【美的アジア】2013年は話題の韓国映画が目白押し。韓国映画業界の舞台裏に迫る!

2013年。今年もアジアの様々な国の映画が日本公開を控える中、注目すべきなのが「韓国映画」。

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「韓国映画の魅力と韓国映画産業の現況」シンポジウム
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2013年。今年もアジアの様々な国の映画が日本公開を控える中、注目すべきなのが「韓国映画」。
昨年1200万人超の観客動員を記録したイ・ビョンホン主演の『王になった男』(2月16日公開)や、海兵隊での兵役を終えたばかりのヒョンビン主演『愛してる、愛してない』(3月16日公開)、第69回ベネチア国際映画祭で最高賞の金獅子賞に輝いた、キム・ギドク監督作『ピエタ』(今夏公開)など、話題の作品が目白押しです。

昨年開催された「韓国映画の魅力と韓国映画産業の現況」についてのシンポジウムの中から、今、新たに勢いを見せている韓国映画の魅力や、製作現場の舞台裏、日本と韓国の映画産業の違いに迫ります。
これを読んだら、あなたの韓国映画の見かたがちょっと変わってくるかもしれませんよ!?

Case1:【日本における韓国映画の実状とは!?】

「これまでに日本で紹介された韓国映画は約1000作品! 2012年は韓国映画の三分の二が日本で紹介されています」(シネマコリア・西村嘉夫氏)

「日本で韓国映画が認知されたきっかけとなった作品が2000年に公開した『シュリ』。2002年には日韓ワールドカップが開催され、この頃から合作映画も増えてきました。その後、2003~2004年にドラマ「冬のソナタ」の人気により韓流ブーム到来。人気スターがほんの少しでも出演していればすぐ公開される程でした(笑)。韓国では恋愛映画があまりヒットしないのに比べ、日本では’05年に公開された『私の頭の中の消しゴム』が韓国映画作品の興業収入1位を記録。いま、ふり返ってみると、韓国映画のピークもこの時期ということになります」。

「2010年には、CJ Entertainmentなど韓国の映画会社が日本に法人を設立し直接配給するようになってきます。また、DVDなども韓国の会社が発売・販売するケースも増えてきました。韓国映画は、劇場公後DVD発売されるケースと、DVDスルー(劇場公開はされずDVD販売のみ)など色んな形を通して日本に紹介されています。2011年に韓国で公開された韓国映画が150本。そのうちの93作品が2012年に日本で商業紹介されているので、韓国映画のうち三分の二は日本に紹介されているということになります」。

「韓国映画だけで言えば「いま、ヒット作が少ないな」と思うかもしれませんが、韓国映画の名誉のために言いますと、日本の観客は邦画を好む人がすごく多く、韓国映画だけでなく洋画がおしなべて数字が悪いのが現状です。しかし韓国は、日本で公開されている海外作品の中で2000年代中頃からほぼずっとアメリカに次ぎ第2位の人気です。いま、日本のお客様は韓国ドラマやK-POPも楽しみ、目が肥え、知識も増えている。解説がなくても韓国の文化をすでに知っている方が多いので、韓国映画は共感しやすいと思います。2012年は『ピエタ』『泥棒たち』「『王になった男』などの作品が話題を浴び、韓国現地が盛り上がっているので、2013年は日本でも面白いことが起きるのではないかと期待しています」。


Case2:【日本と韓国の映画製作の違いとは?】

「日本は「企画が通りやすい作品」。韓国は「オリジナル作品」。韓国は国が映画製作をバックアップしている」(ドラゴンハートインターナショナル 橘田寿宏氏)

「日本では「製作委員会方式」が主で、配給会社を中心にテレビ局、ビデオメーカー、出版社、広告代理店等がお金を出し合って映画を製作するため、企画を進めるにはこれらを説得しないといけない。全てに納得してもらうのは正直厳しいです。韓国では配給会社が出資することが多く、さらに投資ファンドからお金を持ってきます。ファンドの中には映画産業を後押しする国の機関KOFIC(韓国映画振興委員会)などがあり、極端な話、ファンドが企画をOKしてくれれば映画を作ることができるんです。このことから日本ではオリジナル作品の製作は正直厳しく、テレビドラマや原作本の映画化などが多いのが現状。また原作権が先に問われ、キャスト、監督が決まるのと同時に脚本が作られたりするので脚本がない段階で企画が進められることも多いんです。一方、韓国では脚本が良くなければ俳優が出演しないので、そこが日韓の違いでもあります」。

韓国ではKOFICの影響が大きい。日本、中国、フランス、アメリカなど映画産業がさかんな地域に駐在員を置き、常に韓国国内だけでなく外との連携をとっている。国内においてはKOFICの施設であるスタジオやポストプロダクションなどが安く借りられるので製作費を抑えられるなど、国のバックアップが日本よりもはるかに充実しています。これによって、韓国ではオリジナル作品や若い監督が日本に比べてデビューしやすく、海外マーケットにも積極的に出ることができるのです」


Case3:【韓国でも「恋愛映画」がヒットする時代に!?】

「『建築学概論』がヒットしたのは、韓国の観客の趣向が成熟してきたのではないかと思います」(『建築学概論』イ・ヨンジュ監督)

恋愛映画がヒットしない傾向にある韓国の中で410万人の動員を誇り大ヒットした『建築学概論』(今夏公開)。インディーズ映画であった本作がなぜヒットしたのか、また若手監督から見た韓国の映画業界の実状を監督自身が語ってくれた。

「このシナリオを作ったのは2003年。建築学を学んでいたことと、恋愛映画を作ってみたいと個人的に思って監督デビューを決めたのですが、10年もかかると知っていたら、こんなことはしていませんでした(笑)。当時は韓国でも恋愛映画が流行っていましたが、しだいに減少しいくのを見ながら夢を追っていました。韓国でも新人監督のデビューは難しいです。投資家に投資してもらうには有名な俳優が出演してくれないとダメ。新人監督の僕に有名俳優が出演してくれるわけもなく2008年に「これはダメだ!」と思って泣き出してしまったこともあります(笑)」。

「韓国の監督が自らシナリオを書くのは、言い方を変えると監督が書かざる負えないからです。皮肉ですが投資家や配給会社に「映画を作ろう」「いい映画だ」と思ってもらうためには、監督自らシナリオを書いて納得させるのが重要で、映画監督というのは職業でもあり作家でもあるのではないかと思います。『建築学概論』はとても静かで淡々とした作品なので韓国でこんなにもヒットしたのが僕も不思議です(笑)。シナリオを持って売り込みに行き、断られ続けたときにも、「(キャラクターの誰かを)死なせろ」とか「ベッドインさせろよ」と正直言われました(笑)。幸いにも映画の本質を掴んでくださった製作者に出会え、2003年に書いた初稿のときとほとんど変わらないまま作品を作ることができて幸せに思います。このことはいま、韓国の観客の趣向がかなり成熟してきたと言えるのではないかと思います。私の母ですらお決まりの出生の秘密などに飽き飽きしていますから(笑)。この映画が受け入れられたことは、韓国における恋愛映画のあらたな方向性が見えてきたのではないかと思います」。
《text:Tomomi Kimura》

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