【はじめての寅さん】国民的映画シリーズが誕生するまで…『男はつらいよ』入門編

監督・山田洋次×主演・渥美清による国民的人気シリーズ「男はつらいよ」。第1作目の公開から50周年となる今年、記念すべき第50作目となる最新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』が12月27日(金)に公開される。

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『男はつらいよ』渥美清(C)松竹
  • 『男はつらいよ』渥美清(C)松竹
  • 『男はつらいよ お帰り 寅さん』(C)2019松竹株式会社
  • 『男はつらいよ お帰り 寅さん』(C)2019松竹株式会社
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  • 『男はつらいよ お帰り 寅さん』(C)2019松竹株式会社
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監督・山田洋次×主演・渥美清による国民的人気シリーズ「男はつらいよ」。自由奔放で惚れっぽく、迷惑ばかりかけるけれど憎めない~そんな主人公の寅次郎が作品を重ねるごとに人気を呼び、ついには“寅さん”が作品の代名詞にもなっている昭和を代表する名作シリーズだ。

第1作目の公開から50周年となる今年、記念すべき第50作目となる最新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』が12月27日(金)に公開される。新たに撮影された<現在>のエピソードを軸に、4Kデジタル修復された寅さんがスクリーンに登場。再び日本を【笑いと涙】で包み込む。

今回は「入門編」として、はじめての人でもこれを知っていたらより楽しめる“寅さんのこれまで”をふり返ってみよう。

ギネスブックにも認定!
幅広い世代に愛される『男はつらいよ』とは?


葛飾柴又・帝釈天の門前にある草団子屋「くるまや」を舞台に、“フーテン(=風来坊)の寅”こと車寅次郎が、妹・さくらほか周囲の面々を騒動に巻き込みながら織り成す人情ドラマ『男はつらいよ』。

『男はつらいよ お帰り 寅さん』(C)2019松竹株式会社『男はつらいよ お帰り 寅さん』
第1作目は1969年に公開。以来、お盆やお正月の時期に新作が上映され、着実にシリーズを重ねてきた。寅さんを演じた昭和の名優・渥美さんは病気により1996年に亡くなっているが、公開からの26年間で製作されたのは『男はつらいよ 寅次郎紅の花』(1995年)までの48作品。この前人未到の偉業は、1983年の段階で「ひとりの俳優が演じた最も長い映画シリーズ」としてギネスブック認定もされている。

その後、第25作目のリマスター版に新エピソードが盛り込まれた『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花 特別篇』(1997年)が加わり、現在シリーズは全49作品となっている。

映画版の前身となったテレビシリーズ


もともとは1968年にテレビドラマ(全26話)として放映されていた“寅さん”。脚本を務めた山田監督が、テキヤに憧れた渥美さんの少年時代の思い出からインスピレーションを得て、定職を持たずにぶらぶらしている“フーテンの寅”というキャラクターを創り上げたという。

しかしドラマの最終話では、ハブ狩りで一儲けしようとたくらんだ寅さんがハブに咬まれて死んでしまう。その衝撃のラストにお茶の間から大ブーイングが巻き起こったことをきっかけに、山田監督が自ら映画化を企画。その後、日本を代表する映画シリーズへと成長していくのだ。

映画が描く、旅から旅へ~寅さんの放浪人生


父親と喧嘩をして家を飛び出してから早20年、風の向くまま気の向くまま放浪生活をしていたという寅さんが、郷愁にかられ、妹・さくら(倍賞千恵子)に会いに「くるまや」に帰ってくるところから全ての物語は始まる。

『男はつらいよ』渥美清(C)松竹
この後寅さんは、さくらのお見合いの席で大失敗をやらかし、玉の輿とも言える良縁をぶち壊しに。以降の作品でも、旅からフラっと戻ってきてはあちらこちらで騒動を起こすため、「くるまや」のおじちゃん&おばちゃんたちからは“厄介者”とか“不良”と呼ばれてしまう。

おまけに美人を見るとすぐ惚れてしまう寅さん。困っている“マドンナ”のために、ある時は人手が足りない豆腐屋に住み込んで手伝い、またある時は二日酔いでダウンした住職に代わってお経をあげたりしたことも…。だが結局いつもフラれてしまい、また放浪の旅に出るというのがシリーズを通じてのお決まりのパターンなのだ。

最新作『男はつらいよ お帰り 寅さん』


そんな寅さんを慕うのは、さくらと博(前田吟)の息子・満男(吉岡秀隆)だ。子どもの頃は運動会の応援に来てくれるという寅さんをやんわりと拒絶したこともある満男だったが、大学を浪人中だった彼が恋に悩んだ時に、親身になって話を聞いてくれたのは寅さんだった。それ以来、寅さんは満男の恋を見守り続け、2人は強い絆で結ばれた関係だ。

『男はつらいよ お帰り 寅さん』(C)2019松竹株式会社『男はつらいよ お帰り 寅さん』
22年ぶりとなる最新作では、満男はサラリーマンを辞めて念願だった小説家としてデビュー。妻を病気で亡くしてからは、中学三年生の娘と2人で暮らしている。夢をかなえたものの新作の執筆に乗り気になれない彼は、いつも味方でいてくれた寅さんとの懐かしいエピソードを次々と思い出していく。

2人の「マドンナ」が登場


そんな折、満男はサイン会でかつて寅さんに相談に乗ってもらった初恋の相手・イズミ(後藤久美子)と偶然の再会を果たす。そして2人は寅さんのかつての恋人・リリー(浅丘ルリ子)が営むジャズ喫茶へ行き、リリーが語る“寅さんとの恋の真相”に耳を傾ける。

『男はつらいよ お帰り 寅さん』(C)2019松竹株式会社『男はつらいよ お帰り 寅さん』
寅さんが恋をしてきた総勢40人の女性たちの中でも最も近い存在だったリリーと、満男が結婚の約束までしながらも結ばれなかったイズミ。記念すべき第50作品目では、満男と寅さんに深い関わりがあるマドンナ2人が登場して、結ばれなかった恋についてしみじみと想いを馳せる。シリーズにオマージュを捧げるこの粋な計らいには、思わずニンマリするファンもいることだろう。

オープング主題歌は桑田佳祐


また『男はつらいよ』では、主題歌もまた寅さんを表現するファクターの1つとして重要な役割を担っている。

『男はつらいよ お帰り 寅さん』主題歌決定(C)2019松竹株式会社桑田さんと山田監督
歌の冒頭は「私生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天でうぶ湯をつかい、姓は車、名は寅次郎。人呼んでフーテンの寅と発します」という寅さんの名フレーズの1つである“テキヤの仁義”で始まる。

そして「俺がいたんじゃお嫁にゃ行けぬ。分かっちゃいるんだ妹よ~」と、自らの不甲斐なさを歌い上げ、最後はまた口上で締められる。このちょっぴり切ない歌詞では、普段は陽気で明るい寅さんの心の裏に潜む本音が垣間見え、より映画の情感を高めることに一役買っている。

そして最新作ではオープニング主題歌を桑田佳祐が熱演&熱唱! こちらも楽しみにしていて欲しい。

『男はつらいよ お帰り 寅さん』(C)2019松竹株式会社『男はつらいよ お帰り 寅さん』
破天荒で変わり者だが性根は優しい~どこか憎めない“愛されキャラ”の寅さん。毎度のトラブルは笑いを誘うが、その一方で苦労人でもある寅さんが、ふとした瞬間に見せる「思いやりの心」や「がんちくに富んだ一言」には誰しもジンワリと心が温められることだろう。令和の時代になっても悩める現代人の心に寄り添い、背中を押してくれる“寅さん”。最新技術で甦った彼に会えるのはもうすぐ!(text:足立美由紀)
《text:Miyuki Adachi》

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