【シネマモード】映画で、愛の真髄を楽しむ 『世界にひとつのプレイブック』

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『世界にひとつのプレイブック』 -(C) 2012 SLPTWC Films, LLC.  All Rights Reserved.
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年が明けたと思ったら、いよいよ来週はバレンタイン・デーですね。愛する大切な人の顔を思い浮かべながら、このコラムをお読みの読者も多いのではないでしょうか。そう、2月は愛の季節…。こんな時期には、「恋愛ドラマが観たくなるのよね~」という人も多いはず。でも、そろそろありふれたロマンスには飽き足らなくなっているのでは? そこで今年は、愛の真髄を楽しめる作品をご紹介します。巷にあふれた甘いだけのラブストーリーとはひと味違う、スパイスたっぷりの愛のドラマをご堪能ください。

第一弾としてご紹介するのは、賞レースでも話題をさらっている『世界にひとつのプレイブック』。アカデミー賞に8部門でノミネートされているのもさすがですが、演技に関する全部門にノミネートされているのも凄い! これは31年ぶりの快挙だそうです。

主人公は、妻の浮気で心のバランスを崩し、妻から接近禁止命令を出されている元高校教師のパットと、最近夫を亡くしたショックを忘れようと会社にいる全員と寝たという心が壊れたままのティファニー。結婚式に使った曲でありながら、妻が浮気していたときにかけていた音楽を聴くだけで大パニックになるパットと、挑発的かつ無礼な態度を取り続けるふてぶてしいティファニーですが、なぜかウマが合うようで、ぶつかりながらも距離を縮めていくのです。

よくよく見れば、美男美女ですが、決してクールとは言えない2人。でも、どこか憎めないのは、自分が信じた未来が手に入ると、それぞれが根拠のない自信を抱いている前向きさゆえ。ともに、あっちの方がイカれてると思いながらも、自分たちの前に立ちはだかった壁を乗り越えるべく、手を取り合うのです。そんな折、社会復帰の方法としてティファニーが提案するのがダンスコンテストへの出場なのです。「は? なんでダンスコンテストなの?」と思わず声に出したくなるほどに突飛な展開からも分かるように、この2人の様子はどこか滑稽で、ちょっと思い込みが強くって、なんだかかっこ悪い部分もダダ漏れです。

疑問符だらけの展開なのに、観ているこちらがいつしか一生懸命になって、彼らの関係に声援を送りたくなるのは、きっとそこに人間関係における、どうしようもないリアルな局面が表出しているから。ラブストーリーという視点で観てみても、スタイリッシュな駆け引きというような非現実的創作は一切なし。パットもティファニーも、どちらも不器用極まりなくて、こうだと思ったことには真っ直ぐにぶつかっていくしかない性格。他人が、変だと思うことにすら真剣です。特にティファニーは、ときに人生に弱腰な様子を見せるパットに、「過去を含めて自分が好き。あんたに同じことが言える?」「あんたは人生を楽しむのが怖いのよ」「私は心を開いたのに、あんたは何よ!」などなど、たいてはプライドが邪魔して言えないようなことをバシバシと投げつけていく身もふたもない人物。最初はそれに振り回されるパットも、戸惑いながらも必然的にいつしか心を開き、彼女に抗えなくなっていくのです。

そう、これはプライドなし、計算なしの人間関係の末に、どうしても惹かれあうことになる男女の恋愛プロセスを描いた物語。火花が散り、そこからいつしか化学反応が生まれる。こういう骨のある恋愛劇を久々だなとしみじみ。ドロドロした恋愛を経験してきたオトナたちですら、この強烈な恋愛劇ならリアルな感情を見出せるのではないでしょうか。

近年、必死すぎる人、一生懸命すぎる人を、カッコ悪いと言う若者が増えているそうですが、彼らの目から見れば、こんなにかっこ悪い男女はいないかもしれません。でも、必死に挑むことでしか、手に入らないものもあるかもしれないとしたら。それが、取り戻したい人生であったり、愛であったり、生きていくうえでとても大切なものだとしたら、「かっこ悪いね」と、彼らを斜めに見ている場合ではないはず。傷つきながらも、手を伸ばしていく2人の姿は、「なんでそこまでするのかな」と傍観者には少々滑稽に映るときもあります。でも、なんだか泣けてくる。その必死さが、一生懸命さが、羨ましいほどまぶしいから笑いつつ涙するのです。パットとティファニーが繰り広げる関係は、まさにリアルな真剣勝負。ここまで真剣勝負の恋愛劇、ここ最近では、かなり珍しいのではないでしょうか。

そんな二人の物語、最大の見どころは終盤のダンスシーンです。おかしいやら、気恥ずかしいやら、切ないやらで、心中さまざまな感情がないまぜに。でも、妙に感動的だったりもして。この作品の魅力をぎゅっと凝縮したものになっています。そもそも、かなりシリアスなテーマやモチーフをはらんだ本作ですが、こんなに笑っちゃっていいのでしょうかというぐらい笑えます。そしてラストでは、笑っているのに同時に泣く始末。この不思議な感覚を最大限に楽しみたいなら、映画をこよなく愛する誰かをさそってぜひご一緒にどうぞ。

(C) 2012 SLPTWC Films, LLC. All Rights Reserved.
《text:June Makiguchi》

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