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【レビュー】俳優チョン・ウソンの渾身作「愛していると言ってくれ」韓国ドラマだからこそ描けるもの

チョン・ウソンにとって念願の作品となる韓国リメイクドラマ「愛していると言ってくれ」が、ついにディズニープラスで配信開始。主人公2人の出会いの場所となった済州島の海のように、ドラマは穏やかに幕を開けた。

韓流・華流 コラム
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「愛していると言ってくれ」© 2023 KT Studio Genie Co., Ltd原作 日本のテレビドラマ「愛していると言ってくれ」(脚本 北川悦吏子・製作 TBS)
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『パラサイト 半地下の家族』にその座を譲り渡すまで、日本で公開された韓国映画の歴代興収NO.1に15年近くも君臨していた『私の頭の中の消しゴム』(2005年日本公開)。俳優チョン・ウソンといえば、この『私の頭の中の消しゴム』の心優しいが無作法で誤解されやすいチョルスがいまでも脳裏に浮かぶ方は多いだろう。2000年代韓流ドラマの代表格が“冬ソナ”なら、同作は韓国ラブロマンス映画の代名詞。そもそも日本ドラマ「Pure Soul~君が僕を忘れても~」のリメイクでもあった。

そしていま、チョン・ウソンにとって念願の作品となる韓国リメイクしたドラマ「愛していると言ってくれ」がディズニープラスで配信開始。主人公2人の出会いの場所となった済州島の海のように、ドラマは穏やかに幕を開けた。


伝説的ドラマを念願の韓国リメイク


原作は1995年に豊川悦司×常盤貴子、脚本・北川悦吏子で平均視聴率21.3%、最高視聴率28.1%を記録した大ヒットドラマ。タイトルを目にするだけで自然と口ずさみたくなる「ドリカム」の主題歌「LOVE LOVE LOVE」も約250万枚を売り上げた。2020年、コロナ禍で新作のドラマ制作がストップしていた際には、約25年ぶりに地上波放送されたことも話題となっていた。

視聴率20%超えのドラマも、CDのWミリオンセラーも現在の日本では幻のように聞こえるが、ある年代以上の者にとってはそれぞれに思い入れがある(に違いない)、誰もが知る伝説的ドラマ。そのリメイクに挑んだチョン・ウソンは、13年前に版権を手にしたものの「制作されることになるまで、長い時間と様々な経緯を経た」と自身でふり返るほど紆余曲折があった様子。盟友イ・ジョンジェが監督デビュー作『ハント』に賭けたものと同じ思いが、今作にはありそうだ。

チョン・ウソンが演じる主人公は、手で話をする画家のチャ・ジヌ。あるとき済州島で、撮影現場をたった1日で解雇されたエキストラ俳優のチョン・モウンと出会う。浜辺で拾ったスカーフの持ち主であり、思わずカメラのシャッターを切った風景の中に佇んでいた女性だ。その翌日、古い自動販売機の前で清涼飲料をきっかけに2人が再び出会う場面は、『私の頭の中の消しゴム』のチョルスとスジンの最初の出会いのようでもあった。

済州島では運命的な偶然が続き、何度か顔を合わせるうちにモウンはジヌがろう者であることに気づく。そんななか、レストランで火事が起き、モウンが喧騒に気づいていないジヌに“声をかけて”一緒に逃げたことから2人の関わりが始まっていく。「久しぶりにとっても騒がしい感じ」と、モウンと過ごす時間を言い表すジヌ。やがて、大都会ソウルで再会した2人は少しずつ距離を縮めていくことになる。

スケッチブックでの筆談に、お腹の音が鳴っても気づかないジヌ、大通りの横断歩道、雨の中の捨てられた子猫など、原作ドラマのエピソードやエッセンスは巧く生かされていながら、当時は必需品だったFAXに代わって、日本ドラマ「silent」にも登場した音声認識アプリが活躍。舞台装置のひとつとして重要な役割を担った井の頭線の代わりに、ソウルでの2人は路線バスに揺られる。


ディズニープラス「愛していると言ってくれ」を視聴

眼差しや表情による“会話”を描く大人のラブストーリー


筆談の中でジヌに「俳優」と呼ばれたことに、モウンは戸惑っていた。誰かの代役や、簡単にカットされてしまう端役やエキストラばかりのモウンにとって初めて「俳優」と呼ばれたことは感激だが、かえって自分の至らなさがつらくなるのだ。

彼女は8年間務めた客室乗務員の仕事を辞め、33歳にして俳優になることを目指している。両親には本当のことを言えず、オーディションではモラハラ、セクハラも受ける。俳優という夢を追いながらも、まるで“乱気流”の中にいるような感じだ。

「賢い医師生活」の外科レジデント、チャン・ギョウル役で人気となり、「財閥家の末息子~Reborn Rich~」では検事役を演じていたシン・ヒョンビンが演じるモウンは、新人劇団員だった日本版の紘子のような初々しさや慌ただしさはなく、庇護を受けるようなヒロインとは明らかに違う。

これまで自立して頑張ってきたものの、夢のためにはただ“頑張る”だけでは得られないものがあると気づくことになる、岐路に立つ女性である。演じるシン・ヒョンビンにも落ち着きがあり、大仰でなくても感情が伝わる彼女の等身大の魅力が発揮されている。

また、チョン・ウソンが演じるジヌについては、今作では子ども時代の火事にまつわる、特に母親との間にあるトラウマや、聴力をなくした直後の喪失感についても見過ごさずに向き合おうとする意図を感じる。

耳の聞こえないジヌは目で“他者の声を読む”が、理由も分からぬまま向けられる他者の感情(敵意)によって積み重なる心の傷についても触れられている。ジヌの大家のおばあさんは、彼の真似をする孫に「手話なんてばかなことはやめて」と言い放ち、誤解によって起きたあるトラブルにおいても、警察では人権に配慮しているといいながら「筆談ができる」ことは無視されるなど、無自覚で無理解な世界を浮き彫りにもする。

だが、そんなジヌの世界にふとやってきて、懸命に覚えた手話で感情を込めた挨拶を伝えたのがモウンだった。人とのコミュニケーションに対して諦念のようなものがあったジヌが、モウンとの対話によって固い表情が緩み、空虚だった眼差しにぬくもりが宿っていく。静謐な海や夜の雨に包まれたときような優しさや安らぎを得たジヌの感情が、チョン・ウソンによる“声”で語られていくのは原作ドラマにもあった魅力の1つだ。

韓国ドラマ「愛していると言ってくれ」は、こうした2人の大人による物語である。「その年、私たちは」のキム・ユンジン監督は「アンナラスマナラ―魔法の旋律―」「雲が描いた月明かり」の脚本家キム・ミンジョンの詩的な台詞を生かして情緒的な映像世界をつくり出し、ときには手話だけでない、眼差しや表情による“会話”を描いていく。

チョン・ウソンの恋愛ドラマ出演はハン・ジミンやキム・ボムと共演した「パダムパダム ~彼と彼女の心拍音~」(11)以来、およそ12年ぶり。今年、初監督作品『保護者』(原題)が本国で公開され、1979年の軍事クーデターを描いたファン・ジョンミン共演『ソウルの春』(原題)が現在順調に動員を重ねており、キャリア的には充実期。『アシュラ』『ザ・キング』『藁にもすがる獣たち』といったノワール作品への出演が印象深かっただけに、これから恋に落ちていく姿を目にできるのは久々だ。

さらに、ジヌとモウンの恋に影響を与えていく重要人物である、モウンの“幼なじみ”ユン・ヨハン(「生まれ変わってもよろしく」イ・ジェギュン)、アートセンターのディレクターでジヌの“元恋人”ソン・ソギョン(「39歳」キム・ジヒョン)らの存在もある。

大人たちのラブストーリーを通じて感情を“伝える”ことの本質的な難しさや葛藤を問う今作では、韓国ドラマの醍醐味といえるキャラクター造形の作り込みや心理描写の深みにも期待している。


ディズニープラス「愛していると言ってくれ」を視聴

「愛していると言ってくれ」は毎週月・火曜に1話ずつディズニープラス スターにて配信中(全16話)。

© 2023 KT Studio Genie Co., Ltd原作 日本のテレビドラマ「愛していると言ってくれ」(脚本 北川悦吏子・製作 TBS)

〈提供:ウォルト・ディズニー・ジャパン〉

《上原礼子》

「好き」が増え続けるライター 上原礼子

出版社、編集プロダクションにて情報誌・女性誌ほか、看護専門誌の映画欄を長年担当。海外ドラマ・韓国ドラマ・K-POPなどにもハマり、ご縁あって「好き」を書くことに。ポン・ジュノ監督の言葉どおり「字幕の1インチ」を超えていくことが楽しい。保護猫の執事。LGBTQ+ Ally。レイア姫は永遠の心のヒーロー。

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