芸術の秋、アートを感じる映画vol.1 『マリア』で名作たちの原点を知る

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『マリア』 -(C) MMVI NEW LINE PRODUCTIONS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.
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すっかり秋らしくなりました。この時期に晴れると、空が優しいブルーに輝いていてほんとうに美しい。でも、なんだか年々、春や秋といった繊細な季節が短くなってきたような気がします。だから、“秋”という季節を享受できるうちに、しっかりと。そこで、秋をじっくり満喫するために考えたのが今月の企画。「芸術の秋」にちなみ、さまざまなジャンルのアートを感じさせてくれる作品をご紹介していきます。

さて、みなさんは、マリアという名前から誰を想像しますか? 小説そして映画『ダ・ヴィンチ・コード』のヒットもあって、今ではマグダラのマリアを思い浮かべる人も多いかもしれません。でも、マリアと言えば、やっぱり聖母マリア。天使に受胎を告知され、ヴァージンのままキリストの母となったという人です。

それが芸術と何の関係があるんだとお思いの方もいるでしょうが、西洋絵画に通じている方なら、お分かりのはず。マリアと幼児キリスト、受胎告知などは、西洋絵画で多く使われているモチーフ。いわゆる宗教画と呼ばれるものです。

難しい話は専門家に任せるとしても、現代に残された多くの宗教画や音楽などから、キリスト教が、どれほど西洋文化・文明に大きく影響してきたかは推して知るべし。西洋の芸術を堪能したいなら、キリスト教は通らなければならない道というわけです。

とはいえ、「13日の金曜日はジェイソンの日」、「12月25日はケーキの日」などと思っている人はあまりに常識はずれだとしても、「キリストってどんな人?」

「聖母マリアって何をしたの?」と密かに考えている人は案外多いはず。原作でも映画でも、「ダ・ヴィンチ・コード」にはいまいちハマれなかったという人は、背景にある宗教色のせいかもしれません。「キリストに子供がいたって別に…」という人々と、「げげっ、そんな大変なことが!? これは大スキャンダルですぞ」と驚く人とでは、物語への反応が違うのも当たり前。評価が分かれた映画の方はさておいても、娯楽性の高い大ベストセラーとなった小説でいまいち乗れなかったというならば、その可能性を疑ってみるべき。

でも、何か特別な環境にいなければ、キリスト教について学ぶ機会などほとんどない社会ですからそれも当然。それなら、大人になったいま、映画で勉強しちゃいましょうというのが今回のコラムの趣旨。前置きが長くなりましたが。

数年前、キリストを人間的に描き、賛否両論を巻き起こした『パッション』という作品がありましたが、あれで「へえ、キリストってこんなことされたんだ」と彼のことを詳しく知った人も多いでしょう。そこで、今回はマリア様。処女で身ごもったマリアはパートナーのヨセフ(一応、キリストの父)にその事実をどう説明して、どう理解してもらったのか、どうして馬小屋で子供を産んだのかなど、いろいろなエピソードがあるんです。

マリアを演じるのは、『クジラの島の少女』で史上最年少のアカデミー賞主演女優賞にノミネートを果たしたケイシャ・キャッスル=ヒューズ。撮影時、15歳という若さで、多くの試練を乗り越えたマリアがキリストを産むまでを、初々しく表現していますので、彼女の演技も見どころです。

西洋美術、クラシック音楽など数々の名作の原点になっているキリスト教。その思想を受け入れるかどうかは別として、それを知れば世界は確実に広がります。『ダ・ヴィンチ・コード』を筆頭に、現代の映画界でも、キリスト教がベースになった作品は、いくらでも。『マリア』を観れば、西洋芸術をより理解できるようになった自分に驚くかもしれませんよ。

《text:June Makiguchi》

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