Netflixシリーズ『キリゴ』で、女優キム・シアの存在感が強い印象を残している。
彼女が演じたのは、連鎖する呪いの始点となる女子高生ト・ヘリョン。物語全体の悲劇を開く重要人物でありながら、単なる“きっかけ”では終わらせない立体感を、キム・シアは見事に与えてみせた。
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ヘリョンという人物は、ひと言で説明できる役ではない。友人の秘密を守る義理堅さを持ちながら、その優しさゆえに誤解を背負い込み、さらに信じていた相手からも傷つけられていく。報われない思いと裏切りの積み重ねの先で、彼女は取り返しのつかない地点へと追い込まれていくのだが、キム・シアはその感情の崩れ方を実に繊細に積み上げた。

序盤で見せる、年頃の少女らしい明るさやときめきは自然体で愛らしい。だからこそ、状況が暗転してからの落差がより痛切に響く。
見知らぬ空間で揺れる視線、どこか落ち着かない表情、そして信じていたものが壊れていく瞬間の呆然としたまなざし。感情を大げさに振り回すのではなく、表情のわずかな陰りや目の奥の変化でヘリョンの内面を伝えていく演技が光った。
とりわけ胸を打つのは、裏切りによってヘリョンが決定的に崩れていく場面である。理不尽さへの怒り、救われなかった悲しみ、誰にも届かない絶望が複雑に絡み合う中で、キム・シアはそのすべてを 과剰ではない演技で表現した。感情を爆発させることで見せるのではなく、むしろ削ぎ落とされた表現で痛みをにじませる。その抑制が、かえって視聴者の感情を強く揺さぶる。

そして最後の選択の瞬間、キム・シアの真価はさらに際立つ。怒りと諦め、虚無と悲しみが入り混じった“空っぽの目”は、ヘリョンがなぜ悲劇の始まりにならざるを得なかったのかを雄弁に物語っていた。説明的な演技ではなく、見る側に感情の余白を委ねる表現ができる点に、女優キム・シアの強さがある。
『キリゴ』においてヘリョンは、物語を動かす鍵であると同時に、作品の感情的な土台を支える存在でもある。その難しい役を揺るぎなく成立させたキム・シアには、今後さらに大きな注目が集まりそうだ。
協力=BHエンターテインメント
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