生意気盛りの女子高生ソラは、死んだ祖父が遺した戦中日記を読むうちに、祖父が人知れず埋めた遺品の存在に気づく。彼女が住む田舎の小都市には、奇妙なホームレスが時代をさかのぼるように徘徊してきて。ふたつの話が意表を突いて組み合わさり、物語性と寓話性が拮抗して希有な緊張感をもたらすなか、鬱屈を抱えるソラの感情があふれだす。
アンシュル・チョウハン