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【インタビュー】『百日紅~Miss HOKUSAI~』杏が語る、江戸に生きた女性・お栄の魅力

モデルのキャリアをベースに女優としても映画やドラマで活躍する才色兼備な人、杏さん。「取材で“次は何に挑戦したいですか?”って聞かれると、アニメーションの声の仕事と答えていたんです」という彼女の願いは

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『百日紅~Miss HOKUSAI~』杏/photo:Nahoko Suzuki
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  • 杏演じる、女浮世絵師・お栄/『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』-(C) 2014-2015杉浦日向子・MS.HS/「百日紅」製作委員会
  • 『百日紅~Miss HOKUSAI~』杏/photo:Nahoko Suzuki
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  • 杏演じる、女浮世絵師・お栄/『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』-(C) 2014-2015杉浦日向子・MS.HS/「百日紅」製作委員会
モデルのキャリアをベースに女優としても映画やドラマで活躍する才色兼備な人、杏さん。「取材で“次は何に挑戦したいですか?”って聞かれると、アニメーションの声の仕事と答えていたんです」という彼女の願いは『百日紅~Miss HOKUSAI~』によって叶った。演じたのは主人公のお栄、23歳。職業は浮世絵師。父はかの有名な葛飾北斎。もともと原作ファンだった杏さんが映画の魅力、江戸に生きた女性・お栄の魅力、日本の美術の魅力を語る。

原作は漫画家、江戸風俗研究家、文筆家だった杉浦日向子の「百日紅」(上下巻)。

「杉浦さんの作品は以前から読んでいました。おそらく薦められてエッセイを手に取ったのがきっかけだったと思います。杉浦さんが描くものにはリアリティがあって、江戸のことを想像して描くというよりは江戸の風景を見たまま描いているようで。もちろんそれは不可能ではあるんですが、それを感じさせる筆の力が凄いんです」。

杉浦日向子の作品の虜になったのは杏さんだけではない。この映画の監督である原恵一氏も「いつかアニメ化したいと思っていた」そうで、「百日紅」の映画化が決まり絵コンテを描く段階で、すでにお栄は杏さんをイメージしていたと言う。どことなくお栄に杏さんの面影を感じるのはそういうわけだ。そして、演じるにあたって大切にしたのは監督からのアドバイス──「重く、低く、強く、ゆっくり」だった。

「私が台本から感じたお栄は素朴で強い、真面目で無器用な女性でした。ただ、声のお仕事は今回が初めてだったので、何が正解なのか分からなくて。若い女性キャラクターは比較的、高い声をイメージしがちですが、監督から“重さ”を出して欲しいとアドバイスいただいたことで、お栄らしさを出すことができました。役を演じる毎に自分との共通点を聞かれて考えるんですが…今回は実在する人物なので自分と似ているとはおこがましくてなかなか言えなくて。憧れの方が大きいですね。演じるうえでは、お栄に変身するというよりは役と仲良くなる、友だちが増える感覚。もちろん自分の内なる感情を表現していますが同一ではなく、すごく近い理解者という感じです」。

また、お栄としてアニメーションの世界に身を投じ、“江戸に生きる”ことができたと言葉が弾む。

「面白かったのは江戸を生きる人になれたことです。アニメーションの面白さは筆で描けるものはなんでも具現化することができること。今はもうなくなってしまったもの、想像上のものであっても、まるでそこにあるかのように描くことができる。声をあてることで、お栄としてそこに存在できたことはとても面白かったです」。映画のなかで描かれる江戸の自然の姿を見ながら想像も膨らんだそう。杏さんが見てみたいと言うその景色は?「もしも江戸に行けるとしたら…空はどんなに澄んでいるのかとか、星空や海や川の美しさを見てみたいですね」。

古き日本の美しさを筆で表現した浮世絵。実は杏さん、以前から興味を持っていたそうで「10年くらい前に浮世絵を真似して描いてみたことがあるんです」。しかも経験だけでなく知識も豊かだ。

「浮世絵は日本の美術のなかでおそらく群を抜いて注目されている分野ですよね。北斎に関しては、米雑誌『ライフ』の“この1000年で最も重要な功績を残した世界の人物100人”に日本人として唯一ランクインしています。浮世絵は歴史のなかにある完成されたもの(美術)という認識ですが、この映画のなかではその浮世絵を実際に描いている姿、何を描いていたのか、北斎やお栄のような浮世絵師の暮らしぶりや喜怒哀楽が描かれています。現代でいうアトリエではなく汚い家で描いていたとか、新しいものが見えてくるんです」。彼女の凛とした“やまとなでしこ”な美しさは、日本の文化、芸術、歴史を知ることで滲み出ているのかもしれない。

『百日紅 Miss HOKUSAI』でアニメーションの声を演じるという夢を叶えたわけだが、やっぱり聞きたいのは次なる夢。挑戦したいことは?

「私の本業は写真をとってもらうモデル。いつか日本画の中に描いてもらいたいとか、京都の箪笥の奥にしまってあるような歴史ある着物をまとって写真を撮ってみたいとか、そういう願望、興味はあります。女優としての挑戦は、どんな作品であってもいただいた役には自分が超えるべきハードルや壁があると思うんです。もちろん不安もありますが、やってみないと分からないのが女優という職業の面白さ。どんな役でも受け止められるフラットな状態でありたいです」。
《text:Rie Shintani/photo:Nahoko Suzuki》

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