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【インタビュー】『新宿スワン』綾野剛×伊勢谷友介 ”不夜城”歌舞伎町で鬼才と過ごす幸せ

これだけ次々と話題作に出演しているのだから、綾野剛と伊勢谷友介がいつかどこかで共演することは必然だった。だが、それが園子温監督の手による『新宿スワン』で初めて実現したことは幸運であり、そして運命だったと言えるかもしれない。

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『新宿スワン』綾野剛、伊勢谷友介/photo:Naoki Kurozu
『新宿スワン』綾野剛、伊勢谷友介/photo:Naoki Kurozu
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  • 今野杏南/『新宿スワン』 - (C) 2015『新宿スワン』製作委員会
  • 沢尻エリカ/『新宿スワン』 - (C) 2015『新宿スワン』製作委員会
  • 『新宿スワン』 - (C) 2015『新宿スワン』製作委員会
  • 今野杏南/『新宿スワン』 - (C) 2015『新宿スワン』製作委員会
  • 『新宿スワン』 - (C) 2015『新宿スワン』製作委員会
これだけ次々と話題作に出演しているのだから、綾野剛と伊勢谷友介がいつかどこかで共演することは必然だった。だが、それが園子温監督の手による『新宿スワン』で初めて実現したことは幸運であり、そして運命だったと言えるかもしれない。

和久井健の人気漫画を原作にした本作。新宿・歌舞伎町を舞台に、金髪天パーのお調子者だが情に厚い白鳥龍彦(綾野さん)が、女性に水商売の働き口を紹介するスカウトマンとして成長していく姿を描く。

龍彦について「非常に愛おしい人、みんなに愛される男なんだと感じました」と語る綾野さん。「この役を自分ができるのか? という自問自答はありましたが、原作があってそこには彼の佇まいから土下座の仕方まで丁寧に描かれている。それを自分の体になじませていくという作業に専念しました」と振り返る。

綾野さん、龍彦をスカウトの世界へと導く兄貴分にして謎めいた男・真虎を演じた伊勢谷さん、そして日本で数少ない“鬼才”と枕詞が付く映画監督・園子温。この3人の組み合わせが生み出すものは、“化学変化”などという言葉では収まらない。ちょっとやそっとのことが起きても、動じることがなさそうな伊勢谷さんが、園監督の現場での驚きをこう明かす。

「例えば、街にいるその辺の女の子が、急に共演者になってたりするんです。そういう意表をついた事をしてくるところが、自由なんですよね。語弊があるかもしれないですけど、いま一番、映画を気楽に撮っている監督だと思います。電車に乗るように映画を撮ってるんです」。

綾野さんも「園さんが撮影中に現場でスカウトしてきた人が、その何分後かには出演してたり」と楽しそうに振り返りつつ、本作における園監督の新たな挑戦をこんな言葉で語る。

「園さんも『僕はメジャー映画もちゃんと撮りたい』ということを仰っていて、それこそ本来の“園子温節”ということで言うなら、自分でやりたい脚本を書いて、自分で編集もされる方なのに、今回は別の人の脚本で、編集も別のチームが仕上げてる。園さんがこの『新宿スワン』で新たなステージに行こうとしている姿勢を感じました」。

金髪の天然パーマはもちろん、表情ひとつとっても、綾野さんがいかに原作の漫画、そして原作ファンの頭の中で息づく白鳥龍彦像を大切に役を作っていったかが分かる。もちろん、内面についても言うまでもないが、同時にそれは、これまでクールで醒めた役柄を演じてきたイメージの強い綾野さんにとっても新たな挑戦となったはずだ。

いわゆる“役作り”に関して綾野さんは「今回は原作漫画があるのでそれが全て。僕自身に役をリンクさせようもないです、(龍彦は)僕じゃないので。役を自分の方に近づけていくのは不可能に近いです。だって(龍彦は)19歳。32の男が演じるんですから、壮大なファンタジーです。(役でいるのは)“よーいスタート”から“カット”の間だけです。役に体という“箱”を貸している感じですね」と語る。一方で、これまで演じてきた役は「いまだに全て僕の中に生きている」とも。

「今回の龍彦にも、良いところも悪いところも含めて勉強させてもらってます。これまで80作品くらいやってますけど、全部の役が僕の中にいて、それは決していなくなることはないし、人生のいろんな部分を影響されていると思います。みなさんも、影響された方っていると思います、上司とか友人で、この人の考え方がすごく勉強になったとか。それは実在されている人なら『この人』って言えますが、僕にとってはそれが役なんです。見えないだけで全て(胸を指して)ここにいるんです。役柄の全てが僕の性格や血肉になってます」。

伊勢谷さんもまた、役との“付き合い方”について独特の持論を明かす。

「僕は役が自分の中に残るってことがないですね。たまに『家に帰っても役が抜けなくて』という方がいますけど、全然経験がなくて、そういう感覚がないです。僕自身、(俳優生活が)是枝(裕和)さんから始まってるので(※『ワンダフルライフ』)、それこそ演じないところから始まってるんですよね。だから普通がよく分かんなくて、セリフを覚えるってこともビックリしました。自分自身と役との、撮影の日までの時間や距離感みたいなものがあって、ヒョイと(役が自分に)取り込まれるときもあれば、そうでない時もあって、そうでない時の現場での慌てようったらないですね(苦笑)。『あれ、できてたはずなのにおかしい…なんか違ったぞ』って(笑)。普段はめったにないんですけど、白洲次郎(ドラマ『白洲次郎』)と松陰先生(大河ドラマ『花燃ゆ』)の時は、思想の部分で自分の考えとリンクするようなところが出てきて、勝手に力が乗っかるように、普段から自分が言っていることが芝居になったりしたことがあって、それはすごく不思議な感覚でした」。

撮影中には一緒に飲みに行くこともあったという2人。綾野さんは、少し年上の“兄貴分”の印象をこう語る。

「僕らの世代にとっては“伊勢谷友介”というのはある種のアイコンであり、知らない人がいないですから。実際にお会いしたら、自分が知っている伊勢谷さんがそのまんまいたことにすごく安心しました。ご自身でやられているプロジェクト(※リバースプロジェクト)も含めて、すごく思考が深くて理論的で、そこは新しい一面として知ることができました。一緒に取材を受けていても、伊勢谷さんは話しているうちに自分のプロジェクトと繋がった話になっていくんです。一周して作品と全く関係なくなる(笑)。そういう部分も含めて、自分の持っている熱量で周りのいろんなものを巻き込んでいくパワーを感じますね」。

伊勢谷さんは、本作の真虎、『ジョーカー・ゲーム』の結城に松陰など、少し上の立場から主人公を導き、見守るという役柄が増えてきたことを自覚している。「松陰先生も(公開が控える)『MOZU』も説明ゼリフがすごく多かったです(笑)。俳優のポジションとして、しっかりとストーリーを自分が語らないといけないところに来ているのかなと思います」と苦笑交じりに語るが、そういう役回りは現場を離れてもついて回ってくるよう。今回、また新たにできた伊勢谷さんを慕う“弟分”綾野剛の印象は?

「愛情を持っていろんな人に関わってくるんですけど、かといって常に理路整然とピシッとしているわけでもなくて、だからこそみんなが寄ってくる――かわいげがあるんですよね。そこは羨ましくもあります。いまは、いい子ちゃんがすごく多くなってて、僕らの上の世代はそれこそムチャクチャな先輩が多かったんですけど、僕らはなるべくいい子ちゃんでいようと頑張った世代なんです。そうやってみんながおとなしくなってきているところで、元気に『あれしよう』『これがしたい』って言ってきてくれるんです。最初は気を遣ってくれているのかな? と思ったけど意外とそうじゃなくて、本人がそうしたいと思っているみたいで、そうやって年上も年下も関係なくみんなを巻き込んでいく。破天荒というのとは違って、かわいげのある“人たらし”なんですよね」。

タイプは違えども、人を惹きつけてやまない2人。“不夜城”歌舞伎町がよく似合う。

【綾野剛】
スタイリスト:長瀬哲朗
ヘアメイク:石邑麻由

【伊勢谷友介】
スタイリスト:葛西信博
ヘアメイク:ShinYa/プライマル
《photo / text:Naoki Kurozu》

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