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ファッション小噺vol.48 セレブ御用達…のはずが、下世話な大騒ぎに

先日、すごいものを見てしまいました。それは、銀座の高級ブティックが建ち並ぶ通りの一角でのこと。たくさんの女性が、ある有名ブランドのブティック前に鈴なりになっているのです。何かの売り出しがあり、人々が熱気を帯びた長蛇の列を作っているというのはよくあること。でも、これはそれとはちょっと違う。列を作っている人もいるけれど、多くの人が店の入り口に扇状になって群がっているのです。店側に“詰め寄っている”というのが正しい表現という感じ。

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先日、すごいものを見てしまいました。それは、銀座の高級ブティックが建ち並ぶ通りの一角でのこと。たくさんの女性が、ある有名ブランドのブティック前に鈴なりになっているのです。何かの売り出しがあり、人々が熱気を帯びた長蛇の列を作っているというのはよくあること。でも、これはそれとはちょっと違う。列を作っている人もいるけれど、多くの人が店の入り口に扇状になって群がっているのです。店側に“詰め寄っている”というのが正しい表現という感じ。

実は、私もこの店に行こうかな…と思い、外出先から車で店の前を通過してみたのです。するとこの有様。警察まで出動している大騒ぎになっていたのです。 

その店とは「アニヤ・ハインドマーチ」のブティック。大胆でキュートなプリント柄のバッグが有名な英国のブランドで、世界のセレブリティ御用達。価格帯は、バッグで数万〜数十万なのですが、なぜこの日は人々が行列を作っていたかというと、「I'm Not A Plastic Bag」の先行発売日だったから。このバッグは、プラスティックバッグ(日本で言うコンビニ袋)削減を目的に「アニヤ」が売り出したエコバッグ。コットン製でバッグの表面にでかでかと、「I'm Not A Plastic Bag」(私はビニール袋じゃないのよ)と書かれていて、かわいくエコを唱えています。すでに海外では色違いで発売されていて、この日は待望の日本初登場の日でした。価格は2,100円と、アニヤファンなら「ひと桁、間違えてない?」と目を疑うプライス。そこで、人々が殺到したというわけなのです。すでに世界のセレブも愛用していて、ファッション誌のスナップには、キーラ・ナイトレイやケイト・モスらがプライベートで持ち歩く姿が見られます。

日本発売が発表されてからというもの、問い合わせが相次いでいたということで、当日の混乱が予想できたはず。それなのに、話題作りのためか、わざと焦らした結果がこの有様です。しかも、事前予約は不可。当日、店側では整理券を配ったものの、どうやら上手くコントロールしきれなかったらしく、加えて整理券の配り方にも公平性を欠いていたせいもあり、徹夜組を中心にして大騒ぎとなってしまったそう。台風接近による大雨の不快感も騒動の後押しをしたのでしょうか。

エコバッグ愛用者の私としても、「これはひとつ入手したい…」と気軽に通りかかってみたものの、店から半径3メートル以内には、怒った客が発する妖気が漂っていて怖い。そこで、「まあ、いいや」とすごすご逃げ帰ってしまいました。ゲットできなかった者の負け惜しみではありませんが、セレブ御用達の店にしてはやることが優雅でないし、セレブ御用達の店のお客にしてはやることに品がない。どっちもどっちなのですが、とにかくこの「事件」まことに下世話な印象だけが残ります。

早い人は、前日から並んだそうだし、整理券を配ったのは午前8時前だそう。電器屋の発売日でもあるまいし…。ブランドは本当にこんな騒動を“話題性”として望んだのでしょうか? 仮にも高級とされるブランドが、「欲しいんだからしょうがない」という庶民の気持ちを話題作りに使わせてもらっているという印象もあって、ちょっとやりきれない思いでいっぱいです。ファッションって、それなりにラグジュアリーな部分がないといけないと思うんだけど…。



アニヤ・ハインドマーチ
http://www.anya-hindmarch.jp/
《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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