秋の夜長におすすめの映画vol.1 勇気をくれる、至極のドキュメンタリー

食欲の秋、芸術の秋、読書の秋、スポーツの秋…。こんな風に表現されることの多い、この季節。つまるところ、暑い夏が過ぎ、そろそろ意欲がわいてくる頃ということなのでしょうか。

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『ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢』 -(C) 'All Rights Reserved
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食欲の秋、芸術の秋、読書の秋、スポーツの秋…。こんな風に表現されることの多い、この季節。つまるところ、暑い夏が過ぎ、そろそろ意欲がわいてくる頃ということなのでしょうか。

そんな季節だから尚更おすすめしたいのが、ドキュメンタリー映画『ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢』。ミュージカルの最高峰とも謳われるブロードウェイの舞台「コーラスライン」が、2006年、16年ぶりに再演となり話題になりましたが、本作では再演のために行われたオーディションの模様とともに、作品の誕生秘話が紹介されていくのです。

名作の裏に隠された様々な真実を知るだけでも価値ありですが、度肝を抜かれたのが、8か月にもわたる過酷なオーディションの風景。応募者は3,000人。でも、残れるのはわずか19人だけ。厳しい実力社会の裏側を目にする覚悟はあったものの、展開するドラマは予想以上に悲喜こもごも。思いがけない吉報に喜ぶ者、自分に負けてしまった者、時間の経過を武器にできなかった者…。とにかく、非情なのです。

さらに話が進むうち、ミュージカルを目指す者にとって、ブロードウェイの舞台を踏むということだけでなく、「コーラスライン」という作品にも、大きな意味があることも分かってきます。そもそもこの物語は、オーディションにやってきたダンサーたちの内面を映し出したもの。本物のダンサーたちの告白が元ネタであるだけに、現実と舞台の境界線が曖昧になるのが作品の魅力なのですが、このドキュメンタリーも同じ。観ているうちにいつしか、この映画がそのまま“新世紀版コーラスライン”になっていくのです。

あるダンサーは語ります。「これは私たちの物語。どんな重圧や問題を抱え、どう対処しているかが分かるはず」と。「後悔することなく、どう自分らしく生きているのか。この作品が大事なのは真実だからよ」と。

それほどまでに大切に思えて、懸命に向かっていける目標があるなんて素晴らしい。ただ、現実には、合格という栄誉を手にした人の150倍以上の人々が、涙を飲んで去っていくのです。彼らは、期待に胸を膨らませ、不安を抱えながらも小さな可能性に賭け挑戦し、そしてやはり絶望します。こんなプロセスを、何度繰り返してきたのか、そしてこれから何度繰り返すのか。それでも、やり続けなければ、成功を手にすることはできない。そんな切なさと勇気、ひたむきさの入り混じったダンサーたちの姿に、胸が熱くなるのです。

観終わったときには、「私も、もっとがんばろう」と思わせてくれるこの作品。意欲満々という人だけでなく、最近ちょっと気力がないという人も、勇気をもらえる作品です。

《text:June Makiguchi》

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