2006年11月23日、ロシアでひとりの男が毒殺により44歳の若さでこの世を去った。名はアレクサンドル・リトビネンコ。かつてFSB(ロシア連邦保安庁)に仕えていた彼は、組織への内部告発を機に、ただならぬ脅迫を受けながらも、同国家の弾圧的な政治姿勢を徹底的に非難するようになる。そしてプーチン政権に移行して7年、彼の政治に対して批判的な報道姿勢で知られた女性ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤの射殺事件が起きた。その真相を究明するために訪れた会食後、体調が突然悪化し、収容された病院で息絶えた。ロシア政府による毒殺未遂と疑われたこの事件の真相に迫る――。