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【シネマ羅針盤】御歳84歳、イーストウッド監督“傑作量産”のナゼ?

「映画づくりで大切にしているのは、常に正直であること。そしてドラマに込めた真実だ」。クリント・イーストウッドが来日し、映画監督としてのポリシーを語ったのは、いわゆる“硫黄島2部作”を完成させた2006年11月のこと。

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御歳84歳でいまだ現役、クリント・イーストウッド監督  -(C) Getty Images
御歳84歳でいまだ現役、クリント・イーストウッド監督 -(C) Getty Images
  • 御歳84歳でいまだ現役、クリント・イーストウッド監督  -(C) Getty Images
  • 『アメリカン・スナイパー』-(C) 2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
  • 御歳84歳でいまだ現役、クリント・イーストウッド監督  -(C) Getty Images
  • 『アメリカン・スナイパー』-(C) 2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
  • 『アメリカン・スナイパー』最新ビジュアル(C)2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
  • クリント・イーストウッド(監督)/『アメリカン・スナイパー』N.Y.プレミア
  • クリント・ウーストウッド監督とキャストたち/『ジャージー・ボーイズ』 -(C) 2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC ENTERTAINMENT
「映画づくりで大切にしているのは、常に正直であること。そしてドラマに込めた真実だ」。クリント・イーストウッドが来日し、映画監督としてのポリシーを語ったのは、いわゆる“硫黄島2部作”を完成させた2006年11月のこと。ご承知の通り、その言葉はいまも健在だ。

当時のイーストウッド監督は『ミスティック・リバー』('03)で称賛を浴び、『ミリオンダラー・ベイビー』('04)で2度目となるアカデミー賞「作品賞」&「監督賞」を受賞。「ついにキャリアの到達点を迎えた」と称えられ、『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』は「集大成」だと絶賛された。ところがイーストウッド監督は、その後もペースを落とすどころか、次々と傑作を世に送り出している。もはや“量産”という言葉がふさわしいほどだ。

『チェンジリング』『グラン・トリノ』『インビクタス 負けざる者たち』『ヒア アフター』『J・エドガー』…この数年でイーストウッド監督がメガホンをとった作品群は、ジャンルもテーマも同一監督とは思えない多彩ぶりだ。さらに2014年、『ジャージー・ボーイズ』『アメリカン・スナイパー』という2本の傑作を一気に“撮ってしまう”驚異の生産性を見せつけられると、感動や尊敬以上に「ナゼ?」と純粋な疑問が沸いてきてしまう。

イーストウッド監督はリハーサルを嫌い、どのシーンもほぼワンテイクで撮ることで知られる。「俳優でもある彼が、出演者の気持ちや立場を理解しているから、早撮りができる」と説明されれば、頭では理解できた気になるが、当然「ナゼ?」の答えには遠く及ばない。それでも、現在84歳のベテランが“残り時間”を意識しながら、興味や関心に対して正直に向き合い、作家として自分なりの真実を刻もうとする姿は、どの作品にも垣間見える。

全米でキャリア最大の興行的成功を収めている最新作『アメリカン・スナイパー』も然りだ。愛国と正義、戦場の狂気…、“硫黄島2部作”にも底通するテーマを「いましか描けない」タイミングでスクリーンに焼き付けた志の高さに、第87回アカデミー賞はどんな反応を示すだろうか。監督賞候補に挙げなかった罪滅ぼしとして、「作品賞」を授けるサプライズもあるかもしれない(似たケースとして、一昨年前には『アルゴ』が作品賞に輝いている)。

『アメリカン・スナイパー』は2月21日(土)より新宿ピカデリー、丸の内ピカデリーほか全国にて公開。
《text:Ryo Uchida》

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