「4人の英国人が映画を作った、音感が良いでしょ」ジュード・ロウ『スルース』を語る

初老の推理小説家と若い俳優。2人の男が一人の女性をめぐって危険なゲームを始め、徐々にその目的を失い、己のエゴとプライドを賭けた決闘へと展開する『スルース』。マイケル・ケインとジュード・ロウというイギリス映画界を代表する名優2人による競演をケネス・ブラナーが監督。ケネス・ブラナーらしい美しい画の中に佇む、美しい俳優2人の演技合戦に目も心も奪われてしまう。本作のプロデュースも担当したジュードに話を聞いた。

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『スルース』ジュード・ロウ photo:Yoshio Kumagai
  • 『スルース』ジュード・ロウ photo:Yoshio Kumagai
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初老の推理小説家と若い俳優。2人の男が一人の女性をめぐって危険なゲームを始め、徐々にその目的を失い、己のエゴとプライドを賭けた決闘へと展開する『スルース』。マイケル・ケインとジュード・ロウというイギリス映画界を代表する名優2人による競演をケネス・ブラナーが監督。ケネス・ブラナーらしい美しい画の中に佇む、美しい俳優2人の演技合戦に目も心も奪われてしまう。本作のプロデュースも担当したジュードに話を聞いた。

ワン・シチュエーションで2人芝居。ただでさえ映像作品としての広がりを作るのが難しい本作について、「まさにそうした、設定の持つ限界こそが僕にとってはチャレンジだった」と言う。
「ハロルド・ピンターの脚本のおかげで、脅威やユーモア、ほのめかし、ウィットに富んだ優れた言葉を道具として、男2人が決闘をするというシチュエーションが出来上がったんだ。決闘という一種の物語、旅、あるいはその間に出てくるひねりとか展開が常に新鮮に見えるように心がけたし、物語が進むにつれてにじみ出る、危険に満ちた異常心理的な部分が際立つように注意したよ。実は今回は順撮りだったんだ。しかも舞台のように、リハーサル期間を3週間設けた。映画ではかなり珍しいやり方だよね。でもそのおかげで、何が積み重なって2人のゲームが危険になっていったか、またそれをどう演出していくかを理解して撮影に臨めたことはすごく良かったと思うよ」。

本作はジュードにとって、『スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー』に続く、2作目のプロデュース作品となる。
「プロデュースをするということは、何かアイディアがあってそれを映画化していくということなんだよね。その過程でいろんな人と会って話をして、新しい才能を発見したりするということがすごく面白い。それは俳優としてのキャリアと並行させながらやれることなんだ。自分の想像力とか、夢の延長線上の仕事であって、俳優としての自分に返ってくるものもすごく大きい。プロデューサーとして映画に関わることは僕にとって、そういう位置づけなんだ」。

1972年に『探偵<スルース>』という作品が公開され、アカデミー賞4部門にノミネートされている。『スルース』と設定は同じだがアプローチが異なる。マイケル・ケインはこの72年版で、ジュードが演じたキャラクターを演じている。
「でも僕はこの作品をリメイクだとは思っていないんだ。だから“『スルース』をやるんだ!”という強い思いをもって臨んだと言うより、このストーリーの本質である、男たちの決闘という普遍的な物語として気に入ったからなんだ。でもアイディアだけじゃ映画は作れない。優れた脚本が必要だと思っていたところに、ハロルド・ピンターとの出会いがあった。彼もこのアイディアをすごく気に入ってくれて、その瞬間に、この作品がすごく大切なものになったよ。ハロルドの参加によって、僕自身のプロデューサーとしてのエンジンが急にかかったような感じかな。脚本が出来上がるまでに1年かかったんだけど、その間にマイケル(・ケイン)やケネス(・ブラナー)の参加が決まったという感じだよ」。

そうなのだ。本作のメガホンを取ったのはケネス・ブラナー。彼もまたイギリス映画界を代表する俳優であり、監督でもある。
「ケネスは舞台でも映画界でも活躍しているから、元々は舞台作品である『スルース』にぴったりでしょ? やっぱり舞台との関連性も生かしたいと思っていたから、そういう意味でもピンときたんだ。彼もこの作品にインスピレーションを感じてすごく興奮してたんだよ。普通の映画の脚本って120ページくらいなんだけど、今回の脚本は80ページくらい。しかもセリフばっかりで、ト書きや説明がほとんどないものだったんだ。ハリウッド的に言えばスカスカ(笑)。でもケネスは、それをどう解釈すれば良いか分かっていたから、自分たちなりの世界を作っていけばいいんだと受け止めてくれた。それがすごく嬉しかったよ。リハーサル期間を長くとったのは、ケネスの意見が反映されているんだよ。それに、監視カメラの映像が出てくるんだけど、それは、まるで誰が見ているか分からない、実は第三者が彼らのゲームを見ているかのように見えるんだ。俳優も2人しかいないから、2人の顔ではなく、性格を感じ取れる仕草を見せるようなカメラワークをしているんだよ。これによってサスペンスの度合いが増すし、第三者が見ているような感じがさらに大きくなる。これはケネスのアイディアなんだ。彼は初日からやる気満々で、ものすごい熱意とプランニング、想像力を持って参加してくれたし、僕らもそんな彼に押されるようにこの映画を作ることができた。あ、ケネスに監督をお願いした理由がまだあるよ。音感が良いと思わない? 4人の英国人(マイケル・ケイン、ジュード・ロウ、ケネス・ブラナー、ハロルド・ピンター)が映画を一緒に作ったんだよ。カルテットとしてすごく良いでしょ(笑)」。

《photo:Yoshio Kumagai》

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