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鬼才ギリアムを虜にしたミューズ、リリー・コール 彼女が見る“鏡”の中の世界は…

摩訶不思議でありながら、心を揺さぶるほど魅惑的なテリー・ギリアムの映像世界に身を置いて、何の違和感もない美貌と完璧なプロポーション。長い手脚を持て余すようにソファにもたれながら、クールな微笑みを浮かべるリリー・コールを見て、彼女が作品に望まれた理由を瞬時に理解することができた。テリー・ギリアムの監督最新作『Dr.パルナサスの鏡』で、リリーはヒロインのヴァレンティナを演じている。

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『Dr.パルナサスの鏡』 リリー・コール photo:HIRAROCK
『Dr.パルナサスの鏡』 リリー・コール photo:HIRAROCK
  • 『Dr.パルナサスの鏡』 リリー・コール photo:HIRAROCK
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  • 『Dr.パルナサスの鏡』 リリー・コール photo:HIRAROCK
  • 『Dr.パルナサスの鏡』 リリー・コール photo:HIRAROCK
  • 長い手脚を持て余すようにソファに横たわるリリー photo:HIRAROCK
  • ヒロインの普通ではない人生に共感も photo:HIRAROCK
  • 「キャラクターを探究することは素晴らしい経験」 photo:HIRAROCK
摩訶不思議でありながら、心を揺さぶるほど魅惑的なテリー・ギリアムの映像世界に身を置いて、何の違和感もない美貌と完璧なプロポーション。長い手脚を持て余すようにソファにもたれながら、クールな微笑みを浮かべるリリー・コールを見て、彼女が作品に望まれた理由を瞬時に理解することができた。テリー・ギリアムの監督最新作『Dr.パルナサスの鏡』で、リリーはヒロインのヴァレンティナを演じている。

人々を鏡の中の世界に招き入れ、入った本人の願望や欲望を形にして見せることができる旅芸人、パルナサス博士を父に持つヴァレンティナは、16歳の誕生日を3日後に控えた身。しかし、父のパルナサス博士はかつて永遠の命と引き換えに、16歳になった娘を悪魔に差し出す約束をしてしまっていた…。
「脚本を読んだとき、普通の映画とは全く違うものになると確信したわ。もちろん、テリーが監督であることをはじめ、この映画にまつわる全てが私にとってはすでに魅力的だったのだけど、ストーリーを知ってますます作品に惹かれてしまった。それに、ヴァレンティナというキャラクターは、いろいろな可能性を感じさせてくれる役だったの。と言うのも、渡された脚本には、彼女に関する明確な描写がさほど書き込まれていなかったから。私はテリーと常に話し合い、一からヴァレンティナを作り上げることができたのよ」。

リリー曰く、「ナイーブで、勝ち気。でも、気持ちはすごく優しい女の子」というヴァレンティナは、旅芸人のジプシー生活にうんざりし、普通の暮らしに憧れている。一方、世界で活躍するスーパーモデルとして広く知られ、常に周囲の目に晒されるリリー自身の人生にも、普通ではない側面がある。
「その通りね。私自身、それこそがヴァレンティナに強く共感させられた部分なの。テリーもそう思ったみたいで、“ヴァレンティナは、父親によって普通ではない生活を強いられている。ある意味、普通の人とは違う生活を送ってきた君に似ていると思わないかい?”と言っていたわ」。

また、ヴァレンティナの役作りをする上で大いに役立ったのは、衣裳の数々だとも。鏡の中の世界でまとう美しいドレスから長い髪で豊満な裸体を隠すのみのセクシーなステージ姿まで、いろいろな彼女が見られる。
「この作品の全てが“テリー・ギリアム!”という感じだけれど、間違いなく衣裳もそのひとつね。私が一番気に入っていたのは、普段のヴァレンティナが着ているジプシーの服よ。すごく助かったのは、ヴァレンティナが普通に生活しているとき、ステージ上で出し物を披露しているとき、鏡の中の世界に入ったときと、シーンごとに全て衣裳が違ったこと。彼女のいろいろな面を演じる上で、とても役に立ったわ。着物を着たりもしたし、世界中のファッションを一気に堪能できたようなものね。ただし、唯一着心地が悪かったのは、ワイヤーに吊られるときのハーネス! 空中を飛ぶシーンでつけたのだけど、すごく大変だった(笑)」。

そのほかにも、リリーは撮影中に大変な経験をしている。「撮影するのに、夜のロンドンは寒すぎるわ」と笑った後、「もちろん、ヒースの死が一番辛かった」と真剣な面持ちで自ら明かしてくれた。撮影中に急逝したヒース・レジャーは、ヴァレンティナが心奪われる謎の男・トニーを演じている。
「私たちは彼の死を乗り越えるのにとても苦労したと思う。ヒースは本当にエネルギッシュで、彼のアドリブを受け、ほかの出演者たちもついついアドリブで応戦してしまうような楽しい現場だったの。彼とのシーンで思い出深いのは、橋から首を吊られていた彼を救い出す冒頭のシーンね。あとは、ヒステリーを起こした私が、彼を蹴ったりして大騒ぎするシーンも好きよ(笑)」。

女優としての経験がまだ浅い中、共演者との死別という悲劇に見舞われながらも、鬼才テリー・ギリアムのミューズを立派に務めたリリー。「テリーの映画で好きなのは『バンデッドQ』かな。もちろん、『Dr.パルナサスの鏡』もね!」とちゃっかりアピールする彼女は、本作を撮り終えた後、サリー・ポッターやシェカール・カプールら錚々たる面々の作品に続けて出演。「みんなそれぞれユニークな監督たちだけれど、これだけは確実に言えるわ。明らかにエキセントリックなのはテリーよ」とも言い、いたずらっぽく微笑む。
「いまのところすごく恵まれた経験ができているし、今後も女優業を中心に活動していきたいと願ってる。オープンな心で、いろいろな作品に挑戦してみたいわ。一緒に仕事をして大きなものを得られそうな監督だったり、自分が伝えたいテーマのある作品にめぐり合いたい。演じたことのない役をどんどん演じ、キャラクターを新たに探究していくことが、私にとって素晴らしい経験になると思うの」。

では最後に、“パルナサス博士の鏡”に因んだ質問を。リリー自身の欲望や願望が具現化されたら、鏡の中はどんな世界になると思う?
「平和で、調和の取れた世界。苦しんでいる人が誰ひとりとしていない世界になるかしら。それが私の願いなの」。

美しきリリー・コールは心も美しかった。

《photo:HIRAROCK / text:Hikaru Watanabe》

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