菊池寛とは一体何者か? 華やかな昭和ファッションと共に描かれる『丘を越えて』

数年前に昼ドラとして注目を浴びた「真珠夫人」の作家であり、文藝春秋社を創設した実業家であり、芥川賞や直木賞の設立者でもある菊池寛。この『丘を越えて』は、サラリーマンの誕生、地下鉄の開通、自動車や洋服の登場…といった大衆文化が開花した昭和初期を舞台に、菊池寛をとりまく人々を描いた文芸作だ。

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『丘を越えて』 -(C) 「丘を越えて」製作委員会2008
  • 『丘を越えて』 -(C) 「丘を越えて」製作委員会2008
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数年前に昼ドラとして注目を浴びた「真珠夫人」の作家であり、文藝春秋社を創設した実業家であり、芥川賞や直木賞の設立者でもある菊池寛。この『丘を越えて』は、サラリーマンの誕生、地下鉄の開通、自動車や洋服の登場…といった大衆文化が開花した昭和初期を舞台に、菊池寛をとりまく人々を描いた文芸作だ。

夏目漱石などの芸術至上主義の文学に対して、菊池寛がかかげたのは大衆文学だった。“生活第一”をモットーに「文藝春秋」や「モダン日本」を創刊。今では珍しくはないが、誌上座談会を考案したのも彼。

菊池寛とは一体誰なのか、その偉業が分かりやすく綴られていく一方で、菊池と彼の秘書・葉子、編集者の馬海松(まかいしょう)との三角関係も描かれる。2人の男と1人の女の恋物語でもあるのだ。ちなみに原作は、現在、東京都副知事として活躍する作家・猪瀬直樹の「こころの王国」。カメオ出演もしている。

タイムスリップしたかのような昭和初期の世界を再現するなど、セット、衣裳、音楽へのこだわりも大きい。着物姿から洋服へと切り替わっていく時代だけに、葉子の“昭和ファッション”が特に華やかだ。また、会話の端々で使われる「有難山のほととぎす」(ありがとうの意)、「根っ桐、葉っ桐、これっ桐」(これっきりの強調)といった江戸情緒あふれる東京言葉は、現代人にとって新鮮で興味深いはず。

《text:Rie Shintani》

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