『プラチナデータ』鈴木保奈美 仕事と子育て両立のコツは「完璧を諦めること(笑)」

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『プラチナデータ』鈴木保奈美 / Photo:Yoshio Kumagai
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映画『プラチナデータ』で鈴木保奈美が演じるのは、優秀な精神科医にして遺伝子学の権威である水上教授。字面からはとても固い役柄をイメージしてしまうけれど、スクリーンからはその固さと並行して母性的な優しさがにじみ出ている。大友啓史監督が求めた“研究者らしさと包み込む母性が共存”する難役を、鈴木さんは見事に表現。それは彼女が重ねてきた役者としてのキャリアと、結婚・出産・育児を経験した女性としてのキャリア、2つがあってこそ成し得たもの。40代半ばを迎えますます輝きを放つ鈴木さんに、新作『プラチナデータ』の面白さと、仕事とプライベートをバランスよくこなす秘訣、“鈴木保奈美”流ライフスタイルをたっぷり語ってもらった。

原作は、これまでにも数多くの著書が映画化されている東野圭吾の人気小説。『プラチナデータ』は、DNA鑑定が本格的に警察の捜査に用いられるようになって20年あまり、その技術が進歩した世の中はどうなるのか――というアイディアを基に、映像化を前提に書かれたもの。そして、二宮和也(嵐)主演で映画化となったわけだが、面白さの裏には難しさもあり…「台本を読めば読むほど難しくて…(苦笑)」と心理的な難しさに惹かれたと語る。

「時系列の複雑さもそうですし、誰がどこまでウソをついているのか? 水上教授は誰に本音を言っていて、どこまで隠しているのか? 読み込むほど分からなくなっていって…。でもその“分からなさ”がストーリーの面白さでもあるんですよね。DNAによって犯罪者を確定したり、神楽(二宮和也)くんにもう一つの人格があったり、“DNA”や“二重人格”がキーワードとなっていますが、撮っているときも完成した映画を観ても、思うことがあったんです。それは、“みんなどこか多重人格なんじゃないか”ということ。誰もが持っている要素なんじゃないかなと。実際、映画を観ていると、神楽くんが一番まともな人物のような気がしてくる。私の演じた水上教授も、神楽の上司の志賀(生瀬勝久)も同僚の白鳥(杏)も多重人格じゃない? って思えてくるんです(笑)」。

たしかに、人は相手によって話し方を変えたり態度を変えたり、誰にでも多面はあるものだ。だからこそ、観客は主人公・神楽に「もしも自分だったら…」と重ね合わせて見ることができるのだろう。また、水上を演じるにあたっての事前準備としては、精神科の先生に実際に話を聞いたり、DNA研究や解離性人格障害の資料やレポートを読んだりしたそうだが、「とはいっても映画は決して小難しいわけではなく、中盤からはアクションにも引き込まれますし、DNA捜査システムの研究所のコンピュータがカッコいいんですよ」と、未来の世界を映し出した映像も見どころだと語る。

そんな最先端の高度技術を巧みに操るのが、二宮さん演じる神楽だ。「嵐」のメンバーとして多岐にわたって活躍する彼を、鈴木さんは「役者として変幻自在な人」と称える。

「一番上の子供は中学1年生で、嵐が大好きということもあって、二宮さんが出ている映画やドラマはよく観ているんです。作品ごとに演技が全然違って、こんな演技も? あんな演技も? すごいなぁといつも驚かされています。今回、彼が演じた二重人格もその一つですよね。ただ、二重人格の役づくりというと、多くの俳優さんは人格を変えるために、右利きを左利きにしたり、しゃべり方や仕草を変えたり…。私だったらものすごく気負って2つの人格を使い分けようとすると思うんです。でも、二宮さんはそういう感じがない。さーっとやって来て、さーっと演じていくというか。もちろん、ものすごく役づくりはしているでしょうけれど、気負いを感じさせない、自然な感じなんです。そこが彼のすごいところ」。

“変幻自在”という意味では女性も同じ。女の顔、妻の顔、母の顔、そして働く顔…さまざまな顔を使い分けている。鈴木さん自身も3人の子どもの母親であり、2000年の映画『いちげんさん』を区切りに女優業をしばらく休み、2011年に大河ドラマ「江~姫たちの戦国」と映画『のぼうの城』で復帰した。それらに続くのが本作『プラチナデータ』だ。その生き方は、多くの働く女性が理想とする形に思える。バランスよく生きるためのコツはどこにあるのだろう?

「仕事と子育てを両立することは、私には難しいだろうな…と思ったので、仕事は少し離れましたが、結婚や出産をしたからといって仕事を手放さなくていいと思うんです。きっと全部を自分でやろうと思うから手放さなくては…と考えてしまうんでしょうけれど、人の手を借りていいんだ、と最初から思えたら両立もできると思います。私の場合は、撮影現場に入っているときは、すべてを完璧にすることは諦めています(笑)。子供たちがお弁当を持って学校に行くので、お弁当だけはちゃんと作ろうと心掛けていすが、そのほかのこと──たとえば、洗濯物が溜まったとしても、まあいいかと。全部をこなそうとするとストレスがたまって、結果そのストレスは周り(の人たち)にはね返って、悪循環になってしまう。だから、できないということを、笑って『(できなくて)ごめんね』と言えるように、忙しくないときに『ごめんね』のための下地を作っておくんです(笑)」。

そのバランスのとり方は、もともと鈴木さんの中にあったわけではなく、仕事中心だった20~30代から、家庭中心となった30~40代、経験の中からヒントを得たそう。

「ママ友といろいろ相談をする中で出来上がっていった考えですね。ママ友の間では“ポイント・システム”って呼んでいます。ちょっと頑張ってご馳走を作ったらカードにポイントが一つ貯まる、何か頑張ったらまた一つ貯まる、そうやってポイントをいっぱい貯めて、これだけポイントが貯まったから、ママちょっとだけお仕事してきてもいいよね? って。なので、貯められるときにたくさんポイントを貯めるようにしています」。

無理なく一生懸命に生きているからこそ、バランスのいいライフスタイルを送っているからこそ、新しい役を思いっきり演じることができるというわけだ。女優として女性として重ねてきたキャリアを注いだ水上教授という役は決して出番の多い役ではないけれど、随所で疑問を投げかけ、そして心を揺さぶる大切な役どころ。何とも印象深いキャラクターとして観客の記憶に刻まれるだろう。
《photo:Yoshio Kumagai / text:Rie Shintani》

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