲劇が待っている、ということを語っています」。

繊細で危うい青年パウルを演じたのが、ドイツそして日本でも人気の若手俳優、ダニエル・ブリュールだ。本作の脚本も彼をイメージして作られた。「彼の成長ぶりを見て嬉しく思います。とても才能のある俳優ですし、彼のすごい点は観客を惹きつけて、共感を呼び起こせる俳優だということです。彼にとって私は、友人や兄のような関係で、遊びに来ては泊まっていったり、また映画を一緒に作りたいという話もしています。一方で、アウグスト・ディールも彼に負けず劣らす素晴らしい俳優です。実は彼にも『グッバイ、レーニン!』出演のオファーがあったのですが、断ったそうです。彼はかなり過激で挑戦的なタイプで、メガヒットを狙うよりは、新しい舞台で挑戦していくタイプ。全く違う色ですが、どこか似ている2人ですね。彼らに巡りあえて本当にラッキーでした」。

劇中の2人を囲む女性たちも重要な存在だ。ヒルデはパウルをはじめたくさんの男性をそそのかす魔性タイプ、エリはいつも控えめで大人しい純粋タイプ。では男性としてどちらのタイプが好き?と訊ねると「私の好みはエリです。男性だったら、エリのようなタイプを選ぶのが普通でしょう。ヒルデのような女性は、20年ぶりに同窓会で会うと、4人の子持ちで、話は料理とお掃除のことばっかりで…と幻滅するタイプ。逆に素敵な女性がいるな、と思ってパッと反対を見ると、それがエリだった! だから若い男の子たちに言いたい、しっかり目を開けて女性を見なさい!とね(笑)」。

「この作品をきっかけにドイツへの関心をもってもらえると嬉しいです。ドイツは“ヨーロッパの日本”と言われるほど似ていると思います。お互いわかりあえることが多いと思いますし、僕自身日本にもすごく興味があります。日本のみなさんにもドイツへ関心をもってほしい。そして、旅をしてください。ドイツの20年代のまだ汚れを知らない時代に、そしてご自身の青春時代に、ぜひ旅をしてみてください」。

監督が描く世界は幻想的でいて儚く、官能的な美しさを秘めている。青春時代に感じた危うさや儚さ、自分自身が感じた葛藤について、きっと何か感慨深くなれる作品だ。そういった“心の旅”をテーマにして、本作を観てみるのも面白いかもしれない。
《シネマカフェ編集部》
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