「ラストは撮影しながら何度も泣いた」マイク・バインダー監督が語る『再会の街で』

ニューヨークの街角で偶然再会した大学時代のルームメイト、アランとチャーリー。しかしチャーリーはまるで別人のように変わり果てていた。実は事故で家族を失った悲しみから、社会をシャットアウトしてしまっていたのだ。アランはなんとか彼の心を開こうとするが、友人を必要としていたのはチャーリーだけではなかったことに気づかされる——。女性同士の友情がクローズアップされることが多い中、大人の男性の友情を描いた『再会の街で』。監督・脚本・出演の3役をこなしたマイク・バインダーに本作に込めた想いを聞いた。

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『再会の街で』マイク・バインダー監督
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ニューヨークの街角で偶然再会した大学時代のルームメイト、アランとチャーリー。しかしチャーリーはまるで別人のように変わり果てていた。実は事故で家族を失った悲しみから、社会をシャットアウトしてしまっていたのだ。アランはなんとか彼の心を開こうとするが、友人を必要としていたのはチャーリーだけではなかったことに気づかされる——。女性同士の友情がクローズアップされることが多い中、大人の男性の友情を描いた『再会の街で』。監督・脚本・出演の3役をこなしたマイク・バインダーに本作に込めた想いを聞いた。

「昔は私の映画には全部私が主演していましたが、だんだん年をとって太って、髪の毛も薄くなってきたんで、やっぱりちゃんと映画スターを雇った方が良いかな、と思って(笑)」と最初から冗談を飛ばすバインダー監督。俳優出身で、本作でもチャーリーの会計士役として脇で出演している。そして自身の“代わり”に選んだ主演キャストが、ドン・チードルとアダム・サンドラーだ。

『ホテル・ルワンダ』など、シリアスな作品での評価が高いドンが、大はしゃぎをしたり意外な一面を見せているのも注目だが、特筆すべきは心に深い傷を負い、泣かせる演技を見せる人気コメディ俳優のアダム。
「アダムのことは以前から知ってました。実は私の友人のジャド・アパトウ監督が昔アダムのルームメイトで、『ヤツは絶対ビッグスターになる。会ってみろ、会ってみろ』ってずっと騒いでたんですよ。それでこの映画のキャスティングをしている時に、ある俳優さんが『パンチドランク・ラブ』のアダムがすごく良いという話をしていて、“そうだ、アダムに電話してみよう”と思いついたんです」。

友情と並んで映画の重要な要素となっているのが、チャーリーの家族を奪った9.11同時多発テロ事件。いまでも多くの遺族を苦しめているのは事実だが、決して事件性に深入りせず、“大切な人を失うことの悲しみ”にフォーカスしている点が、観る人の共感を得ていると言えるだろう。そのバランスを見つけるために「スタッフで何度も議論を重ねた」と言う。
「本当にこれはいろいろ考えた結果、9.11のイメージは使わない、グラウンドゼロも映さないというふうに決めたんです。いままで撮ったどの映画よりもこの映画はリサーチもしたし、話し合いもたくさん行いました」。

音楽好きならば注目したい点がもうひとつ。詳しい人ならば気づくと思うが、原題の『Reign Over Me』は劇中でも重要な役を担っているザ・フーの名曲「Love, Reign o'er Me」からつけられている。監督にとって、映画と音楽は切り離せないものだそうで、本作の執筆中に聴いていたのがこの曲だったのだ。
「ザ・フー、ジャクソン・ブラウン、ブルース・スプリングスティーン、オープニングタイトルで使ったグラハム・ナッシュ…脚本を書きながらずっと音楽を聴いていました。だから映画の中でも、2人がレコード店に買い物に行くシーンがあるんですけど、スタッフにわざわざこれらのレコードを探してきてもらいましたよ」。

数々のロックの名曲をバックに、やがて明らかになるチャーリーの深い悲しみと、2人を結びつける男の熱い友情。観る人は誰もが涙せずにいられないが、監督自身も撮りながら何度も涙が止まらなかったそうだ。
「チャーリーが告白するクライマックスのシーンでは、カメラを回しながらずっと、泣いていましたし、仕事場から家まで歩いて帰るときに、全体の悲しさを考えるだけでも泣けました。最終的に映画が完成するまで、編集したり音楽を入れたり、800回くらいは観ていましたが、プレミアで観客が泣いているのを見て、『ヤッター!』と思いましたね」。

人を悲しみから救うのは、やはり人。辛くて、自分の内に閉じこもりたい時は誰にでもあるが、その殻を勇気を持って破ってくれる人たちに私たちは救われていく。そんな当たり前のようで、大切なことに改めて気づかせてくれる『再会の街で』。寒い冬に、熱い友情で心温まりませんか?

12月22日(土)より恵比寿ガーデンシネマ、新宿武蔵野館ほか全国にて順次公開。
《text:cinemacafe.net》

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