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【インタビュー】女子高生が集団妊娠! 寉岡萌希が語る爽快な問題作『リュウグウノツカイ』

つくろうよ、私たちの国――。

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寉岡萌希『リュウグウノツカイ』/Photo:Naoki Kurozu
寉岡萌希『リュウグウノツカイ』/Photo:Naoki Kurozu
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つくろうよ、私たちの国――。

警察の標語のようだが、映画の中の女子高生たちが、この言葉を実現すべく行うのは、セックスに次ぐセックス! せまい漁村で手当たり次第に男たちと交わり、妊娠検査薬を片手に、妊娠が判明すると笑顔でハイタッチする。

アメリカで実際に起きた10代の少女たちの集団妊娠騒動をモチーフに、さびれた漁師町で、17歳の少女たちが巻き起こす“反乱”を描いた『リュウグウノツカイ』。今年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で「北海道知事賞」に輝き、審査員からも称賛が寄せられた本作がまもなく新宿K'sシネマにて公開となる。

冒頭に挙げたセリフを口にする、主人公の一人である真姫を演じるのは『ヘヴンズ ストーリー』('10)で主演を務め、高い評価を得た注目株・寉岡萌希。どこか爽快感さえ感じさせる少女たちの寓話について、公開を前に語ってもらった。

開発工事に揺れる漁師町でつるむ女子高生たちの一団。不漁で家庭が崩壊した少女、親が開発側で働く少女など、それぞれに悩みや問題を抱えている。そんな彼女たちの前に現れる浜辺に打ち上げられた巨大な深海魚。それは「豊漁の兆候」とも「災いの予兆」とも言われるが…。

まずは最初に脚本を読んだ時の率直な印象は?

「何だこれ? どんな話だよ! って(笑)。でも不思議と演じてみたいなって思いました。現実にありそうで、なさそうで、なさそうで、ありそうな…。実話がベースになっているとは知らず、それを知った時は衝撃を受けました、面白いなって」。

寉岡さんが演じる真姫は、母が出て行った家で、漁に出られず酒びたりの父と暮らす女子高生。「産もうよ」というセリフと共に、冒頭に挙げた「つくろうよ――」という言葉を口にし、同級生たちを集団妊娠の道へと引き込んでいく張本人でもある。これらの一連のセリフが真姫を演じる上で、大きなとっかかりとなった。

「このセリフで、表情を思い切り変えようって思いました。それ以前の真姫は友達の前で笑ってもどこか口だけなんです。でも、このシーンは『やれる気がする。やっちゃおうよ!』って感じの“企み顔”で、本気の笑顔、クシャっとなるような笑いを見せてます。これ以降の後半部分は、役を作るというよりも素の寉岡萌希として楽しんでる感じでした。現場でも実際、こんなに素でハシャイじゃっていいのか? ってくらい、みんなで女子高生ノリで楽しんでました。私は撮影時は大学4年生で、最初は『制服大丈夫か? 犯罪じゃないか?』って心配してたんですけど(笑)、女子高生のノリに戻ってました」。

そう、ストーリーの印象と同じく、劇中の女子高生たちの存在感のなんと不思議なことか…。寉岡さんの言葉を借りるなら「ありそうで、なさそうな」存在そのものなのだ。やっていること(=集団妊娠の実行)は凄まじいのだが、彼女たちの言動やノリは、そこら辺にいる17歳と全く変わらない。見ていて「まあ、イマドキの女子高生ならアリかな…」などと心地よく誤解してしまいそうな不思議な空気が作品を通して流れている。

「女子高生のセックスや妊娠を扱ってるのにエロさがないのも面白い(笑)。高校生の頃って、突拍子もないことを考えて、しかも行動にまで移しちゃう時期なんだなって私も思います。周りが『不可能だ』と言うようなことでもやってみたくなっちゃう。私自身は、どちらかと言うと自制心が勝って、危険な道には行かないタイプなんですが(笑)、『こういうコたち、いるなぁ』って素直に思えました。ひとりずつを見ると絶対にやらないのに、集団になるとすごいパワーを発揮しちゃったりするというのも割と普通にありますよね。だからこそ、後半部分は素の私から“自制心”を引いたのが真姫なんだと思って演じてました」。

寉岡さんにとっては『ヘヴンズ ストーリー』に続く主演作。だが当人は「撮影の時は主演という責任を感じたし、ストーリーを引っ張って行かないといけないと緊張するんですが、作品として出来上がってしまえば、みんなで作り上げた映画だなという気持ちが強いです」と屈託なく笑う。

この落ち着きようも納得。彼女は5歳でこの世界に入り芸歴は既に17年におよぶ。ずっと学業と並行して仕事を続けてきたが、本作の撮影後に大学を卒業。いまは女優一本で生きる。「女優でない寉岡萌希が想像できない」と言うほど、彼女にとって「女優」とは生き方そのものに他ならない。

「幼稚園で誕生日に『将来、何になりたいか?』って聞かれるんですが、『女優』って言ってましたね。姉(同じく女優の寉岡瑞希)のマネをして(笑)。ただ、高校に行っても、大学に行ってもその気持ちはブレなかったです。(大学で)心理学を専攻したのも、仕事に活かせるかもしれないと思ったからだし。周りが就活しているときは『私、何もしてないけどいいのかな?』という気持ちはありましたが、この業界を選んだ人はきっと一度はこういう思いを感じているんだろうとも思って『ここで私がブレちゃいけない』という気持ちになって、最終的に『私はこの世界で生きていくんだ』という強い思いを持って大学を卒業しました」。

役を演じる上で、彼女を捉えて離さないのは「人の心」だという。

「心からその役になりきれる女優さんになりたいというのは、小さい頃からずっと言ってますね。“心”って、似ているようでひとりひとり全く違うものだから、すごく面白いし、大事なものだなと思ってます。それから、やっぱりひとりでも多くの方の心に残る女優さんになりたいです」。

「心からなりきる」――口に出すとさも当然のことのように聞こえるが、これがなかなか凄まじい。撮影の期間中は「ずっと役を抱えたまま生きているタイプ」だという。例えば先述の『ヘヴンズ ストーリー』は4時間半を超える大作で、撮影も中断期間を挟んで1年半におよび、その間、監督からは随時、脚本の直しが送られてきたという。その間、寉岡さんはずっと役を微調整しながら生活していたという。

「脚本の直しが届くたびに気持ちをちょっとずつ変えていかないといけなくて…。役が離れてくれないんです(苦笑)。今回も撮影は1週間ほどでしたが、夢の中で台本を読んでたり、自分のお腹が大きくなっていく夢を見たり(笑)。とり憑かれてますし、やめられないですね」。

そう語る彼女の笑顔は、まさに真姫が後半に見せる笑顔そのもの。強く、そして美しい。

少しずつ膨らんでいく彼女たちのお腹は希望の象徴か? それとも…。17歳の少女たちの“革命”の行方を見届けてほしい。
《photo / text:Naoki Kurozu》

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