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役所広司、原発やエネルギーを巡る議論は「国民が結論を出していかないといけない問題」

2011年の福島第一原発の事故を描いたNetflixのドラマ「THE DAYS」主演の役所広司と増本淳プロデューサーが7月5日(水)、日本外国人特派員協会にて行われた記者会見に出席した。

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役所広司/Netflix「THE DAYS」日本外国人特派員協会記者会見
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  • 役所広司、増本淳/Netflix「THE DAYS」日本外国人特派員協会記者会見
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2011年の東日本大震災の際に起きた福島第一原子力発電所の事故を複数の視点から克明に描き、Netflixにて全世界独占配信中のドラマ「THE DAYS」。本作に主演する役所広司と企画・プロデュース・脚本を担当した増本淳が7月5日(水)、東京・丸の内にある日本外国人特派員協会にて行われた記者会見に出席した。

役所さんが演じたのは、事故当時の福島第一原子力発電所の所長であり、現場の責任者として事故の対応に当たった吉田所長。これまでも歴史上の人物や実在した人物をモデルにした役柄を数多く演じてきた役所さんだが「(事故から)まだ時間も短く、観客にとっても生々しい記憶がある中で、事故のことを演じるということで、エンタテインメントし過ぎない、ドラマとして演じ過ぎないということは、撮影現場でもみんなが心がけていて、おそらく、あそこで行動していた人たちは、こういう気持ちで行動し、苦しんだんじゃないか――? と『演じる』というより、ドキュメンタリーに近い表現方法を見つけて作っていった気がします」とふり返る。

本作への参加について、役所さんは「(福島の原発事故を)エンタテインメントとしてドラマ化して大丈夫だろうか? という不安があった」と率直な思いを吐露しつつ「増本さんの『あの時、あの場所で何が起こっていたのかを僕たちは伝えていかなくちゃいけないんじゃないか?』というこの企画への思いがあって、あと何年かかるかわからないけど、福島の復旧に向けての過程をライフワークとして描いていきたいという思いも強かったので、これは参加したいと思いました」と増本プロデューサーの強い思いに揺り動かされたと明かす。

役所広司、増本淳/Netflix「THE DAYS」日本外国人特派員協会記者会見

増本プロデューサーは本作について「(事故から)12年が経って、この事故のことを忘れかけている人々、そもそも当時、幼過ぎて事故自体を知らなかったり、はっきりした記憶にないという若者が増えています。忘れかけている人に思い出してほしいし、知らない人には知ってもらいたい。そういう人が増えることで、震災で傷ついた人々が回復する手助けをするきっかけになれば、この作品を作った意味があるかなと思います」と語る。

ジャーナリストの門田隆将による「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発 (角川文庫)を原作にした本作だが、同書を原作にした作品は映画『Fukushima50』が既に公開されている。この点について増本プロデューサーは、あくまでも今回のドラマ化の企画は映画とほぼ同時期に始まったものであり、連続ドラマとして描くので撮影に時間を要し、さらにコロナ禍での撮影延期もあり、公開の時期が遅れたと説明した上で「同じ題材ですが視点はかなり違っていて、映画はタイトルにもあるように原発に残った69名の運転員、作業員の方々の奮闘、英雄的行動を描いたものですが、我々は『THE DAYS』と銘打っているように、あの日々の事実を描きたいという思いがありました。残った人だけを描いてるのではなく、官邸や(東電)本店、ニュースを見ていた人々など、いろんな人の視点であの事故をどう捉えるか? 思想を排除して多角的に描けたらというのがあり、そこが映画との違いだと思います」と語る。

いまなお、原子力発電所の再稼働を巡り、議論が続いているが、記者からは2人に原発に対する考えを問う質問も飛んだ。増本プロデューサーは「難しい問題なので、ひと言では答えられませんが、原発が必要か必要でないか?  原発を使うべきか否かという議論の前に、みなさんにまず関心を持ってもらえないかと思い、この『THE DAYS』を作りました」と語り、政府が現在、原発の再稼働や新設、そして寿命の延長を積極的に進めようとしている現状に触れつつ「より大きな問題は、世の中がそれらの事実をほとんど知らないこと。議論をより活発にしていただければと思っています」と呼びかける。

役所さんも「世界中が混乱している中で、エネルギーの問題については、みんなが考えなくてはいけない。国内でも原子力発電所については、国民が結論を出していかないといけない問題だと思います。このドラマを見て、エネルギーについて考える人が増えるといいなと思います」と本作を通じて原発、そしてエネルギー問題に関する議論が高まることへの期待を口にした。

Netflixという配信プラットフォームでのドラマ化について、役所さんは「地上波ドラマでは『THE DAYS』の企画は内容的に100%通らないと思います。この内容を伝えるには配信が一番自由度が高く、自分たちが思ったものを表現できると思います。地上波ではできない物語を配信サービスができたことで、表現の場は広がったと思っています」と語った。

「THE DAYS」はNetflixにて配信中。

《シネマカフェ編集部》

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