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ロシアの社会問題を見据えた“母を捜して…”物語『この道は母へとつづく』

2005年のベルリン国際映画祭少年映画部門でグランプリに輝いた『この道は母へとつづく』は、孤児院で育った6歳の少年が「母に会いたい」──ただそれだけの想いから自分の人生を変えようとする、ロシア発のヒューマンドラマだ。母を捜して…的な物語は珍しいわけではないが、ロシアの社会問題を見据えていること、実話がもとになっていること、そして何よりも主人公・ワーニャ役に抜擢された子役、コーリャ・スピリドノフの演技がいい。「もしかしたら会えるかもしれない」というかすかな希望が、「絶対に会える!」という力強さに変わっていくその心情を見事に演じきっている。

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『この道は母へとつづく』 -(C) 2004 Filmofond Lenfilm Studio
『この道は母へとつづく』 -(C) 2004 Filmofond Lenfilm Studio
  • 『この道は母へとつづく』 -(C) 2004 Filmofond Lenfilm Studio
  • 『この道は母へとつづく』 -(C) 2004 Filmofond Lenfilm Studio
  • 『この道は母へとつづく』 -(C) 2004 Filmofond Lenfilm Studio
2005年のベルリン国際映画祭少年映画部門でグランプリに輝いた『この道は母へとつづく』は、孤児院で育った6歳の少年が「母に会いたい」──ただそれだけの想いから自分の人生を変えようとする、ロシア発のヒューマンドラマだ。母を捜して…的な物語は珍しいわけではないが、ロシアの社会問題を見据えていること、実話がもとになっていること、そして何よりも主人公・ワーニャ役に抜擢された子役、コーリャ・スピリドノフの演技がいい。「もしかしたら会えるかもしれない」というかすかな希望が、「絶対に会える!」という力強さに変わっていくその心情を見事に演じきっている。

監督は本作が劇場映画デビューとなる新鋭のアンドレイ・クラフチュク。数多くのテレビドラマやドキュメンタリーを手掛けているだけあって、孤児院と養子縁組の仲介業者の生々しい会話、大人社会のなかで自分たちの組織を築いている子供たちの生き様など、リアルさを随所に盛り込んでいる。また厳しい現状を取り入れる一方で、映像はリアルというよりも絵本のような美しさと温かさを感じる。その相反する組み合わせが特徴でもある。

淡々と物語が綴られる前半から後半は切迫した展開へ。母に会うために読み書きを覚え、孤児院を脱走し、見知らぬ街を歩き回るワーニャのたくましさ、最後まで諦めない気持ちに心打たれるだろう。

《text:Rie Shintani》

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