決して能天気に観れる作品ではない。前述してその描写を「克明」と記したが、これは大仰な言葉ではなく紛れもない真実。1853年に発表された本作の主人公で実在した人物ソロモン・ノーサップの「Twelve Years a Slave」を原作に映画化されたものだ。白人社会の中で理不尽に虐げられ、背中をムチで打たれ、抗う心に目を背け、怯えながらその日を生き抜く…そんな目を伏せたくなるシーンも登場する。この重厚なテーマを扱う本作のメッセージに賛同し、ハリウッドきっての豪華な俳優陣が体当たりで役に身を投じている。