今や飛ぶ鳥を落とす勢いの人気の韓流スターたち。ただ、そんな彼らにも「運命の一作」があったはず。特に韓国ドラマ界において時代劇は、若手俳優の「登竜門」であり、同時に「真価が問われる場所」とも言われています。彼らがトップの座を不動のものにした、あるいは俳優としての評価を確立した伝説的な時代劇をプレイバック。現在の洗練された姿とは異なる、情熱に満ちた「あの頃」の熱演を振り返ります。
歌手、俳優、そしてバラエティ番組のMCとしても圧倒的な支持を得ているイ・スンギさん。
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最近では、2024年にデビュー20周年を記念したアルバムをリリースするなど、アーティストとしての歩みを止めることなく、俳優としても人間味溢れる演技で常に視聴者の心に寄り添い続けています。
そんな「国民の弟」として老若男女から愛される彼が、初めて時代劇というジャンルに挑み、その実力を世に知らしめた作品が『九家の書~千年に一度の恋~』でした。
当時、絶大な人気を誇ったmiss A(現・俳優)のスジさんとの共演でも大きな話題を呼んだ本作。イ・スンギさんが演じたのは、霊峰の守護神獣と人間の間に生まれたチェ・ガンチという青年です。普段は正義感あふれる真っ直ぐな好青年ですが、ひとたび腕輪を外すと恐ろしい神獣へと変貌してしまうという、非常に難しい役どころに挑みました。

イ・スンギさんは、本作でこの「神獣」の姿を表現することに最も苦心したと語っていました。アイラインやカラーコンタクト、付け爪といった特殊メイクには、毎回3時間もの時間を要したそうです。
また、「時間」と言えば、スジさんとのキスシーンも大きな反響を呼びました。本作最大の名場面として語り継がれていますが、その時間はなんと1分40秒以上。当時の時代劇としては異例の長さであり、視聴者の胸を熱くさせました。
こうした華やかな話題が先行しがちな作品ですが、その裏ではイ・スンギさんの俳優としてのストイックな姿勢が光っていました。
例えば、撮影期間中、彼は大好物のお酒を一切断っていたといいます。「半人半獣」という神秘的なビジュアルを維持し、役のリアリティを追求するための彼なりの決意でした。
さらに、過酷な撮影現場でのエピソードも明かしています。寒い時期のロケやハードなスケジュールが重なり、「当時は本当に何度も病院に通いました」と振り返るほど、体力的にも限界に近い状態で撮影に臨んでいたそうです。まさに、俳優としての意地と情熱が凝縮された現場だったと言えるでしょう。
『九家の書』を通じて、時代劇との相性の良さを見事に証明したイ・スンギさん。彼の真摯な努力が、ただのファンタジーに留まらない深い感動を作品に与えました。再び彼が時代劇の舞台で、その雄姿を見せてくれる日が待ち遠しくてなりません。
文=森下 薫


