米政府を悩ませる『ゼロ・ダーク・サーティ』 ジェシカ・チャスティン インタビュー

昨年末アメリカで解禁となって以来、前代未聞の現象を巻き起こした映画『ゼロ・ダーク・サーティ』。いつもは厳しい批評家たちからは絶賛の嵐、アカデミー賞前哨戦レースでは数々の栄誉に輝き、本戦のアカデミー賞でも5部門ノミネート…

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『ゼロ・ダーク・サーティ』ジェシカ・チャスティン -(C) Mayumi Nashida
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昨年末アメリカで封切られて以来、そのテロという問題に深く切り込んだテーマで、前代未聞の社会現象を巻き起こした映画『ゼロ・ダーク・サーティ』。アカデミー賞前哨戦レースでは数々の栄誉に輝き、本戦のアカデミー賞でも5部門ノミネートを達成し、厳しい批評家たちからも絶賛の嵐。その一方で、本作の制作に全面協力したCIAによる国家機密の漏洩を問題視した政治家たちが調査依頼をかけた問題作でもある。

そんな話題の本作で、ビンラディン捜索に人生を全て捧げるCIA情報分析官・マヤを演じたのは『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』で高い評価を受けたジェシカ・チャスティン。本作で本年度アカデミー賞主演女優賞にもノミネートされている彼女は、日々変貌していく女性・マヤをどのように演じたのか? 本作を通して自身に変化はあったのか? たっぷりと話を聞いた。

本作で特徴的なのが、マヤの私生活部分はほぼ映し出されず、アルカイダとCIAの戦いを描いている点だ。そんな中で“マヤ”というキャラクターを自身の中にどのように作り上げていったのだろうか?
「リサーチをする傍らで脚本家のマークと共にいろいろ話を聞いていたの。彼はもともとジャーナリストだったから、自分の調査の中でマヤを知ったのよ。だからCIAについて、マヤという女性について、いろいろ聞くことができたわ。あとはローレンス・ライトの『倒壊する巨塔―アルカイダと「9・11」への道』やミハエル・シュアーの『OSAMA BIN LADIN』の2冊の本は役に立ったわね」。

徹底的なリサーチを行い、役への理解を深めていったジェシカ。しかし、“資料”からの情報だけではなく、「キャラクターを演じる度に、誰が家に待っているのか? ペットはいるのか? どんな音楽が好きなのか? ということを自分の中で作りながら役作りをしていくの。それは今回も同じ」と語る彼女の“想像”もこの映画でのマヤという人物に色濃く反映されているという。「今回は私が作り出した彼女のバックストーリーを監督がフィーチャーしているの! 例えば、パキスタンのときに子供が書いた絵であったり、スクリーンセーバーであったり、壁にかかっているものであったり。これはすべて私が作り上げたものよ」。

そんな彼女が本作への出演を決めた一番の理由が、「私のヒーローであり、偉大なフィルムメーカー」と賞賛を贈るキャスリン・ビグロー監督の存在だ。「特に、監督とこのキャラクターで一緒に仕事ができたことは、人生一度きりのチャンスだと思っているわ。私はもともと『大統領の陰謀』、『地獄の黙示録』、『帰郷』、『アルジェの戦い』といった作品が好きなの。こういった作品は、社会に対して鏡を照らし、観ている人に史実として行ったことに直面させ、そこからどのような道を歩いていけばいいのかを考えさせる映画だと思ってる。まるで70年代の戦争映画のようで、政治映画に出演しているような感じだった」。そう語る彼女の姿勢、思いはマヤという役を通して、スクリーンにも表れている。

ならば、彼女がこの役を演じたことで自身の中で何か変化はあったのだろうか? そう尋ねるとジェシカは「イエスよ!」と大きく頷く。
「彼女を演じている中で色々学んだわ。特に、裏側では何百人と働いている人が英雄と言える行動を起こしてもなかなか日の目を浴びないという事実があることを知ったときは驚いたけれどね。あとは、“時には『NO!』と言っていいんだ”ということかしら。彼女は自分の信じていることしか口にしないし、間違っていれば間違っていると口にする。私は時々正直に『NO!』と言えないことがあるから、たまにはいいよねと思えるようになったわ」。

自分の意見をハッキリと言うマヤの性格を例に挙げ、「自分と共通してないことが多い」と語るジェシカだが、「仕事のためにすべてをかけるという気持ちは分かるわ」と微笑む。「ただ私の場合は大好きな演技をしていても、プライベートな時間はきちんととっているの。彼女はそれがない。仕事に対する思いだけは分かるんだけど…」。全てを仕事に捧げ、孤独な分析官からチームを引っ張る責任者へとステップアップしていくマヤの姿は強く、凛々しく、逞しい。「このような複雑な感情を抱いた人物のリアルな物語を演じるために、私は女優をやっている」と言い切るジェシカの真剣さと強さは、どこかマヤと通ずる部分がある。

今後もトム・ハーディとの共演作『Lawless』(原題)や、ジェームズ・フランコ共演の『Tar』(原題)、『Mama』(原題)など話題作の公開も控えるジェシカ。着実なステップアップを重ねていく彼女の今後の活躍と共に、アカデミー賞のゆくえを見守りたい。

(C) Mayumi Nashida
《text:cinemacafe.net》

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