「最初はモンスターとして演じていました」西島秀俊、死刑囚を演じた『休暇』を語る

死刑執行の際、死刑囚の身体を支える「支え役」を務めた刑務官には1週間の休暇が与えられる。結婚を間近に控えた刑務官の平井は、新婚旅行の休暇を手に入れるため、自ら支え役に志願するのだが…。吉村昭の短編小説を原作に、死刑執行の立会いと自身の結婚を通じて、生と死に向き合う刑務官の姿を描いた『休暇』。本作で死刑囚の金田を演じたのは、近年話題作への出演が続く西島秀俊。死刑という重いテーマを扱った本作について西島さんに話を聞いた。

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『休暇』西島秀俊  photo:Yoshio Kumagai
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死刑執行の際、死刑囚の身体を支える「支え役」を務めた刑務官には1週間の休暇が与えられる。結婚を間近に控えた刑務官の平井は、新婚旅行の休暇を手に入れるため、自ら支え役に志願するのだが…。吉村昭の短編小説を原作に、死刑執行の立会いと自身の結婚を通じて、生と死に向き合う刑務官の姿を描いた『休暇』。本作で死刑囚の金田を演じたのは、近年話題作への出演が続く西島秀俊。死刑という重いテーマを扱った本作について西島さんに話を聞いた。

本作への出演を決めた理由として「何より脚本が素晴らしかった」と語る。
「脚本の佐向さんが以前に監督された『まだ楽園』を拝見して、いつかご一緒したいと思っていたんです。死刑囚が出てくる作品というと、殺人事件の経緯や裁判の妥当性などが話の核になるイメージがあるんですが、この作品に関しては、そうした部分については全く書かれていないんですね。あえて書かないことで、金田という男の底知れぬ闇みたいなものが浮かび上がってくるようで、非常に刺激的でした」。

金田は、何を考えているか分からず、どこか冷たさを感じさせるかと思えば、時に人間らしい部分を見せ、突然感情を爆発させる一面もある。西島さん曰く「つかみどころのない男」だが、演じるにあたって、どのようにアプローチしたのだろうか。
「当初は、金田を得体の知れないゾッとするような男——語弊を恐れずに言えば“モンスター”として演じていました。それに対して監督が、より人間味のある男に見せる演出をつけてくださったんです。結果的にそれが良かったですね。役作りに関しては、僕は普段から、人物像を詳しく説明されてしまうと、頭では理解できても役に触れづらくなってしまうところがありまして…。人物の気持ちや感情の流れをあらかじめ作って、それに乗って演じていくよりも、逆に今回のように、人物について何も提示されないで、その人の過去や経歴を想定せずに演じる方が役に入りやすいですね」。

とは言え、死刑囚を演じることでかかる精神的な負担は相当なものだったようだ。撮影中に感じた難しさについて正直な心情を吐露してくれた。
「どうやっても、僕自身が死刑囚になることは出来ないわけです。でも、そこに近づいていかなくてはいけない。実際には近づけば近づくほどに、はっきりとした“溝”が感じられて、演じていて辛かったですね。特に刑の執行のシーンは、撮影の時間がもっと長かったら、集中力が切れていただろうと思います」。

本作での死刑囚に加え、先日公開されたばかりの『丘を越えて』では朝鮮貴族出の編集者、さらに秋公開の主演作『真木栗ノ穴』では作家と、作品ごとに多様なキャラクターを演じる西島さん。だが意外にも「出演を決める上で“役柄”というのは僕の中で一番の要素ではない」と言う。
「この『休暇』』もそうですが、僕にとっては監督や脚本が誰かということの方が重要ですね。『この監督とやりたい』という気持ちがまずあって、その監督に『この役を西島にやらせたらいいんじゃないか?』と思っていただけるのは幸せなことです。そうやってオファーをいただいた役というのは、大抵やってみたくなるような役柄なんですよ(笑)。それから、映画への出演が続いてはいますが、決して映画だけにこだわっているわけでもありません。ただ、映画で見せる演技とTVドラマでの演技は、自分の中で本質的に違うものだとは思っています。映画もTVドラマも舞台も全て出たいですよ、欲深い男なんで(笑)」。

今後、どんな監督と組んでどんな表情を見せてくれるのか? さらなる活躍を期待したい。

《photo:Yoshio Kumagai》

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