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ラシダ・ジョーンズ インタビュー【後編】 父が後押ししてくれた、脚本家への夢

『セレステ∞ジェシー』に描かれていることは、全て彼女の経験した感情に基づくものだ。実は、共同執筆したウィルと、90年代に数週間交際した経験も本作に反映されている。

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  • 『セレステ∞ジェシー』 -(C) C & J Forever, LLC All rights reserved.
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アメリカでわずか4館から上映をスタートし、やがて口コミによって評判となり上映劇場を586館にまで拡大させた話題の作品が、いよいよ日本にやって来た。全米中の女性の共感を呼び、新たなるラブストーリーの傑作との呼び声も高い『セレステ∞ジェシー』だ。本作の脚本を共同執筆し、主演のセレステを演じているのが、女優生活16年目を迎えるラシダ・ジョーンズ。公開前に初来日を果たしたラシダに、映画について、そして彼女自身について聞いた。

【後編】

『セレステ∞ジェシー』に描かれていることは、全て彼女の経験した感情に基づくものだ。実は、共同執筆したウィルと、90年代に数週間交際した経験も本作に反映されている。付き合ってすぐに、友達でいる方がいいと気づいた2人は、互いを愛しながらも“運命の人ではない”という事実を受け入れた。こんなプライベートな部分まで作品執筆に活かされているのだ。

「その映画が真実を、そしてとてもパーソナルなことを語っていて、観客に対して正直に作られたものだと分かると、その物語は観客に大きなインパクトを与えることになると思うの。だから、自分自身の経験を描くことにしたのよ。それに私はロマンティック・コメディが大好きで、それを観て育ったの。特に、70年代や80年代のウディ・アレンや、ジェームズ・L・ブルックス、キャメロン・クロウの映画が好き。彼らの作品は、コメディとドラマ、どちらの系譜にも連なっていて、笑えると同時に痛みや悲しみと言った本物の感情を含んでいる。“この気持ち、よく分かる”と思わせてくれる。今、そういった作品を見つけるのはどんどん難しくなっているわね。だから、私たちなりに作りたかったの」。

さらに、「長いこと関係を続けているけれど、どこか上手く行かない関係というものを経験している人は多いわ。その相手と一緒にいるべきではないと分かっても、長いこと一緒にいるということには何か意味があるはずだと思ってしまうこともある。でも、時にはそんな関係から相手を、そして自分を解き放ってあげることも必要。そういう選択肢もあるということを伝えたかったの」。

では、ラシダにとって、男性の親友とパートナーとの違いはどこに?
「ウィルは私のベストフレンド。だから、彼のことをそのまま受け入れることができるわ。どちらかというと兄妹みたい。お互いに起きたいろいろなことを知り尽くしているの。でも、パートナーなら少し謎があるくらいだといいわね。コミュニケーションを取ることはとても大切。でも、魅力を持続させるなら、少しだけ自分だけに留めておくものがあるのが理想的だわ。例えば、自分だけの時間や付き合い、趣味があるとか。すべてをさらけ出すのは、親友だからいいのよ。恋人同士の関係でそれをやってしまうと、ちょっと慣れ合いになり過ぎてしまって、情熱の炎が消えやすくなってしまうと思うわ!」。

成功の影には、偉大な父親からの良き助言

親友にして、執筆パートナーであるウィルと共に、いまや注目の脚本家として今後の活躍が期待される存在になったラシダ。女優を始めとする多彩なキャリアは、執筆に良い影響を及ぼしているという。
「特に女優として長く活動してきたことは、脚本執筆に良い効果があったわ。何故なら、とても多くの脚本を読んできたから、感覚的にその物語が成立するかしないかが何となく分かるようになったの。それに、文字として書かれた会話を実際に声に出してきた人間として、脚本に書かれたセリフがどのように響くかも分かるようになったわ。特に最初の10ページがとても大事なの。もし11ページ以内に、キャラクターをはっきりさせ、物語を動かすことができなければ、たぶん映画として成立する物語は書けないわね。実際に、10ページまでで読むのを止めた脚本もあるわ。悲しいことにね」。

では、自らが脚本執筆のため、実際に行った努力とは?
「会話を書き始める前に、大きなボードで物語の構成を整理したの。それだけで2か月をかけたわ。そして、物語の設定を書いたカードを使って、ここで行われたことが、ここでこう働いて、ラストではこうなる…というように、物語の辻褄を合わせていった。小説を書くようなものね。実は、これは私の父が勧めてくれたことでもあるのよ。クリエイティブな感覚を持ち、自由に創作活動をしていくことは大切。でも、全てに科学というものがあって、特にストーリーを語ることにはメソッドがある。私たちは、『神話の法則―ライターズ・ジャーニー』という本を参考にして、ギリシャ神話のメソッドに従いながら、ヒーローの旅を表現するようにこの物語を書いていったの」。

その脚本家のバイブルとも言える『神話の法則―ライターズ・ジャーニー』は、クインシー・ジョーンズ氏から贈られた本なのだとか。
「父がもう何年も前にくれたものなの。そのとき私は、脚本を書くことを考え始めていたから、とても意味のあることだったわ。15年前、父は私をライター養成講座に入れてくれたの。父は、物語の紡ぎ方をしっかりと学ぶよう、強く後押ししてくれたのね。それも、私が物語を書き始める前にね。そして、自分の物語を書きなさいと言ってくれたわ。一つのことにこだわらず、いろいろなことを経験し、さまざまなクリエイティビティを発揮しろともね。実際に、父は作曲、アレンジ、トランペット演奏、プロデュースなどをやって、様々な引き出しを持っている。同じように様々なことをすることを勧めてくれたのよ」。

昔から女優よりも、脚本家を目指していたというラシダ。
「大学には、『The Harvard Lampoon』という、最も有名な大学のユーモア雑誌があるの。そこに執筆することは、将来、最高のTVショーの作家になることが約束されているの。多くの友人が参加していたけれど、私はそこで書いていなかったから、とても臆病になっていて、ライターとして活動を始めるまでにちょっと時間がかかってしまったわ。でもいまは、自分には独自の視点があるということを知っている。そして、そこのことを誇りに思っているわ」。

その才能は、もう映画界もすでに認めるところとなった。この成功を、今後の活躍にどう繋げていくのか楽しみだ。

ラシダ・ジョーンズ インタビュー【前編】 自分の中の“セレステ”な部分
《牧口じゅん》

映画、だけではありません。 牧口じゅん

通信社勤務、映画祭事務局スタッフを経て、映画ライターに。映画専門サイト、女性誌男性誌などでコラムやインタビュー記事を執筆。旅、グルメなどカルチャー系取材多数。ドッグマッサージセラピストの資格を持ち、動物をこよなく愛する。趣味はクラシック音楽鑑賞。

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