オダギリジョー×アンソニー・ウォン 国境・年齢を越えた“あうんの呼吸”

香港の監督と俳優、日本の俳優、様々な国から集まったスタッフがブラジルで撮った『PLASTIC CITY プラスティック・シティ』。アジア系移民の暮らすブラジルの街を舞台に、血の繋がらない“父と息子”の物語を、時にリアルに、時に神秘的に描いたのは、ジャ・ジャンクー監督の撮影監督として知られるユー・リクウァイ監督。幼少の頃に両親と死別した青年・キリンを演じたオダギリジョーと、ジャングルでキリンを拾った育ての親・ユダを演じたアンソニー・ウォンに話を聞いた。

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香港の監督と俳優、日本の俳優、様々な国から集まったスタッフがブラジルで撮った『PLASTIC CITY プラスティック・シティ』。アジア系移民の暮らすブラジルの街を舞台に、血の繋がらない“父と息子”の物語を、時にリアルに、時に神秘的に描いたのは、ジャ・ジャンクー監督の撮影監督として知られるユー・リクウァイ監督。幼少の頃に両親と死別した青年・キリンを演じたオダギリジョーと、ジャングルでキリンを拾った育ての親・ユダを演じたアンソニー・ウォンに話を聞いた。

監督は脚本の執筆段階からオダギリさんとアンソニーをイメージしていたというふれこみだったが、オダギリさん自身は「正直言って、特に“当て書き”だと感じなかったですね」と言う。すると横からアンソニーが「“当て書き”なんて信用しない方がいい。大体はお世辞なんだから」と真顔で口を挟み、ニヤリと笑う。

それにしても、キリンとユダという風変わりな名前は、劇中に何の説明もない分、余計に興味をそそられる。オダギリさんによると、初期の段階の脚本にはその名の由来を示すエピソードがあった。
「シノプシスか第一稿か第二稿か忘れましたけど、キリンはユダに拾われた後、ストリート・チルドレンとして空き缶を集めているんです。キリンビールの缶を集めてくるから、名前がキリン。この設定、すごくいいじゃないですか。当時、僕はキリンのCMにも出ていたし(笑)。監督にもそう言ったんですが、結局、切ってしまって」。

一方、ユダという名前については「よく考えたけど、未だに答えは見つからない」と言うアンソニー。だが、「森の中で違法にダイヤモンドを掘ろうとしている不法入国者。そんな人物にユダと名づけるのは、かっこいいなと思ったよ」と付け加えた。

アンソニーはオダギリさんの受け答えを、通訳を介して熱心に聞き入り、必ず突っ込みを入れてくる。直接言葉は通じなくても、波長が合う様子が伝わってくるが、撮影当初はなかなか打ち解けられなかったという。
「僕は基本的に誰とでもすぐに打ち解けられないタイプなんです。でも、アンソニーさんは芝居する上でのコミュニケーションを大事にする人で、自ら歩み寄ってくれて、とても助かりましたね。剣道や将棋をやってみたいとか、サムライ・スピリッツとは何か? とか、アンソニーさんの方からいろいろ話しかけてくれて、日本への興味を示してくれたのが始まりだったと思います」(オダギリさん)。

「オダギリさんは慎重で穏やかな人。僕は自分が仕事に真剣に取り組んでいるとき、邪魔をしてくる人は大嫌いなんだ。彼は一緒にいて居心地がいいし、性格や仕事に対する態度が特に好きだね」(アンソニー)。

2人にとっても、監督にとっても異国であるブラジルの撮影には多くの困難が伴った。特に悩まされたのはアマゾンのジャングルでのシーン。
「日本にはいない虫や菌があって、とても危険だったので、帰れなくなるかと思ってました。水に入るシーンが多かったんですけど、傷口から余計なものが入ると大変だから、スタッフにシャワーを準備してくれるよう頼んでいたのに、結局、一度も用意されたことはありませんでした」とオダギリさんは苦笑まじりにふり返る。そんなオダギリさんに「あの状況でシャワーなんて何の役にも立たないよ。むしろ棺桶でも用意した方がいい」とアンソニーはここでも豪快に笑っていた。

撮影現場では北京語、広東語、ポルトガル語、そして日本語に英語と、5つの言語が飛び交う、真にインターナショナルな環境だった。海外ロケや外国語作品に出演経験も豊富なオダギリさんも「これを乗り越えれば、どんなことも乗り越えられるんじゃないかという作品です」と太鼓判を押す。と、すかさず「そういうことを言うのはまだ早いよ(笑)」と百戦錬磨のベテラン、アンソニーが突っ込む。「一応、言っとくんですよ(笑)」。最後にオダギリさんが一矢報いて、笑い声に包まれてインタビューは終了した。

《text:Yuki Tominaga》

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