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「もう十分だ」『SHE SAID/シー・セッド』監督が貫いた信念の演出とは?

『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』では、マリア・シュラーダー監督の信念のもと直接的な性暴行の描写を排除した。

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『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』マリア・シュラーダー監督 © Universal Studios. All Rights Reserved.
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  • 『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』© Universal Studios. All Rights Reserved.
  • 『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』ポスター© Universal Studios. All Rights Reserved.

映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの数十年に及ぶ性的暴行を告発した女性ジャーナリストたちの物語を描くSHE SAID/シー・セッド その名を暴け』。本作では、マリア・シュラーダー監督の信念のもと、直接的な性暴行場面を意識して排除していたことが分かった。


>>『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』あらすじ&キャストはこちらから

性的暴行事件の真実を、様々な困難を打ち破りながら懸命な取材と調査で追い求めたニューヨーク・タイムズ紙の記者や編集者の道のり、そして恐怖やトラウマを乗り越え、覚悟を決めて名乗り出たサバイバー(被害にあった女性たち)と目撃者の勇敢な姿に光を当てる本作。

メガホンをとった監督のマリア・シュラーダーは、ドイツで生まれ1980年代より女優として活動。脚本家、演出家としても活躍し、監督・脚本・製作総指揮も務めた『アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド』が第94回アカデミー賞国際長編映画賞にドイツ代表として選出された。2020年には、保守的なコミュニティ(ユダヤ教超正統派)から脱出した女性を描いたNetflixシリーズ「アンオーソドックス」がエミー賞8部門にノミネートされ、リミテッドシリーズ部門監督賞を受賞するなど、様々な分野で才能を開花させる業界でも注目の存在だ。

そんな彼女は本作の監督オファーを受けた際の心境について、「この記事が報道されたことは周知の事実だけど、誰がどうやって報道したのかは知られていなかった。ミーガン・トゥーイーとジョディ・カンターとは誰なのか。調査の始まりや、二人が直面した問題、報道にこぎつけるための最後の一押しには、何が必要だったのか疑問が湧いた」と語る。

監督とキャリー・マリガン、ゾーイ・カザン

続けて今回初めてタッグを組むことになったレベッカ・レンキェヴィチの脚本については「スリラー作品のように息を呑んで読んだ」と話し、「結末は知っていても、読むのを止められなかった。調査の紆余曲折だけでなく、互いをよく知らない二人の女性が協力し、非常に個人的なことを扱っていくという、より大きな何かを描いていた。全ての描写に心を奪われ感動し、夢中になった」とコメント。

先日、アカデミー賞の前哨戦の1つにも数えられるサテライト賞ほか、全米各地の映画賞で脚色賞にノミネーションされたレンキェヴィチの手腕を手放しで絶賛した。

シュラーダー監督が本作を映画化するうえで特にこだわったのは、「私はこの世界にこれ以上のレイプシーンを増やすことに興味はなかった。もう十分だ」と語るように、“劇中では暴行場面を見せることなくすべてサバイバー自身の言葉で語るということだった。

また、加害者であるハーヴェイ・ワインスタインの登場シーンにおいても、電話越しの音声や背後からのみなど限定的なかたちで描くことを徹底しており、観客が彼を演じる俳優の顔を見ることがないというのも、本作ならではの演出

「ワインスタインはほとんど画面に映らないけれど、彼の存在は確かに感じられ、彼の行動がこの映画の大部分を動かしている。ジョディとミーガンが調査をしていたときも恐らく同じように感じたのだろうと推測できる。彼女たちもワインスタインとはあまり接触していなかった」と語り、実際の調査と同様に記者たちやサバイバーの人生に寄り添って描くことにこだわった。

また、シュラーダー監督と製作陣の徹底したこだわりは映像の中だけではなく、この作品に関わるスタッフにも力強い思いを求め、もっとも相応しいチームを作り上げるために、各制作部門のリーダーを集める際、過半数が女性となるように制作チームをまとめたという。

「この物語は、女性が立ち上がり、声を上げ、自分の力を主張するというものなので、この作品を映画化するにあたり、女性が主導権を握るのは正しいことだと思った」と語るシュラーダー監督。製作陣の強い信念と熱い思いが込められ、緻密かつ懸命に描かれた本作の演出は要注目。

そして、「とはいえ、女性主導のチームがごく普通になる日が来ることを切望している」とつけ加えるシュラーダー監督。時代を動かした大きな告発を描き、女性たちが勇気と信念を持ってその価値を証明する、映画業界のたしかな未来へとつなが1作となっている。

『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』は2023年1月13日(金)より全国にて公開。


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《シネマカフェ編集部》

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