『リチャード・ジュエル』の“母”キャシー・ベイツ、イーストウッドが映画化した理由明かす

『リチャード・ジュエル』で第一容疑者として実名報道された警備員リチャードの母を演じている名女優キャシー・ベイツが、クリント・イーストウッドが映画化を決めた理由を明かした。

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キャシー・ベイツ『リチャード・ジュエル』 (C) 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
  • キャシー・ベイツ『リチャード・ジュエル』 (C) 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
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  • キャシー・ベイツ『リチャード・ジュエル』 (C) 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
  • 『リチャード・ジュエル』 (C) 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
  • 『リチャード・ジュエル』 (C) 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
クリント・イーストウッド監督が1996年に起こったアトランタ爆破事件を描く『リチャード・ジュエル』。本作で、爆発物の第一発見者でありながら第一容疑者と実名報道された警備員リチャードの母ボビを演じているのは、『ミザリー』(’91)でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、数多くの作品で確かな演技を披露し続けている名女優キャシー・ベイツ。本作では第77回ゴールデン・グローブ賞にもノミネートされた。

多くの人々から敬意を集め、長いキャリアを誇るベイツだが、イーストウッド監督と組むのは今回が初。「ぜひ出たいと思ったのは、クリントと仕事ができるからだったということは認めなくちゃね」と笑うベイツは、「やっとその機会を得られたなんて、とにかく感激したわ」と語っている。

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イーストウッドは、なぜ『リチャード・ジュエル』の映画化を決めたのか?


『リチャード・ジュエル』 (C) 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
イーストウッド監督に最初に尋ねたことは、「なぜこの映画を作りたいと思ったの?」ということだったというベイツ。すると監督は「自分が観たい映画だからだと言ったの。それが彼の最初の言葉。リチャード・ジュエルがFBIからひどい扱いを受けたのは悲劇だと心から感じたそうよ。FBIは、訓練用の映画を作るのに協力してくれとリチャードに頼んだのだけど、それは彼にミランダ警告で被疑者に認められている権利を放棄させるための策略だったの」と、監督が感じた憤りを耳にして驚いたという。

ミランダ警告とは、アメリカの法執行機関が被疑者の取り調べを開始する前に、権利を告知する義務を指す。「黙秘権があること」「供述が不利な証拠になりうること」「弁護士の立ち会いを求める権利があること」「公選弁護人をつけてもらう権利があること」を知らせなければならないのだ。だが、FBIはリチャードにこのルールを遵守しなかった。

「私はとにかく驚いた。もちろん、あの爆破事件のことは知っていたけれど、リチャード・ジュエルと彼のお母さんにとってそれがどれほど悲惨な体験をしたのか、全然知らなかったから。その部分を脚本で読んで、ほんとうに恐ろしかったわ」と、映画が描く事実に衝撃を受けたという。

実母との特別な時間から生まれたキャシー・ベイツの熱演


キャシー・ベイツ『リチャード・ジュエル』 (C) 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
ベイツは、自分が演じた実母ボビとも時間を共にした。「彼女は、リチャードが若くして亡くなった(2007年44歳で逝去)のは、あんなひどい体験をしたことが大きな原因だと思うと言っていた」とふり返る。

「彼らが体験したことは、誰にでも起こりうる。彼は物心ついてからずっと警官になりたかった。ほかの人たちの世話をしたり、人助けをしたいと思っていた。彼は自警団っぽいところが強かったために、FBIはそれを捻じ曲げて考えて、何か悪いことのように見せたの。そして彼は殺人犯のプロファイルに完全に一致すると考えられた」と、プロファイリングによる捜査を優先させたFBIはリチャードが容疑者だと断定したと指摘する。

「ボビは脚本を1ページずつめくりながら、その当時の気持ちを話してくれたの。FBIから送り込まれた15~20人ぐらいの捜査官たちが家をあさり、彼女の私的な文書や日記まで調べたときの気持ち」を聞かされたベイツ。「家宅捜索のときに彼女の下着が入った引き出しまであさったのよ」と、容疑者捜査という大義を振りかざすFBIのやり方に苦言を呈する。この場面は、悲嘆に暮れるボビが捜査員に噛みつくシーンとなって本編でも再現されている。

キャシー・ベイツ『リチャード・ジュエル』 (C) 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
また、製作のティム・ムーアはこう語る。「私たちみんなの心に響くのは、ひとりの人間の人生が完全に破壊されただけでなく、彼の母ボビが、自分の息子がアメリカでいちばん憎まれている人間として扱われるのを見なければならなかったという点だ。彼女は息子を誇りに思っていたし、実際、あのときの彼の行動は誇りに思って当然だった」。

「キャシーは“強打者”だ。この役でホームランを打った」


キャシー・ベイツ『リチャード・ジュエル』 (C) 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
一方、リチャード・ジュエルを演じたポール・ウォルター・ハウザーは、脚本を読んだ瞬間に母親ボビはキャシー・ベイツが演じるべきだと確信したという。「脚本を読んで、まず『これはキャシー・ベイツだ。キャシー・ベイツが僕の母親を演じている』と思った。実際に演じると知る前に僕はそう思った。完璧なキャスティングだ。キャシーは“強打者”だ。この役でホームランを打ったと思う。彼女が演じることでほんとうに特別なキャラクターになっている」と、イメージ通りにキャスティングされたベイツの演技を絶賛する。

そしてベイツも、ハウザーとの共演を喜んだ。「ポールを『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』(18)で観たとき、『すばらしい俳優よ。若くて、楽しくて、みんなを盛り上げるタイプ』だと思った。この作品で私は彼にすっかり惚れ込んでしまったのよ。彼は善良な人なので、その母親を演じるのは楽だったわ」とふり返っている。

誰もが“加害者”にも、“被害者”にもなり得るSNS社会に巨匠が警鐘を鳴らす


キャシー・ベイツ『リチャード・ジュエル』 (C) 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
2020年に90歳を迎える巨匠クリント・イーストウッドは、『アメリカン・スナイパー』を超える緊迫感と共に、“知られざる真相”への興味と感心を絶えず刺激し続けながら、心優しい男がなぜ全国民の敵となってしまったのかを追うサスペンスドラマとして描き出した。SNSが人々の生活に根付き、姿なき誹謗中傷が蔓延する現代社会では、誰もが“被害者”にも“加害者”にもなり得る。この他人事ではない実話を通じて、イーストウッドが時代に警鐘を鳴らす。

息子の潔白を信じる母ボビと犯人扱いされた息子リチャードに待ち受ける、FBIの徹底的な捜査と、スクープという獲物に群がるメディアリンチの罠。その顛末をスクリーンで確かめてみてほしい。

『リチャード・ジュエル』は1月17日(金)より全国にて公開。
《text:cinemacafe.net》

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