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【インタビュー】東出昌大 覚醒、そして喧騒を「どこかで楽しんでる自分がいる」

いま、彼が立っているのは嵐の中か? それともいまだ嵐の前の静けさか? おそらく後者だ。東出昌大はまだまだこんなもんじゃない。本人は「とっくに嵐の中にいるもんだと思ってましたけど…」と苦笑するが…。

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東出昌大『すべては君に逢えたから』/Photo:Naoki Kurozu
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  • 『すべては君に逢えたから』-(C) 2013 「すべては君に逢えたから」製作委員会
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  • 東出昌大/『すべては君に逢えたから』 (C)2013「すべては君に逢えたから」製作委員会
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いま、彼が立っているのは嵐の中か? それともいまだ嵐の前の静けさか? おそらく後者だ。東出昌大はまだまだこんなもんじゃない。本人は「とっくに嵐の中にいるもんだと思ってましたけど…」と苦笑するが…。

確かにこの1年あまりで彼を取り巻く状況は劇的な変化を遂げた。『桐島、部活やめるってよ』で鮮烈な俳優デビューを飾り、来年公開を控える『クローズEXPLODE』の主演に抜擢。あの「あまちゃん」では車掌・大吉(杉本哲太)の若き日を好演し、異例の朝ドラ連続出演となった現在放送中の「ごちそうさん」では杏が演じるヒロインの相手役を務めており、その顔はお茶の間にもしっかりと浸透中である。そんな彼が初めてのラブストーリーに挑んだ『すべては君に逢えたから』がまもなく公開となる。

東京駅を舞台に6つの恋物語が展開する本作で、東出さんが演じたのは東京に恋人・雪奈(木村文乃)を残して宮城県に赴任中の拓実。恋と仕事のバランス、愛する人と距離に悩みつつ、自分たちの“答え”を出す若きカップルの姿が描かれる。

初めてのラブストーリーを「面白かったですね」とふり返る東出さん。2014年に開業100周年を迎える東京駅が6つ全てのエピソードにおいて印象的な形で登場するが。特に東出さんと木村さんの“遠距離恋愛”ではクリスマス・イルミネーションの輝く東京駅、ツリーの前で待ち合わせる恋人たち…と王道中の王道のラブストーリーが展開!

「演じてるときは拓実になりきってるから恥ずかしさとかはないんですよ。ただ、冷静に考えて東出はしませんね(笑)。そもそも、人ごみが苦手なのでクリスマスに東京駅とか行かないし。拓実も雪奈も互いをすごく好きだからこそできるのかな?」。

とはいえ、役柄自体には「年齢的にも、仕事が面白くなってきた時期で一生懸命というところも僕自身とすごく近かった。もちろん、誰かを愛するって気持ちもよく分かるし、そういう意味で等身大の自分に近い役で、役作りとして余計なことをする必要がなかった」と共感にも似た感覚を持ったという。ならば先述のように相手を「本当に好き」になったなら、甘々で照れくさくなるような恋人とのやり取りを実際にやってしまう可能性もなきにしもあらず?

「どうでしょう…(笑)? でも案外、『しない』『出来ない』と言いつつ、実際にはもっとすごいことをするかもしれませんよね(笑)。クリスマスの思い出? 高校3年間はずっと剣道部の合宿で、デートなんてしたことないですよ。男同士で傷をなめ合う感じで…(苦笑)。昔から、クリスマスは大好きなんですよ。サンタさんもずっと信じてたし。でもあるとき、兄に“サンタさんがいない”って知らされて、しかも兄は僕に告げたということを親にも話したんです。そしたら親もその年からコロッと変わって『あんたたち、今年は何がほしいの?』って聞いてくるようになりました(苦笑)。小学校の低学年でですよ!」。

本木克英監督は拓実の赴任先を宮城県としており、拓実が建築会社の若手社員としてなかなか復興が進まない被災地で仕事に尽力するさまを描いている。東京駅をもう一つの“主人公”とした本作において、あえて挿入された被災地の現状。復興への想いを込めたパートを託される形となったが、東出さん自身、モデルから俳優に転身する以前に被災地を訪れた経験があったという。

「石巻でも南三陸でも気仙沼でも、なかなか復興が進まない地域はあるんですが、そこで頑張っている人たちが確実にいるんです。それをこの映画の登場する人物の中でも若く、これからを担う拓実が演じることができたのはよかったと思います。改めてまだまだやらなくちゃいけないことがあるんだと感じました。(行ったのは)役者になる前ですが、行っておいてよかったと思います。初めて行ったら正直、自分は芝居どころじゃなかっただろうなと思うので」。

このインタビューが行われたのは「ごちそうさん」の放送が開始される直前のタイミング。改めてこの1年あまりの喧騒、環境の変化について尋ねると、自身が乗る“舟”とその舟が浮かぶ水面の変化についてこう語る。

「めまぐるしくて、早くて――増水して、流れが速くなってるんだけど、さらにこれからもっともっと水は増えていくんだろうなと。一応、自分の意思を持って漕いではいるんですが、頑張らないといつか沈んで溺れ死んじゃうなと感じてます」。

嵐の到来に驚き、戸惑いながらも「多分、どこかで楽しんでいる」という自覚もある。朴訥で優しい笑顔の裏で、どうしようもなく血が騒ぐのをひしひしと感じている。

「どんどん大変になってるのは間違いないんですけどね。でも後からふり返ったら、『楽しかった!』と思えそうです。『休みたいな』とか『もっとラクしたいな』とは思うんですが、でも少し前に遅い夏休みを取って実家に戻ったら、2~3日で寂しくなってきちゃって(苦笑)。矛盾しているようで…いまもきっと楽しんでますね」。

俳優という仕事、めまぐるしいまでの喧騒に戸惑い、苦しみ、そして楽しんでいるのに、それでも「いまだに役者になったという実感が湧かない」とも。確かに矛盾している。いまだ暴風圏外だろうが、すでに圏内だろうが関係ない――東出昌大はワクワクしながら嵐のど真ん中に向かって突き進む。
《photo / text:Naoki Kurozu》

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