『靴ひも』監督、実は「作りたくはなかった」映画製作の経緯明かす

映画『靴ひも』の日本公開に先駆けて9月29日、本作の監督ヤコブ・ゴールドヴァッサーと中継を繋ぎ、オンライントークとQ&Aイベントが行われた。

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『靴ひも』イベント(C)Transfax Film Productions
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イスラエル・アカデミー賞8部門ノミネート、助演男優賞を受賞した、心揺さぶる大人の親子の物語『靴ひも』。日本公開に先駆けて9月29日、本作の試写会と、監督のヤコブ・ゴールドヴァッサーと中継を繋ぐオンライントークとQ&Aイベントが行われた。

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発達障がいの息子を持つゴールドヴァッサー監督が、イスラエルで報道された実在の父子の臓器移植にまつわるエピソードを基に描く本作。

『靴ひも』(C)Transfax Film Productions
イスラエルの自宅から中継で登場したゴールドヴァッサー監督は「実は、当初この作品を作りたくはなかったのです」と言い、「私たちの長男は、脳の発達に問題があるスペシャルニーズ(特別支援を必要とする)の状況だったからです。彼はいま、映画にも出てくるような施設の村に住んでいますが、私にとってあまりにも身近なテーマに躊躇していたのです」とその理由を説明。

しかし、「この映画の実話ベースのエピソード、ある父子の臓器移植を巡る問題で、障害を持つ息子がドナーになることが承認されなかったニュースに触れ、改めて考えると、私は父親として、時に奇妙な目で見られがちなスペシャルニーズの人たちのイメージを改善する、そういった責務があると感じたのです。それがこの映画を撮ることへの十分な理由となり決意しました」と映画化へ至った経緯を明かした。

『靴ひも』イベント(C)Transfax Film Productions
また、本作について「精神科という面からみても非常に興味深く、作品としてもとても完成度が高い」と感想を述べたのは、日本の発達障がいについての解説者として、この日登壇した岩波明(昭和大学医学部精神医学講座教授)。監督へ「日本とイスラエルの比較として、日本ではまだ当事者の方の施設など対応が不十分ですが、イスラエルはどのような状況なのでしょうか?」と質問すると、「息子のいる村は、世界になかなかないほどの高い水準を誇っている施設だと思います。入居者の特性を活かす形で共同生活を送っています。ですが、ここは公的ではなく民間の運営で賄われています。政府からの補助は受けていますが充分ではなく、まだまだ改善の余地があると強く感じています」と現状と課題について語る監督。

『靴ひも』イベント(C)Transfax Film Productions
そして観客との質疑応答では、映画の登場人物が発達障がいに対して理解のある人たちであることを挙げ、「イスラエルの社会は映画のように成熟しているのか?」という問いかけには、監督は「それは日本人とイスラエル人のメンタリティの違いかもせれません。イスラエル人は外交的すぎる部分もあります(笑)。ただ、この映画の中でも、カディに失礼なことをしていますよね。イスラエルでも一般の人の反応は、スペシャルニーズの方々にどう接していいのか分からないことは多々あります。でも映画やテレビドラマなどのキャラクターとして描かれることが増え、一般の人が慣れてきていることは確実にあります。イスラエルでも好奇の目で見ることは少なりつつありますが、まだまだ道のりは長い、と感じています」と答えた。

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さらに最後に監督は「この作品に、多くの溢れるばかりの愛情を注ぎこみました」と話し、「この作品は、父と息子のラブストーリーです。深刻でつらいテーマと娯楽という極端なものを同時に成立させることは難しいけれど、上手くいったのではないかと思っています」と完成に自信を見せる。また「いまはコロナ禍という、世界中が尋常ではない状況にありますが、この映画で、約1時間半の休暇を過ごすような気持ちで、楽しんで観てもらえると嬉しいです」とメッセージを寄せた。

『靴ひも』は10月17日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国にて順次公開。
《cinemacafe.net》

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