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『彼が愛したケーキ職人』東京国際映画祭で上映!観客のハートを鷲づかみ

『彼が愛したケーキ職人』が、先日10月26日(金)、第31回東京国際映画祭にてワールドフォーカス部門「イスラエル映画の現在 2018」にて上映され、プロデューサーを務めたイタイ・タミール氏が舞台挨拶に登壇、観客とQ&Aを行なった。

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『彼が愛したケーキ職人』TIFF Q&A(C) All rights reserved to Laila Films Ltd.2017
『彼が愛したケーキ職人』TIFF Q&A(C) All rights reserved to Laila Films Ltd.2017
  • 『彼が愛したケーキ職人』TIFF Q&A(C) All rights reserved to Laila Films Ltd.2017
  • 『彼が愛したケーキ職人』(C) All rights reserved to Laila Films Ltd.2017
イスラエルのアカデミー賞“オフィール賞”で作品賞を含む7部門に輝いた『彼が愛したケーキ職人』が、先日10月26日(金)、第31回東京国際映画祭にてワールドフォーカス部門「イスラエル映画の現在 2018」にて上映され、プロデューサーを務めたイタイ・タミール氏が舞台挨拶に登壇、観客とQ&Aを行なった。

>>『彼が愛したケーキ職人』あらすじ&キャストはこちらから

本作は、悲しみに暮れる男女を繊細に描いたエモーショナルな人間ドラマ。ケーキ作りを通して宗教的慣習の違いをあぶり出し、食べること、生きること、そして愛することを浮き彫りにしていく。静かな感動を呼ぶ美しいラストは、国籍や文化、宗教やセクシュアリティといった違いを超越し、単純なラブストーリーの枠には収まらない壮大な人間讃歌として、観る者の心を揺さぶる。

無名の若手イスラエル人監督オフィル・ラウル・グレイツァが手掛けた本作は、低予算映画ながらも2017年カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭でワールドプレミアされるやいなや、観客から総立ちの拍手喝采で絶賛され、エキュメニカル審査員賞を受賞する快挙を成し遂げた。2018年オフィール賞(イスラエル・アカデミー賞)作品賞ほか主要9部門にノミネートされ、7部門で受賞するなど、70以上の国際映画祭で上映されつつ数多くの映画賞を受賞、世界中で広く受け入れられている。

そんな本作の東京国際映画祭での上映には、プロデューサーのタミール氏が2人の息子とともに舞台挨拶に登場。マイクを向けられた長男のユールくんは「ハロー!」、そして次男のヤンくんは「アリガトウ」と覚えたての日本語で挨拶し、日本の観客のハートを鷲づかみにした。

■現役シェフの監督が描く、同じ1人の男を愛した男女の物語


タミール氏はイスラエル出身だが、フランス在住。残念ながら今回は不在のオグレイツァ監督もベルリンとイスラエルを行き来する生活を送っており、さらに監督は家庭用のイスラエル料理の本を出版している現役のシェフでもあり、いまも料理を教えているという。その監督との出会いについて、タミール氏は「8年前に映画祭で出会い、恥ずかしそうに私の元に来て『脚本を読んでほしい』と言ったんです。3か月ほどして電話がかかってきて、脚本を読んだかと聞かれたので、『とても面白かった』と伝えました」と明かす。

ベルリンでケーキ職人として働く男性トーマスと、エルサレムで息子と暮らす女性アナト。同じ1人の男性を愛し、そして失った男女を本作では描き出すが、監督自身、ゲイであることを公表おり、本作の着想に関しては学生時代のある出会いがきっかけになっているとも明かしている。


ケーキを創作するシーンの撮影に関しては、料理人の監督とあって細部にわたるまでリアリティを重視したという。「ものすごくこだわりを持っていましたし、オフィル(監督)自身の頭の中に全ての画があり、それを書き留めてもいました。トーマスを演じた俳優と撮影チームは2か月もベーカリーで修業をして、パンを練ったり、手の動かし方、切り方などをマスターしました」と、タミール氏から裏話も。

■プロデューサーのタミール氏「イスラエルはオープンな国」


また、本作におけるLGBTの描き方についての質問には、「イスラエルはオープンな国であり、毎月のようにパレードも行なわれていますし、自分を解放するという意味で(舞台となった)テルアビブは非常に自由な土地だと思います」と返答。「ただ、この映画では資金調達に苦労して、一度、ドイツの出資を得られそうだったのですが、LGBTの描写において(本作のように)ゲイの男性と女性のラブストーリーは、ウソっぽいのでありえないということになり、結局、ドイツからの出資は受けずに制作することになりました」と製作の裏側を明かした。

さらに本作には、ユダヤ教の教義や文化、さらにドイツとの間の歴史的な経緯に関する描写が随所に登場するが、タミール氏は「宗教に関する描写は、映画に幅を持たせるため表現であり、同性愛に対する批判のために登場させたわけではありません」と言明。

そして「アナトの義兄が『なんでドイツ人なんだ?』と言う場面が登場しますが、ドイツとの間にはホロコーストという悲しい歴史が存在するのは事実です。我々がその歴史を忘れてはいないということも事実ですが、オフィルだけでなく、たくさんのイスラエル人が現在、ドイツに住んでいます。過去の歴史にそこまで深刻に固執しているわけではないが、でも、起きたこととして頭の中には刻まれているというのが、私たちの置かれた状況でしょうか」と語り、トークを締めくくった。

『彼が愛したケーキ職人』は12月1日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開。
《シネマカフェ編集部》

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