「THE STEVE JOBS BUILDING」を出て、左に続く緑道を抜けた左手に見えるのは、「ブルックリン」と呼ばれる第二の建物だ。中に入ると、「THE STEVE JOBS BUILDING」におけるガラスや鉄などの無機的なイメージとは一転、レンガや木材による壁面や絨毯敷きの空間などが広がり、どこか暖かい雰囲気漂う空間が印象的だった。こちらにおいても、『モンスターズ・インク』のサリー&ボブのオブジェや、石畳にこっそり隠されたウッディのシルエットなど、キャラクター愛が感じられる配置はもちろん、ガラスケースに保管されたスティーブ・ジョブズとジョン・ラセターがやりとりした手紙や(ジョブズのハンドライティングの美しさには驚かされた)、ソファラウンジのようなリラックススペースには、かつて野球場だったという本スタジオの土地の歴史を記すギャラリー展示が壁面に飾られるなど、常に新しいクリエイションが生み出される場としての「THE STEVE JOBS BUILDING」に対して、こちらは時間の蓄積によって育まれる歴史の息遣いが感じられる空間が広がっていた。
ほかにも、敷地内にはプールやサッカー場、テニスコートなど、体を動かすことができるスペースも確保されており、スタッフたちが気軽にリフレッシュできる環境が整えられている。また、「THE STEVE JOBS BUILDING」内のカフェテリアはオーガニックな野菜中心のメニューで、スタッフの健康への配慮がここでも行き届いている。
「THE STEVE JOBS BUILDING」2階に設けられているアーティストたちのプライベートな作業部屋は、それぞれが個性的に装飾すること推奨されているという。存分にリラックスできるカフェや緑道などのパブリックな空間と、自分の好みに合わせてデコレーションされた空間で制作に打ち込むことができるプライベートな空間、そのどちらもが揃うこの場所は、まさにクリエイターたちにとっては理想的な職場と言えるだろう。