『トイ・ストーリー』『リメンバー・ミー』など、観る者の心に寄り添う物語を描き続けてきたピクサー・アニメーション・スタジオが新たに放つのは、自分の居場所を見出せない少年エリオの物語。
8月1日（金）に公開を迎えるディズニー＆ピクサー最新作『星つなぎのエリオ』では最愛の両親を失い、自分を大切に想う叔母の愛を信じられず、孤独と寂しさを抱えるエリオが広大な宇宙へと旅立つ。そのめくるめく冒険の先に待つ答えは、“孤独”を感じたことがある全人類に刺さるもの。エリオはもちろん、幼い甥との関係に悩む叔母オルガの事情にも目を向けながら、ピクサー史上最も優しくて温かいメッセージに迫っていく。
夢と現実のバランスに悩む、オルガに思わず共感
物語の中心にいるのは、幼くして両親を亡くした少年エリオと、親代わりとしてエリオを育てることになった叔母のオルガ。ある日突然、大切な人たちを失った悲しみを共有することになった2人ではあるものの、その共同生活は決して順調とは言えない。それもそのはず、オルガの立場からすれば、急に親の役割を託された状況に戸惑いが生じるのは当然。
オルガはもともと米軍基地に勤めていて、エリオの親代わりとなるまでの彼女は宇宙飛行士を目指していた。だが、今のオルガはエリオを育てるのに必死で、夢との距離が離れてしまっている状態。しかも、やることなすこと裏目に出て、エリオとの心の距離も離れてしまっている。血の繋がったエリオを心から愛し、彼の幸せだけを願っているのに。
そんなオルガの葛藤のドラマは子供を持つ親だけでなく、自身の夢と目の前にある現実のバランスに悩む人たちの共感を呼び、ちょっとした心のヒントをくれるものになっている。
孤独なエリオとエイリアンの少年、2人の友情の物語に涙！
オルガが葛藤を抱える一方、エリオにはエリオの思いがある。最愛の両親を失った今のエリオにあるのは、誰にも埋めることのできない絶対的な孤独。仕事で帰りが遅くなるオルガの事情も、全寮制の学校のキャンプに送り出そうとするオルガの配慮も、幼いエリオにとっては孤独を加速させるものでしかない。そんなエリオが“ここではないどこか”を望み、広い宇宙に向かって「僕を迎えにきて」と叫ぶのは自然な流れ。
宇宙からの出迎えに喜び、新しい仲間たちとの出会いに心ときめかせるエリオの気持ちが痛いほど伝わってくる。そんな中、やがて心を通わせ合うようになる相手の存在もポイント。ひょんなことから行動を共にするグロードンはモチモチ＆プニプニの見た目が愛らしいエイリアンの少年で、心優しきグロードンもまた悩みを抱えている。
グロードンにとって優しさは気弱さでしかなく、強くて逞しい父の期待に応えられない状況に負い目を感じているのだ。だからこそ、それぞれ悩みと孤独を抱える2人が心と心で結ばれるのに時間はかからない。出会うべくして出会ったエリオとグロードンの友情が涙を誘ってくる。
スペクタクル感あふれる展開に、ドキドキわくわく！あっというまの1時間半
見れば見るほど可愛らしく見えてくるモチモチ＆プニプニのグロードン以外にも、エリオが出会うエイリアンたちは全員個性派ばかりだ。
豊富な知識でエリオをサポートする液状コンピューターのウゥゥゥゥは、超絶キュートな見た目なのにちょっぴり毒っ気あり。宇宙の平和を愛するリーダーのオーヴァから、心を読む能力で複雑な問題を解決するクエスタ、見た目も考え方もクールなテグメンまで、愛さずにはいられないエイリアンたちが登場する。
そんな彼らが各々の所属する星を代表して集まり、それぞれの知識や技術を持ち寄って共有する場、“コミュニバース”はキラキラがいっぱいのカラフルな空間で、エリオでなくとも行ってみたくなるほど魅力的。
また、後半には広大な宇宙空間を生かした迫力たっぷりのアクションシーンもあり、そのスペクタクル感溢れる展開に大人もワクワクドキドキさせられるはずだ。
“間違いない一作”「我々は孤独なのか？」大人にこそ刺さる真摯な問いかけ
オルガの葛藤、エリオの喪失感、グロードンの劣等感。それぞれの物語が絡み合っていく中で見えてくるのは、「我々は孤独なのか？」という真摯な問いかけだ。
どんなに賑やかな日々を送っていても、どれだけ大勢の人に囲まれていても、この世に自分を理解してくれる人は誰もいないのではないか？ 自分の居場所はどこにもないのではないか？ もしかしたら、自分は存在していないのではないか？ ふと、そんな考えが頭をよぎることはある。だからと言って、よぎった考えを簡単に拭い去る道はない。
そのままならなさを胸に、文字通り“ここではないどこか”へと向かったエリオの冒険がたどり着く場所、そこで見つけた答えにこそ、人生の真理が詰まっている。自分が自分でいられる場所はどこなのか？ そこにいるのは誰なのか？ シビアな現実を真っ向から見つめつつ、何よりも温かい作品世界を作り上げたのは、ピクサーの今を担う精鋭たち。初監督作『私ときどきレッサーパンダ』でも家族や絆の物語を描いたドミー・シーらが、仲間、友達、家族へと続く道を優しく指し示し、人生を歩んできた大人にこそ刺さるメッセージへと導いてくれる。
『星つなぎのエリオ』公式サイト
