「漱石の作品を映画にするチャンスは、そうないと思った」『ユメ十夜』西川美和監督
明治の文豪、夏目漱石が遺した短編集「夢十夜」。理解されるには100年かかると漱石自らが評した本作に、現代の日本映画界を代表する10人の監督が挑んだ作品が『ユメ十夜』だ。実相寺昭雄、市川崑、清水崇、清水厚、豊島圭介、松尾スズキ、天野喜孝、河原真明、山下敦弘、山口雄大らと並び、第九夜を監督した西川美和監督に話を聞いた。
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まずは、なぜ第九夜なのか聞いてみた。
「最初に、こういう企画があって、五夜か九夜でというオファーだったんです。原作の『夢十夜』は昔に読んでいたので、一度持ち帰って再度読んでみますとお答えしました。何夜をやるにしても、夏目漱石の作品を映画にするというチャンスはそうないと思いましたね。中編とか長編で漱石の作品を映画にするとなると、ちょっと尻込みしたと思うんですけど、短編であれば、気持ちも楽なところがありますから(笑)。非常に解釈の幅が広い作品だという印象もありましたし。それで『五夜が良い』って言ったんですけど、どういうわけだか『やっぱり九夜でお願いします』と言われたんです」。
「五夜の方がストーリーにダイナミズムもあるし、動きもあるので映画的だなと思ったんです。九夜は延々とお百度参りをしているだけの話だったので画的にちょっと辛いかなと…」と五夜を望んだ理由を語る監督。だが、九夜を引き受けるに足る理由もあった。
「当時、アメリカのプロデューサーがイギリスの放送局で放映しようとしていた企画があったんです。アメリカ人、アメリカに住む日系人、日本人などの視点から、太平洋戦争をふり返るというような企画のお話をいただいていたんですが、それがちょうどボツになったところだったんです。しかも三夜で、夫が戦に行ったまま帰らないというキーワードがあるんですよね。その戦というシチュエーション自体、いつの時代のどんな戦なのか、具体的なことを漱石が全く明記していない。そして九夜の、戦争に旦那さんを取られてしまって、その帰りを待ち続ける不本意な女の人という状況はきっと現代でも、どこかの国で誰かが同じような経験をしていることだろうし、全然古くはない。だから自分たちの歴史にとって一番近い過去の戦争の時代設定に引き寄せて書いてみようと思ったんです」。
西川作品と言えば、『蛇イチゴ』や『ゆれる』など独特なキャスティングが魅力だ。今回は緒川たまきとピエール瀧という夫婦が登場する。
「緒川さんは、やっぱり漱石が語る夢の女という雰囲気に近かったので、何の迷いもなくお願いしました。でも、その見えない夫の実像と言えばきっと、奥さんが思っているほどいい男じゃない。幻滅させる部分を持っている旦那…と考えたときに緒川さんの持っている完璧さと正反対のベクトルを持つ人をキャスティングしたいと思ったんです。本当はもっと小柄でやせっぽちなMr.オクレさんタイプとか考えたりしたんですけど(笑)、キャスティング・ディレクターとも相談して、ピエールさんが面白いんじゃないかとなりました。ピエールさんって恰幅も良くて艶っぽくていい男なんですよね。でも、それを裏切るようなふにゃふにゃしたところもあるから、それも面白いなと思って」。
「(原作の)文体自体がものすごく美しいんですよね。それは現代人だからそう見えるのかもしれないけど、リズムといい、選ばれている言葉もすごいすがすがしい言葉を使っているから、ストーリーは実は、そんなにきれいな話ではないですけど、その文体のすがすがしさとか、みずみずしさというのを損なわないような画の撮り方をしたいと思いました」。
西川監督の九夜はもちろんのこと、十夜それぞれに監督の色が感じられる『ユメ十夜』。100年経ったいまの私たち、そして10人の監督の「ユメ」は漱石のそれにはきっと劣らない。
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定価:4,935円(税込)
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