芸術の秋、アートを感じる映画vol.3 世界が無視できない女、マリア・カラス

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『マリア・カラス 最後の恋』
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「好きになってしまうと、お金が飛ぶようになくなるから困っています」。これは、私が何人もの知人から聞かされた言葉です。彼らが、好きになった対象はみな同じ。別に、あれ買って、これ食べたいなどとわがまま言い放題のセレブ娘のことではありません。その正体は、オペラです。

日本は海外に行かずとも世界最高レベルのオペラハウスがこぞって来日してくれる数少ない世界都市。それは確かに恵まれていることですが、庶民にとっては嬉しいやら、困るやら、とのこと。オーケストラ、歌手、合唱団、大道具や小道具、衣裳の数々を持ち込めば、当然費用は凄まじいことに。良い席ならば、5万円台などということもざら。手頃なチケットを望んでも、一人2万円が相場。ただし、注目の公演ほど、安いチケットはすぐ売切れてしまう。予算内でチケットが取れなければ我慢…と、割り切れれば簡単なのでしょうが、ものごとはそれほど単純じゃない。この組み合わせを生で見られるのは最後かも、このプリマドンナの全盛期を体感しておきたい、などなど理由は様々です。

きっと、この人の全盛期も人々は大騒ぎだったはず。20世紀を代表する歌姫、マリア・カラスです。誰もがうらやむ豊かな才能とその美貌で、世界中のオペラ・ファンを魅了。今年は、彼女が亡くなって30年にあたるのだそう。それを記念してか、偶然か、彼女の映画『マリア・カラス 最後の恋』が2008年のお正月映画として登場します。

つい数年前もファニー・アルダン主演の、フランコ・ゼフィレッリ監督作『永遠のマリア・カラス』が、生誕80周年を記念に作られたばかり。その際は、歌手としての心の動きに焦点が当てられていましたが、今回はタイトルからもわかるとおり、彼女の恋愛を軸に描かれた物語が展開します。華やかなイメージの陰で、彼女が払ってきた犠牲、失ってきたもの、そしてギリシャの海運王、アリストテレス・オナシスとの恋の悲しい結末…。亡くなったいまも注目され続けるのは、あまりにドラマティックな人生のせいなのか。大スターの宿命なのか。彼女の人生を考えると、これほどではないにしても、美しい舞台の陰では、多かれ少なかれ人々のドラマが交差しているという事実に気づかされます。もしかすると舞台裏は、どんなオペラ作品よりも数奇な物語に満ちているのかもしれませんね。

来年も、凄まじい数の有名オペラハウスがほぼ引越し状態で来日します。そんなことを考えながら鑑賞するオペラもまた、感慨ひとしおかもしれません。

《text:June Makiguchi》

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