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【釜山国際映画祭2022】コロナ前の活気を取り戻し、映画祭もマーケットも大盛況!今年の様子を振り返る

10月5日に開催された、第27回釜山国際映画祭が14日にクロージング作品の『ある男』の上映をもって閉幕された。

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The 27th Busan International Film Festival
Photo by marinda The 27th Busan International Film Festival
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10月5日に開催された、第27回釜山国際映画祭が14日にクロージング作品の『ある男』の上映をもって閉幕。

10月5日~10月7日の3日間、実際に現地を訪れた様子や、映画祭でのトピックをまとめて振り返りたいと思う。

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現地の様子

事前にオンラインでチケットが販売されていたが、サイトアクセスが非常に混み合い、特にGV(上映後のゲストトーク)がある注目作はどれも即完売となる人気ぶりだった。キャンセル分を合わせた当日券が購入できるチケットブースは常に賑わいを見せていた。(※釜山国際映画祭は1,000₩でチケットの事前キャンセルが可能。)

初日から多くの映画ファンが集まり、特に若年層の映画ファンが多く足を運んでいる印象を受けた。10月初週は気温がぐっと下がり、特に夜間の野外劇場での作品鑑賞は冷えるため、近くのデパートに防寒着を買いに走る必要があった。

現地では、配信サービス各社のポップアップが目立ち、Netflixは会期中にポップアップカフェをオープン。TVINGやwavveもポップアップを出展していた。

TVINGのイベントブース。
Netflixのポップアップカフェ

映画祭のグッズは韓国らしいスタイリッシュなデザインで人気があり、こちらも常に長蛇の列ができていた。映画祭前半で売り切れのものも多く、なかでも今年のアジア映画賞を受賞したトニー・レオンのスペシャルパッケージやオリジナルピンが人気があるようだった。

「キャストと言語の壁を超える繋がりを持つことができた」三池監督が韓国での撮影を語る、Disney₊ドラマ「コネクト」


Disney+のコンテンツブランド「スター」にて独占配信を予定し、三池崇史監督が手がける韓国ドラマ「コネクト(原題)」が本映画祭のオンスクリーン部門に選ばれ、1~3話が上映された。

本作は同名のWeb漫画を原作としており、自分の人生を取り戻すことを決意した男と、連続殺人犯の戦いを描くクライムファンタジースリラーだ。

監督とキャストが作品について語る様子を、野外会場で無料で鑑賞できる「Open Talk」には三池監督、チョン・ヘイン、コ・ギョンピョ、キム・ヘジュンの4名が登場。

三池監督は、「今世界中をみても、韓国のキャスト・スタッフはとても優秀。監督からするとすごく魅力的な世界なので、そこに自分ひとりで飛び込んで、助監督も韓国のスタッフという環境でやれたことが非常に良かったし、それがうまくいったという証でこの映画祭に呼んでいただけたと考えています。」と、日本から一人で本作の制作に参加したことを明かした。

MCから、「日本の監督と韓国のキャスト・制作陣ということで、意思疎通はどのようにされていたのか?」という質問を受けた三池監督は「もちろん優秀な通訳の方についてもらっているというのはあるんですが、監督と役者という関係は他の世界ではちょっと説明しようがない。やっぱり“台本中心になにをやろうとしているか”が、心の中で分かり合える、言葉を超える繋がりがお互いの心の中で通じ合えば、非常にスムーズにいって、日本でやっているよりも非常にストレスなくやれました。それはキャストの皆さん含めスタッフの皆さんの感性の高さだと思います。」と振り返った。

また、「自分が不安を持っているだろうというのをチョン・ヘインさんらが察してくれて、最初にリモートで打ち合わせをしたときに『どういうことがあっても自分は監督の味方なので、最後まで一緒に頑張っていきましょう』という風に勇気づけてもらって、それは大きかったですね。」と語り、会場から拍手が起こった。

三池監督の発言を受け、チョン・ヘインは、「監督と最初にリモートで通話をしました。その時のことは今でも鮮明に覚えているんですが、監督が画面越しに恥ずかしそうにされていたので、もしかすると俳優やスタッフがみな韓国人なので、現場でもどかしい思いをするかもしれないと思い、そのように声をかけた記憶があります。その時のことをいまこうやってお話してくださったので、ありがたく、ちょっと恥ずかしいですね」と照れた様子で話した。

10月7日の上映後のゲストトークには三池監督、チョン・ヘイン、キム・ヘジュンの3名が登場。作中でキーポイントとなる楽曲はチョン・ヘイン本人が歌っている、と話し、ファンからの要望に応える形で曲の前半部分を照れながら披露した。

観客からキャスティングについて質問を受けた監督は、「(チョン・ヘイン演じる)ドンスという役は、お芝居をする上で、彼の孤独感を本能的に理解することができる人、生きることとか演じることについていつも深く考えている人、決して彼は自分が孤独であることをセリフで言うわけではないが、観ている人がそれを感じられるような演技ができる人が必要だと思いました。それができるのが、彼しかいないんじゃないかなと思いました。」と話し、チョン・ヘインは日本語で「ありがとうございます」と答え、劇場内から拍手が起こった。

また、イ・イラン役を演じたキム・ヘジュンについては、「3話までだと謎が多い女性だが、一番ある意味では、変化していく役。表面だけの演技ではなく、お芝居以上に、しっかり自分を持っている人、自分なりに思ったことをストレートに表現できる人。そういう人でないと全部が嘘になってしまうと思いました。なんどかいろいろ話して彼女ならいけると思いました。」と話した。

「コネクト(原題)」はDisney₊で12月に独占配信予定。

アニメ制作の現場から、日本ベースの映画監督に。アンシュル・チョウハン監督が手がける『December』のワールドプレミアが開催

10月7日に、日本から唯一ジソク部門に選出されたアンシュル・チョウハン監督が手がける『December(英題)』がワールドプレミア上映された。本作は、17歳で同級生を殺害し、服役中の少女と事件後離婚した被害者の両親が、事件から7年後に少女の減刑を求める再審を期に再会するところから始まる。日本の少年司法制度をテーマに、被害者の両親が罪を犯した少女への処罰と、減刑にともなう救済のはざまでそれぞれの立場で複雑に感情が揺れ動く物語だ。

映画祭最初の上映回に、アンシュル・チョウハン監督、尚玄、松浦りょう、川口高志が参加し、上映後には参加者からの質疑応答を加えたトークショーが開かれた。本上映回で、「完成した作品を初めて鑑賞した」というゲスト一同。同級生を殺害し、服役中の少女・福田夏奈役を演じた松浦りょうは「本当にすごく撮影中は辛くて、これがどういう形で映画になるのかなとすごく不安でもあったんですけど、今日(作品を)観て、すべて報われたというか、本当にこんな素敵な作品になったということが嬉しいという気持ちが一番です。福田夏奈という役はたくさんの感情を抱えている子で、痛みだったり悲しみだったり怒りだったり、でもその中に本当はすごく温かい気持ちを持っている子だと思って演じました。」と初めての釜山国際映画祭に緊張した様子で話した。

本作で被害者の父・カツを演じた尚玄は、昨年主演を演じた『義足のボクサー』がキム・ジソク賞を受賞し、一年ぶりの釜山国際映画祭となった。「作品を見終えたばかりで、撮影時の感情がフラッシュバックし、胸が痛む」と、言葉を詰まらせながら、「子を持つ親を演じるのは初めてで、自分にとって挑戦的でしたが貴重な経験となりました。去年映画祭に来た時にはボクサーの役だったので、できるだけ体重を落としていたのですが、今回はアンシュル監督からいつもお酒を飲んでいる役なので太ってほしいと言われ、できるだけ体重を増やしました。」と本作の役作りについて語った。

インドで3Dアニメーターとして働いた後、日本のCG制作会社での勤務を経て、「自分で映画を撮ってみたい」と感じたことから日本で映画監督のキャリアをスタートさせたアンシュル・チョウハン監督。監督は本作の3人の主要キャラクターを「3人ともある意味で牢屋に閉じ込められている」と語り、それぞれの視点を丁寧に描くためにリサーチを重ねたと話した。

『December(英題)』は来年日本で公開される予定だ。

パク・ヘイルが共演者のタン・ウェイの印象を語る『Decision to Leave』ゲストトーク


第75回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、これまでの国際映画祭でも批評家からの評価が高いパク・チャヌク監督最新作『Decision to Leave(英題)』の初回上映には、主演で刑事を演じたパク・ヘイルが上映後のゲストトークに登場した。

本作は、ある殺人事件を追う刑事(パク・ヘイル)と、その事件の被害者の妻で第一容疑者でもある若く美しい女性(タン・ウェイ)が対峙しながらも惹かれあっていくサスペンスで、本年度のアカデミー賞にも韓国代表として選ばれた作品だ。

「自分の役者としての個性が、パク・チャヌク監督の作品にハマるかが最初は不安でした。(この役が決まったとき、)まさか、パク・チャヌク監督から直接電話していただけると思っていなかったので、監督から連絡があったとき、第一声は『私、何か悪いことでもしてしまいましたか?』でした(笑)」と役が決まるまでのプロセスを振り返った。

また、出演が決定してからは、「まだ脚本が未完成のタイミングで、カフェで一時間くらい今回の作品について監督から話を聞きました。監督が本作で描く刑事のキャラクターがとてもユニークでチャーミングだと感じ、また、その時、タン・ウェイさんがすでにキャスティングされていると聞きました。そういった話をした後にキャラクターや役の解釈について、細かい部分を組み立てていきました。その後、『タン・ウェイに会いに行きましょう』と監督から提案があり、タン・ウェイさんが住んでいるところへ車で訪ねました。」と出演が決定してからのプロセスを話した。

「私が彼女を初めて見たとき、彼女は農場で働いていたのでまるで農家のようでした。最初の出会いが彼女が畑仕事をしている姿だったので、後から大きく印象が変わり、謙虚で素敵な方だと感じました。また、彼女は適応能力がとても高く、キャパシティーが広いと思います。最初に台本の読み合わせをしたときは言語の壁が不安だったのですが、視線を交わすだけでいい感じにうまくいきました。」と、タン・ウェイの印象を語った。

また、「タン・ウェイさんが出演しているキム・テヨン監督の最新作が年末か来年の年始に公開されますよ」と、タン・ウェイの出演作を宣伝し、会場を笑わせた。

トークショーでは観客から質問が上がったラストシーンの撮影の裏側なども話があり、上映後、熱の冷めない観客にとって内容の濃いトークが繰り広げられた。

日本ではハピネットファントム・スタジオ配給で2023年の公開を予定している。

アジアのコンテンツを称える、アジアコンテンツアワードが開催。日本からも2名受賞!


10月8日には、第4回アジアコンテンツアワードが開催された。本アワードは映画祭と同時開催のアジアンフィルムマーケット内に2019年に新設され、アジア地域の独創的で優れたテレビ、OTT、オンラインコンテンツや俳優に贈られる賞となっている。日本からは鈴木亮平が主演男優賞(「TOKYO MER~走る緊急救命室~」)と横浜流星がニューカマー賞(Netflixシリーズ「新聞記者」)を受賞した。

現地に参加していた鈴木亮平は、韓国語で挨拶と自己紹介をして会場を和ませたのち、英語で受賞の喜びと、新型コロナ感染症と闘う医療従事者への尊敬の言葉をスピーチし、会場から大きな拍手が起こった。

そのほかでは、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」が作品賞、本作の主演のパク・ウンビンが主演女優賞を受賞した。

マーケットでは東映アニメーションがCG ENMとの協業の進捗状況を発表。


映画祭と同時に、開催されたアジアコンテンツ&フィルムマーケット(ACFM:Asian Contents & Film Market)は、2006年の初開催以来、過去最大の参加者数となるほど、盛況だったようだ。ACFMでは今年から、「Busan Story Market」が誕生し、映像コンテンツの「原作」となる小説・漫画やWebtoon、脚本などが出品され、映像ビジネスの商談が活発に行われた。

Busan Story Marketの様子。

また、マーケット内で、東映アニメーションとCJ ENMが主催したカンファレンス、『Cooperation between Korea and Japan IP Business:It‘s harvest time!』(訳:日韓の国境とジャンルを乗り越える協業:いまや収穫のとき!)では、二社の戦略的業務提携協定の進捗状況と作品ラインナップが発表された。

CJ ENMの李センター長は 「アジア最強のコンテンツ会社ともいえる両社が出会って、単純にお互いのIP開発やライセンス事業を行うという一次元的な協業ではなく『グローバル市場攻略』が今回の協業の目標である」と話し、 東映アニメーションの執行役員、鷲尾天エグゼクティブプロデューサーは「韓国のコンテンツはストーリー展開の“サプライズ”、日本のコンテンツは主人公の“成長”が大きな特徴だと思っています。このような特徴を持つ両国のIPが融合することで新しい作品が生み出され、世界を驚かせることが出来ると思っています。」と、今後の展望を話した。

閉幕式にて受賞結果が発表。クロージング作品の『ある男』に5,000名の観客が集まる。


映画祭のメイン会場である映画の殿堂にて⾏われたクロージングセレモニーでは、今年の受賞結果が発表された。本映画祭のメインコンペティション部門である「New Currents(ニュー・カレンツ)」部門では最高賞のニュー・カレンツアワードをイ・ジョンホン監督の『a Wild Roomer(英題)』(韓国)、Jaishankar ARYAR監督の『Shivamma(英題)』(インド)が受賞した。また、監督作が3本以上あるアジアの映画監督たちの作品によるコンペティション部門、「ジソク」ではキム・ジソク賞をオープニング作品にも選ばれた、Hadi MOHAGHEGH監督の『Scent of Wind(英題)』(イラン)、そしてYalkin TUYCHIEV監督の『Alteration』(ウズベキスタン)が受賞した。

また、日本からは、『千夜、一夜』が国際映画批評家連盟賞を受賞した。

クロージング作品として、今年は日本から『ある男』が上映。10⽇間に及ぶ映画祭の締めくくりに約5,000名の観客が集まり、妻夫⽊聡、安藤サクラ、窪⽥正孝、⽯川慶監督の4名が上映前に舞台に登壇した。

各キャストのコメントの最後に、⽯川慶監督が「本作は⽇本社会が抱える問題を描いていますが、同時に世界にも共通するテーマだと思うので、映画を楽しんでいただきたい」と観客に向けて語り、会場からは大きな拍手が沸き起こった。

Sources:Varietycinemacafe.netハピネットファントム・スタジオcinemacafe.netTBSACFMPRTimes『ある男』
《marinda》

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