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『ライフ・アクアティック』祝・ウェス・アンダーソン監督初来日記者会見

3年前、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』で日本でもその名を知られるようになったウェス・アンダーソン監督の新作『ライフ・アクアティック』が届いた。大の飛行機嫌いでヨーロッパにも船で行くというウェス・アンダーソン監督だが、本作のプロモーションで記念すべき初来日となった。

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3年前、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』で日本でもその名を知られるようになったウェス・アンダーソン監督の新作『ライフ・アクアティック』が届いた。大の飛行機嫌いでヨーロッパにも船で行くというウェス・アンダーソン監督だが、本作のプロモーションで記念すべき初来日となった。

前作の『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』で主な舞台となっていた“家”を飛び出して今回の舞台は“海”である。その理由はなんだったのだろうか。「海が好きだからだよ。それにビジュアル的にもいいしね。僕はジャック・クストー(フランスの海洋探検家)が大好きなんだ。クストーは発明家・冒険家・科学者など色々な顔を持っていて、実際に映画もつくっていた。アーティストとしても彼を尊敬している」。

本作の見どころのひとつは潜水艦や架空の生き物の凝ったデザインである。そのユニークな色や形は見ているだけで楽しくなってくる。「僕にとってデザインは映画づくりで最も楽しい要素なんだ。すべてのデザインは映画にとって重要な意味を持ち、内容にも大きく関わってくるからね。だからその元になるようなアイディアは脚本の中にも盛り込んでいるよ」。

それだけでなくこの『ライフ・アクアティック』では、デビッド・ボウイをポルトガル語でカバーする、というおそらく史上初の試みをやってのけている。「登場人物のメンバーの1人が演奏する、というアイディアは当初からあった。僕自身がデビッド・ボウイのファンだったし、今回のストーリーともリンクするので彼の音楽はぜひ使いたいと思ったんだ」。

また、70年代から活躍するテクノ・バンド“DEVO”のメンバーであるマーク・マザーズボーらが手がけたサウンド・トラックも刺激的だ。プライベートでも歯医者を改造した宇宙のような部屋に住んでいるというマークだが、『ライフ・アクアティック』では彼の私物であるチタンのメガネを映画の小道具として起用したそうだ。「(マークとの仕事は)実のところ怖かった。僕の兄弟がDEVOの大ファンだったんだけど、マークの音楽には怖さと同時におかしさもある。彼はこれまでに僕の4本の映画でスコアを手がけているけど、どれもあたたかみがあるんだ」。

『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』にはアディダスやラコステなどファッショナブルなアイテムを散りばめていたが、『ライフ・アクアティック』でも登場人物たちの身につけるものはセンスのよいこだわりがうかがえる。しかし監督本人はファッションには興味がなかったとか。しかし最近は見違えるようにオシャレになり、なんとベスト・ドレッサー賞まで受賞してしまったという。「どうしてあなたが選ばれたの?と言われたけど、僕もまったく同感だね(笑)。映画では衣裳が非常にエキサイティングな要素になる。映画の登場人物が印象的な服を着ているとインパクトがあり、作品全体に強い影響を与えるんだ。例えば『スター・ウォーズ』『タクシー・ドライバー』のようにね。だけど自分の服は昔から変わらず高校時代と同じようなものを着ているな」。

ウェス・アンダーソン作品ではおなじみのビル・マーレイをはじめ、ケイト・ブランシェットやブラジルの人気ミュージシャンであるセウ・ジョルジなどひと癖もふた癖もある役者陣が顔を揃えているのは圧巻である。「キャスティングは音楽と同様に重要なものなんだ。キャラクターによっては初めから決まった役者を想定して物語をつくるときもある。もちろん途中で変わっていくこともあるけどね。例えばペレという役自体は早くから決まっていたけど、実際にセウ・ジョルジをキャスティングしたのはもっと後になってからだった。あの役にはまず“ブラジル人”という設定があって、それからペレに決まったんだ」。

映画監督を主人公とした本作には映画制作のメイキング場面が数多く登場する。いわば映画の中で映画が作られているわけだが、そのねらいについて監督はこう語る。「脚本の中に映画制作そのものを含めたかったんだ。(フェデリコ・)フェリーニの『82/1』や(フランソワ・)トリュフォーの『アメリカの夜』みたいな要素を入れたかった。私も共同脚本のノアも映画制作を愛しているし、そこにたずさわるアーティストを尊敬している。この映画は言ってみればビル・マーレイの演じるジャック・クストーへのオマージュなんだ」。

次回作は、『ライフ・アクアティック』のストップ・モーション・アニメも手がけたヘンリー・セリック(『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』監督)との共作で、やはりストップ・モーション・アニメを用いた「Fantastic Mr.Fox (原題)」という小説の映画化に取り組んでいるという。「僕はこの手法が気に入っているし楽しんで作っているよ。だけど、原作の映画化ということもあるし、僕の他の作品ほど個人的なものではないかもね」。

さらに、インドの修行僧である3兄弟の話も同時進行中で「一度にふたつの作品を一緒に作るなんてかつてないことだよ!」というウェス・アンダーソン監督。人生のおかしみや切なさを驚くべきユーモア・センスとビジュアルで体現した現時点での最高傑作『ライフ・アクアティック』は、2005年の重要な1作となるに違いない。
《シネマカフェ編集部》

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